第21話 料理マンガの主人公になったからってオッパイが見れるわけではない7
その後も
「脱法オリーブオイルを使用したので失格です!」
「You○ubeの動画が炎上してしまったので失格です!」
「料理作った後の顔が腹立つので失格です!」
参加者は次々と失格になってしまっていた。
最後のに関しては完全に四海さんの好き嫌いだ。
そしてなんやかんやで・・・
「次の出場者が最後になります!!」
最後の1人になってしまった。
そして、ここまであいつが出ていないということは・・・
「それでは最後の出場者、夢見 憧選手です!どうぞ!」
「イエーイ!」
そう呼ばれてハイテンションで出てきたのは、俺がこの大会を見るキッカケとなった友達だった。
どうやら緊張などは全くしていないようだ。
いつもと変わらぬ様子の憧がそこにいた。
「最後の出場者となってしまいましたが意気込みはどうですか?」
四海さんがインタビューをする。
「そりゃもちろん優勝を目指しますよ!!」
まぁこいつ以外の出場者が全員失格になってしまったから、どんな料理を作ろうとも出してしまえば優勝は確定なのだが・・・空気を壊さないためにも黙っておこう。
そんな気乗りしない審査について考えていると
「・・・おっ」
インタビューをしている憧と目が合ってしまった。
向こうも俺が審査員に選ばれたことは流石に知っているだろうが、こちらとしては少し気恥ずかしい。
憧はインタビューの受け答えをしていたのだが、
「あ、そうそうもう一つ目標があるんですよ!」
突然話を区切った。
「ほう、それは?」
四海さんも食いつく。
「この会場に俺の友達が来ているんですけど、ちょっと無理矢理連れて来ちゃったんですよね・・・だからその友達に俺の優勝する姿を見せて、俺の作る料理を食べてもらいたいです!」
「それは素晴らしい!ぜひ頑張ってください!」
そんな労いの言葉を受け、憧はキッチンへと向かっていった。
あいつ・・・そんなこと考えていたのか・・・
俺はてっきり俺の気持ちなんて全く考えずに振り回しているだけかと思っていた。
だけど・・・違うんだな。
あいつはあいつなりに俺のことを考えていてくれたんだな。
そう思うと少しうれしくなった。
ここまで早く帰りたいしか考えていなかったが、最後にようやく応援する気持ちがわいてきた。
「準備もできたようです!それでは・・・調理開始いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
ついに最後の調理が始まった。
そういえばあいつからどんな料理を作るのか全く聞いていない・・・
一体何を作るつもりなのだろう?
「憧選手は一体どんな料理を作るのか・・・まず最初に取り出したのは・・・」
四海さんも気になっているようだ、会場全体が憧を見つめる。
「なんと・・・
もやしです!」
ん?もやし・・・?
あー・・・うん・・・もやしか・・・そっかそっか・・・うん。
まぁ・・・別に・・・もやしをどうこう言うつもりもないけど・・・
そうか・・・ま、まぁまだ別の材料があるわけだしそれを見てからでも。
「次に出したのは『エバ○焼肉のタレ 中辛』です!」
大丈夫か!?
ほんとにその材料で問題ないのか!?
なんか不安になってきたんだけど!
「ほう・・・『エバ○焼肉のタレ』か・・・」
ここまで沈黙を貫いてきた山原先生がやっと口を開いた。
「山原先生、ご存知ですか?」
そりゃご存知だろ・・・ご存知じゃないやつおらんだろ・・・
「あれは・・・この世のどこかに存在する焼肉の森の木の樹液だと聞く・・・」
「そんなト○コみたいな世界観の森あるわけないでしょ!!」
思わず突っ込んでしまった。
「捕獲レベルは8らしい・・・」
「ガララ○ニより上なの!?そこらへんのスーパーで買えますよ!?」
ダメだ、このおっさん嘘しか言わない。
こんなしょうもないやり取りをしていると
「おおっと!憧選手、次は豚バラ肉を取り出し、フライパンで炒め始めました!」
どうやらキッチンのほうも動き出したようだ。
ここまでは異常な行動はとっていない、もやし、豚肉、焼肉のタレ・・・
これらの食材から導き出される料理は・・・まさか・・・
もやしの焼肉のタレ炒め?
いや、そんなはずはない、流石に料理大会でそんな粗暴な料理はしないだろう・・・
「あーッ!豚肉が入ったフライパンの中にもやしと焼肉のタレを投入しました!」
めちゃめちゃ粗暴な料理だった・・・
嘘だろ?あんなに自信満々だったのに料理は焼肉のタレでもやしと豚肉炒めただけ?
1人暮らしの大学生レベルの料理じゃなねぇか!
「よし!あとはこれを皿に盛り付けるだけ・・・」
そう言ってフライパンの中身を平皿に流し込む。
そして憧は自信満々に料理が入った皿を突き出して言った。
「これが夢見流、もやし炒めだ!おあがりよ!」
食戟の○ーマに今すぐ謝って欲しい。
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