第7話 モブキャラだって世界程度救える2
「なん・・・だと・・・!?」
最初に口から出た言葉がこれだった。
いや、これ以外の言葉が思いつかなかった。
考えてもみよう、まずハーレムタイプの主人公が初っ端からチ○コを出すわけがない。
そもそも第一話で○ンコを出す主人公って一体何なのだ。
エロゲの主人公でももう少し慎み深い。
さらに畳み掛けるように風丸から聞きたくない報告が飛んできた。
「やべぇぞモブ・・・伊織飛鳥の飛鳥がYAH YAH YAHしている!」
「なんでだあああああああああああ!?」
「朝妹に起こされてすぐさま学校に向かっていったからな。そのせいでチン○も起きたままだったんだろう。」
「いくらなんでも元気すぎるだろ!」
しかしこのままではまずい。
このままだと主人公がヒロインに会う前に逮捕されてしまう。
また問題はそれだけではない。
「このままじゃまずいな・・・」
「ああ、とりあえず警察に捕まらないように」
「いや、それもあるんだがこのままヒロインに会わせるのもまずい。」
「そりゃあチンコ丸出しだしな。初見で高感度ダダ下がりなのは明白だ。」
「それ以上にヤバイことが起きる可能性がある・・・。」
「?」
風丸は首をかしげた。
確かにヒロインにチン○を見られる以上に悪いことなんてなかなか思い浮かばない。
だが俺はその恐ろしい可能性を口にした。
「お前このあとどういうハプニングが起きるか覚えているか?」
「そりゃあ昨日のミーティングで確認したし覚えているさ。えっと確か・・・鳳凰寺と伊織が曲がり角でぶつかって・・・倒れた伊織の上に鳳凰寺が乗っかってそのあとなんやかんやで伊織が鳳凰寺のオッパイを触る・・・だったよな?」
風丸はあっけらかんと答えた。
「そう、その状況に則した何かしらのエロイベントが起こる。そうだとすると今のチン○丸出しの主人公とノーパンのヒロインがぶつかって、ヒロインが倒れた主人公の上に乗っかる・・・どうなると思う?」
「それは・・・・あッ!????」
ようやくこいつも気がついたようだ、今の状況の危険性を。
その最悪の予想を。
「そう・・・このままでは最悪、ぶつかった次の瞬間に二人が・・・合体している可能性だってあるんだ!!!」
「な、なんだってー!!」
第一話で主人公とヒロインが出会って即合体する。
そんなことはアクエリオン以外ではあってはならないのだ。
しかし、どうやら風丸は信じられないらしい。
それもそうだ。話の展開が速いエロゲでもこんなに早く合体することはない。
「そんな一昔前の名作エロフラッシュ画像みたいなことが起こりうると本当に思っているのか!?」
「女と出会えば即エロイベントが起こる伊織だぞ・・・十分にありえる。」
「それは・・・」
風丸は納得できないという顔をしていたが、実際起こりうる事態なのだから仕方がない。
「だが・・・そうだとしてどうするんだ!?あいつのドラゴンは未だにビンビンなんだぞ!あれじゃあそっとチャックを閉めることもできない!」
「そうだな・・・」
考えろ。考えるんだ園田茂部雄。
この物語をR18指定にさせてはいけない。
とりあえずはあのチン○をどうにかせねば・・・。
時間は刻一刻と迫ってきている。
手段を選んでいる場合ではない。
どんな手を使ってでもあのチン○をなんとかしなければならない!
