第22話 料理マンガの主人公になったからってオッパイが見れるわけではない8

出来上がったこの夢見流もやし炒め、正直食べる前から味の予想がついてしまう。

なぜなら味付けが『エバ○焼肉のタレ』だけなんだもの。

味なんてかけらも気にしない男子大学生が精一杯のやる気を出して作るレベルの料理、それがこのもやし炒めだ。

悔しいがすごくいいにおいはする、焼肉のタレの香ばしいにおいが。

「それでは早速実食に移りたいと思います!」

取り分けられた料理がそれぞれのテーブルの上に配膳される。

四海さんはノリノリで実況しているが材料さえあれば3分でできてしまうこんな料理、評価する価値が果たしてあるのだろうか。

そもそも山原さんは評価すらしてくれなんじゃあ・・・

「フン・・・『エバ○焼肉のタレ』を使ったのは褒めてやろう・・・ただ私は中辛派ではなく辛口派だがな」

どうでもいいよ・・・というか『エバ○焼肉のタレ』使ったのはいいんだ・・・

なぜもっと根本的な間違いを指摘しないのか。

「いいから俺の料理を食べてみろよおっさん、その上手さに驚くぜ」

いやこの場合すごいのはお前じゃなくて『エバ○焼肉のタレ』だけどな。

そんな悪態を心の中でつき続ける。

「それではいただこう」

そう言って山原さんはタレのかかったもやしと豚肉を口の中へ運んだ。

その瞬間


バリバリバリィィィィィィン!!

山原さんの全身の服がビリビリに破れ、山原さんが全裸になった。

50歳を越えたおっさんが、全裸になった。

50人異常はいる料理大会のステージ上で、とても満足そうな表情で。


全裸になった。


「こっこれはスゴイ!一体何が起こっているのでしょうか!私たちは一体何を見ているのでしょうか!」

ただの全裸のおっさんだ。

というかほんとに何が起こっているのだろうか。

まさか料理マンガのように美味しい料理を食べてしまっただけでこうなってしまったのか!?

一体どんな料理を食べればこんな事態になるのだろうか。

あ、『エバ○焼肉のタレ』か。

いやいや、そうじゃなくてああいうのって裸になるくらい美味いってイメージ映像みたいなもんじゃないのか?ほんとに全裸になる人間がいるのか?

まぁ事実目の前にいるのだが。

必死で思考をまとめていると、白目を剥いて気絶していた山原さんの意識が戻ったようだ。

「こっ・・・これは素晴らしい!ほのかな甘みの中に広がる辛味!さらにタレに含まれるフルーツの酸味も素晴らしい。少し入っているゴマもいいアクセントになっている」

「そうだろそうだろ!」

「いや、ほぼ『エバ○焼肉のタレ』の評価だよこれ、料理のこと一切褒めてないよ」

「食べてるのは俺の料理だからいいんだよ!!」

俺のコメントはどうやら無視されているようだ。

「まぁお前も食ってみろって!」

「う・・・」

・・・そういえばこの大会に来てから○るねるねるね以外のものを食べていない。

お腹も減っていることだし・・・不味いということはないだろうし・・・いただくか・・・

促されるまま料理を口に運ぶ。

「はぐっ・・・うん・・・まぁ・・・普通に美味いな・・・」

「だろだろ!」

そりゃあそうだろうな。

すごいよ『エバ○焼肉のタレ』、これ何にかけても美味しいんじゃないんだろうか。

焼肉のタレの素晴らしさを改めて思い知った。

「それじゃあ私も・・・いただきます!」

四海さんも料理を口に運び、数回咀嚼する。

「ふむ・・・ふむ・・・あーなるほど、普通においしいですね」

いたって普通のリアクションをしてくれた。

司会役のリアクションとしては物足りないかもしれないが、こんな料理で大げさなリアクションをとれというのは無理がある。


なんだかんだこのまま何もなければ、他の参加者も失格になっているし憧の優勝ということになるのだろう。

釈然としないが結果は結果だ、大会が終わったら盛大に祝ってやろう。

そんな大会の後のことを考え、ふと憧のほうを見ると、


「えっ?ちょっ・・・え?それで終わり・・・?」

なぜだか困惑していた。

「夢見選手?どうしました?」

四海さんも憧の異変に気づいたようだ。

今の憧の様子はとても優勝が決まった人間の反応ではない。

「おい・・・?憧?」

声をかけてみるが反応がない。

完全に目が血走り、体はカタカタと震え、唖然とした表情をしている。

「えっと大丈夫ですか?」

四海さんが憧に近づいた瞬間だった。


ガッ!

「え?」

憧が急に四海さんの肩に掴みかかり、会場に響くような大声で叫んだ。


「なんで・・・!なんで・・・!


服が破れないんだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


『えっ?』

会場の人々がいっせいに疑問の声を上げた。


「えっと・・・夢見選手?どういう?」

四海さんも困惑し、顔が完全に引きつっているがなんとか会話を試みているようだ。

しかし、それは無意味な行為だった。


「だってよおおおおお!あんた俺の美味い料理食ったんだろ!だったらあのおっさんみたいに服ビリビリに破けろよ!なんで破けねぇんだ!?審査員が美味しいもの食べたら服破けるのがこの世界の常識だろ!?なぁ!?俺はな・・・女の子の裸見るためだけにこのクソつまんねぇ料理大会に出てんだよ!!わかったら今からでも服破けやああああああああああああああああああああ!」

「えっ?いや・・・ちょっと・・・やめてください!あなたは大会で優勝して友達に美味しい料理を食べさせたいんじゃなかったんですか!?」

四海さんは少し涙目になり、話を逸らそうと必死になっている。

だが、この男は止まらない。


「そんなもん嘘に決まってるだろうがあああああああああああああああああああああああああああああ!」

『ええええええええええええええええええええええええええええええええええ!』

俺を含む会場全員が同じリアクションをした。

あのときの感動を返して欲しい、というか嘘だと言ってほしい・・・だが俺の思いは無残にも憧の次の言葉に引き裂かれた。


「そんなもんどうでもいい!俺はな・・・俺は・・・」

彼は下を向き、めいいっぱい空気を吸い込んで叫んだ。


「おっぱい・・・いや!若い女の乳首が見たいんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」



5分後



「夢見選手ですが、先ほど恐喝未遂の疑いで逮捕されたので失格です。あとついでに山原先生も公然わいせつ罪の疑いで逮捕されてしまったため、今年の大会は中止となります。」





・・・家帰ってトリ○読もう・・・

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