第20話 料理マンガの主人公になったからってオッパイが見れるわけではない6

「それでは次の選手どうぞー!」

二人目の逮捕者が出てしまったが、大会は進められた。

いや進めていいのかこの大会。

この時点でいやな予感しかしないぞ・・・

次の選手がまともな料理を作ってくれることを願うしかない。

さて・・・次の選手は・・・

『いよいよだね!兄さん!』

「よし!行くぞ!アル!」

キッチンに現れたのは金髪で右腕・左足が機械鎧の背の小さい少年と、全身に大型の鎧を着込んでいる大男、つまり・・・

「続いての選手は・・・『味の錬金術師 アフラック兄弟』です!!」

この大会で一番予想がつかないヤツらが出てきた。

ほんと何を作るんだこの兄弟。

俺の心配をよそに四海さんは話を続ける。

「お二人は何の料理をお作りになられるんですか?」

「ああ!この前俺たちはカレーを作ろうとして分量間違えて人体練成しちまった。だから今回は・・・」

『野菜炒めを作ろうと思います!』

おお!いたって普通のメニューじゃないか。

これなら特に事件も起こらずに済みそうだ、大丈夫、カレーなら間違って人体練成してしまうかもしれないが、野菜炒めなら大丈夫だろ!うん!


・・・不安だ・・・


「野菜炒めか・・・シンプルだが料理人の腕がはっきりと表れる、このメニューを選ぶとは腕に相当の自信があると見える」

山原さんがいかにも料理評論家のようなコメントを言っている。

正直さっきのねるねるね○ねの件でこの人のことはあまり信じられないが・・・

「それでは料理開始です!」

一抹の不安はあるが、もう信じて待つしかない。

「よし!アル!最初にやることはわかってるな!」

『もちろん!まず最初に


練成陣を書くんだよね!』



「いや一歩目からいきなり踏み外してる!!」

やっぱこんな見た目しているやつがまともな料理を作るわけがない。

もう俺に料理の感想以外で大声を出させないでくれ、頼むから。

魂の突っ込みを聞いた兄のほうがポカンとした顔をしたが、即座に納得したような表情になりこちらに話しかけてきた。

「あ、もしかして俺たちの料理スタイル見るの初めてか?」

「古今東西どこにもそんな料理スタイルは存在しないだろ」

『安心してください!これは美味しい料理を作るおまじないみたいなものなんです。』

「こんな物騒なおまじないあるか!?」

「大丈夫だって!心配すんな!」

「今すぐ鏡を見て同じことを言って欲しい・・・」

『この練成陣からよくわかんない雷みたいなのが出てきてよくわかんない料理っぽいものができるだけですよ』

「よくわかんないものって自分で言ってるじゃん!それ料理って言わない!」

「いやーこの前はホムンクルスできちゃって焦ったな!ハハハ!」

「よりによってホムンクルス作ったアニメ版の方の兄弟だ・・・」

だめだこの兄弟、このままではゴールデンタイムにお茶の間で放送できないレベルのダークファンタジーになってしまう。

下手したら劇場版でシャンバラの道を行ってしまう・・・それなら・・・

「山原先生!あれって料理じゃないですよね!!ねぇ!」

すがれるなら藁でもすがる。

料理評論家なら流石にあれを料理とは言わないだろう。

話を振られた山原先生はカッと目を見開き、腕を組みながら威風堂々と答える。

「2200年前・・・中国では錬金術と料理は同じものとして扱われていたという・・・」

「いや絶対嘘ですよねそれ!」

「・・・君のような勘のいいガキは嫌いだよ・・・」

「それ言いたかっただけでしょ!」

だめだ・・・こいつただの度が過ぎたイエスマンだ・・・


こちらの口論など気にせずに兄弟二人は練成陣を黙々とキッチンに書いていく。

よく分からない文字や、何なのか分からない記号が次々と刻まれていく。

数分後

「これで・・・よし!」


どうやら練成陣が完成したようだ。

『よっこしょ』

そういいながら弟のほうが野菜炒めの食材を練成陣の上においた。

にんじん、キャベツ、お肉、もやし、いたって普通の食材だ。

このまま普通に野菜炒めを作るのではダメなのだろうか・・・

頼むから最低限口に入れられるものを作ってくれ、そう願わずにはいられなかった。

『やろう、兄さん』

「おう!」

兄弟二人が顔を見合わせ、二人がパンッと手を鳴らし、両手を練成陣の上へと置く。

その瞬間


バジイイイイイイイイイイイイイッ!

稲妻のような閃光が走り、練成陣が光りだした。

その上会場内では自然の者とは思えない風が吹き荒れ始める。

四海さんも大興奮しているようだ。

「これはスゴイ!こんな料理見たことありません!!」

そりゃそうだ、料理じゃなくて練成ですもんね。

事情を知らない人がこの光景を見てもとても野菜炒めを作っているとは思えないだろう。

俺だって未だに信じられないのだから。

最悪逃げてしまえばいいか、そんなことを考えていると・・・


「クソッ・・・まずいな」

『兄さん!』

兄弟二人の不安そうな声が聞こえてくる。

なにやら不穏な空気が流れてきているようだ。

その空気に呼応するように、練成陣からさらに強い光が出始める。

会場に吹く風も先ほどより強く、荒々しくなっていく。

「おっと・・・これは・・・大丈夫なのでしょうか・・・?」

「なんかおかしくないか?」

「やだ・・・大丈夫?」

四海さんや会場の観客も異常に気づき始めたようだ。

これは逃げたほうがいいのでは・・・?

そう思った瞬間だった。


ゴオオオオオオオオオオオオオオオン!

すさまじい轟音が会場に響き渡り、練成陣が激しく光り始めた。

その光はすさまじく、とても目を開けていられるものではなかった。

会場全体が真っ白な光へ包まれる。

「クソオオオオオオオオオ!」

兄弟の兄のほうの絶叫が聞こえる。

一体何が起こっているんだ?


徐々に光が弱まっていく。

ゆっくりと目を開けるとそこには


食材の消えた練成陣と、立ちすくむ兄弟がそこにいた。

「そん・・・な・・・・」

アフラック兄弟は二人ともうなだれ、兄のほうは絶望と悲壮が混じったような表情をしている。

「い、一体何が起こったのでしょうか・・・アフラック兄弟のお二人、これは・・・?」

四海さんや会場の人間も未だに混乱している。

そんな中、兄がようやく口を開いた。


「食材を・・・・持ってかれたああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」



5分後


「審議の結果、どうやら食材が手違いで真理の扉の向こう側へいってしまったようです。また、アフラック兄弟は真理の扉を開いたのが軍にバレて連行されてしまったため失格です!」


もうヤダこの大会・・・


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