数秒考えた後、プランが思い浮かんだ。
しかしこれは過酷な作戦だ。些細なミスが悲惨な結果(R-18指定)が待っている。だが、やるしかない。
「・・・私にいい考えがある。」
「・・・なんかその言い方だとものすごく失敗しそうな気がするからやめてくれ。」
こうして俺たちの作戦が開始された。
まず人員の補充が必要だ。
今現在この場には風を操ってパンツを見るしか脳がないドスケベと、背景と同化してしまうほど地味なモブしかいない。
「・・・なんか今失礼なこと考えなかったか?」
応援を呼ぶために携帯を取り出す。
「・・・こちらブラボー1、本部応答せよ。」
『こちら本部、どうした?』
「緊急事態だパターン690、至急応援をこちらによこして欲しい。」
『690!?チン○排除プログラムか!?』
どうやら向こうもこちらがどれだけ緊迫した状況にあるのかを理解してくれたようだ。
「そうだ、しかも一刻の猶予もない、空間と直の二人をこちらによこしてくれ。」
『了解した・・・健闘を祈る・・・』
「ああ、なんとかしてやるさ。」
そう言って俺は電話を切った。
「え?何今の電話?パターン960って何?」
風丸が怪訝そうに聞いてきた。
「本部に応援を要請した。すぐこちらに向かってくれるそうだ。」
「いやそういうことを聞きたいんじゃなくて、なんなんだよチン○排除プログラムって!なんでコード960でわかるんだよ!てか、こんな馬鹿げた状況を想定してたの!?」
「当たり前だ。俺たちはどんな状況にも即座に対応しなきゃいけないからな。他にも主人公のキンタ○が4つだったパターンや、主人公のチン○がヤマタノオロチになってしまったパターンも想定しているぞ。」
「何なのその主人公の股間に対する隙のないサービスの良さ!」
そんなことを言い合っている中、
ヴンッ
という音が突如鳴った。
音がした方向を見てみると、何もない空間から男と女が一人ずつ出てきた。
そう突然に、だ。
男の方は身長が180センチほどの高身長で、長めの髪が顔を完全に隠していた。
体全体のシルエットは細く、簡単に折れてしまいそうな弱々しさが感じられる。
「空間 断、早区 直・・・到着した・・・。」
男が小さい声で言った。
突然何もない空間から現れたのも、風丸同様この男が持つ特殊能力によるものだ。
実はこの空間 断という男は空間を自在に操るという能力バトル漫画のラスボスも真っ青になるチート能力の持ち主である。
ただやはり所詮モブキャラ、こんな能力を持っていてもこの世界の表舞台でこいつが活躍することはない。
打って変わって女の方は身長が150センチほどで小柄だ。
顔は全体的にキリッっと凛々しく、目や眉毛などがつり上がっている。
髪は短くパッと見は活発そうであった。
すると女が元気いっぱいの笑顔で空間と名乗った男の背をバンっと叩きながら言った。
「どうした断!元気ないな!ほら私を見習って元気を出せ!!あ、もしかして朝飯食べてないのか!?私のお弁当食べるか!?」
「いや・・・別に・・・これいつも通りだし・・・。」
「え?何?なんて言った!?男だったらハキハキしゃべれ!」
どうにも噛み合わないこの二人が先ほど電話で頼んだ増援だ。
「お?空間と早区か、オッスー!」
風丸が親しげに軽い挨拶をした。
「おー!風丸!オッスー!応援に来たぞー!」
早区が元気いっぱいに挨拶を返す。
「風丸・・・あとモブオも・・・おはよう・・・」
空間も元気ではないが挨拶を返した。
この二人は俺だけではなく風丸とも友達である。
というのも、この場にいる4人は全員同じ高校のクラスメイトなのだ。
そもそも今回のような主人公をサポートするような作戦は、基本的に俺たちが所属するクラス単位で行われている。
本部である教室では今も作戦のサポートをするべくみんな奔走しているだろう。
もちろん作戦に参加するのはモブだけだ。
まぁこの話はまた今度にしよう。
ともかくこの場に居る四人は、幾多の修羅場を乗り越えてきた戦友なのだ。
「ん?モブオー手から血が出ているよ?」
早区が俺の手の平を見て言った。よくもまぁこんな傷見つけるもんだ。
「あー、朝出るとき転んだからそのときかな。どうってことないよ。」
朝は早めに出て作戦の準備をしなければいけないためいつも慌しいのだ。
まぁ今回は若干寝坊してしまっていつも以上に焦って転んでしまったのだが。
「いやいや!こんな小さな怪我でもほっとかない方がいいって!手出して!」
と、言い終わるのと同時に早区が半ば強引に俺の手を取り、怪我をした部分に自分の手をかざしてみせた。
すると不思議なことに、手の傷が一瞬で消えた。
「はい!元通り!今度からは気をつけなよ!」
「ああ、ありがと。」
これが彼女の能力である。
どんな怪我でも一瞬で元通りにしてしまうのだ。
例え心臓を一突きにされていようが、爆発に巻き込まれようが、月牙天衝を喰らおうが、かめはめ波を喰らおうが一瞬で直すことができる。
その上怪我による痛みも抑えることができる。
どっかの主人公が肋骨が何本かイっても平然と動けるのはこいつのおかげなのだ。
さらに元通りにできるのは怪我などといった外傷だけではない。
例えば理科の実験の失敗によって爆発が起き、それが原因で髪型がアフロヘアーになっても一瞬で元通りにすることができる。
こいつも負けず劣らずのチート能力者である。
ただし、病気や風邪などは治せないようだ。
おっとゆっくりしている時間はない。
「状況は伝わっているか?」
俺はとりあえず確認をとった。
「うん!パターン960でしょ!腕が鳴るよ!」
「僕も・・・がんばる。」
「チン○排除するのに腕が鳴る必要あるんか・・・」
二人とも気合は十分なようだ。風丸は相変わらず納得がいっていないようだが。
「作戦を一から説明してる暇はない!俺の指示通りに動いてくれ!」
「「「了解!」」」
「オペレーションデストロイちん〇!始動!」
こうしてこの作品の運命、いや主人公のチン○の運命を賭けた作戦が始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます