第2話 魔法少女だってエロイこと考えるときくらいある2
「ええ・・・私はこいつを打ち倒す・・・ありがとう、あんたのおかげで目が覚めたわ・・・。」
正義の心がチン○に勝ったッッッ!!
よかった・・・。
本当によかった、やはりこの人は腐っても正義の味方なのだ。
この世界を守る主人公の一人なんだ。
そしてなぎさ姉さんはゆっくりしゃべりだした。
「でもね・・・ここでこいつをぶっ飛ばしても何の解決にもならないわ・・・」
「それは・・・」
確かにそうだ、仮にこいつを吹き飛ばしたとしてもこいつは懲りずにまた同じ犯罪を繰り返すかもしれない。
問題の解決のためにはこいつを改心させる必要がある。
「どうしたんだい?僕の体を見ないのかい?」
変態は堂々と腕を組んでアレをぶらんぶらんさせている。
「じゃあ一体どうすれば・・・」
「私が説得してみるわ・・・」
「えっ!?」
悪人の説得、確かにこれも正義の味方の仕事だ。
しかし・・・この人一人置いて行くのはやはり危険すぎる。
「なら俺も一緒に、」
「ダメよ!!!!」
凛とした力強い声だった。
その一声だけで完全に俺の言葉は止まってしまった、それほどの迫力だった。
そしてなぎさ姉さんはさっきとは真逆の優しい声でささやいた。
「危ないからあなたは家に帰りなさい・・・ここから先は私たち正義の味方の仕事よ。」
「で、でも・・・」
「お願い・・・私を信じて・・・絶対にこいつを改心させてみせるから・・・」
その言葉からは優しくも確固たる意思が感じられた。
そうか・・・これが正義の魔法少女なのか・・・俺はなんでこの人のこと疑ってしまったのだろう。
きっとこの人なら大丈夫だ・・・むしろ俺がいたら邪魔になってしまう。
「わかったよなぎs」
すべてを彼女にまかせて立ち去ろうとしたそのときであった。
「大丈夫よ・・・この人とちょっとそこの公衆トイレで話し合うだけだから・・・」
・・・・・・・・・・・・・ん?
今なんて言った?公衆?トイレ?・・・なぜ?
「大丈夫、大丈夫、ちょっとそこの誰の助けもこなさそうな公園の公衆トイレで露出狂の変態と魔法少女がお話するだけだから、うん。」
・・・・ん?え?これは俺がおかしいのか?
「もしかしたら興奮した露出狂に突然教われて、なすすべも無く服を脱がされ恥辱の限りを受けることになるかもしれないけど大丈夫よ。」
あ、違う。おかしいのこの人だ。
「ちょっ、なぎさ姉さん?」
声をかけるが彼女は止まらない。
「全裸にされたうえに○○○や○○○○とか○○○○○○されるかも・・・あ、あと魔法少女のスティックを○○○して・・・ああっ!違うの!そのスティックはそんなことのために使うんじゃ・・・」
「なぎさ姉さん止まって!!一回落ち着こう!!」
「確かにスティックに振動機能はあるけど・・・それをこんな・・・嘘・・・いや!ダメよ!スティックのピラピラの部分を・・・」
一体魔法スティックで何を想像しているんだ。
「え?・・・ちょっと・・・大丈夫ですか・・・?」
ついには露出狂の人にも心配された。
「いや大丈夫じゃないですけど何とかするんで!ちょっと待っててください!」
「一通り終わった後個室の洋式便所に連れ込まれて太ももの辺りに『正』って書かれるんだわ!そして身動きできないよう縛ったまま放置されてそこらへんのホームレスといやらしいパーティーを・・・」
「ほんとお願い!こっちの世界に戻ってきて!このままじゃこの作品年齢指定かかっちゃう!!」
この小説は全年齢対象となっています。青少年の健全な育成を阻害するものではありませんので安心してください。
「ハッ!私は一体・・・」
必死の懇願が通じたのかやっと正気に戻ってくれた。
「なぎさ姉さん!落ち着きましたか!?」
息を切らし肩を上下させていた。明らかに興奮状態になっているなぎさ姉さんを見て露出狂が明らかに引いていた。
「クッ!私としたことが・・・これから始まるセッ・・・じゃない話し合いにこんなに正義の心が昂ぶるなんて・・・」
「おい!今なんて言おうとした!!てか話し合いでそんなに正義の心が昂ぶるわけ無いだろ!」
「正義だろうと性技だろうとなんでもいいでしょ!さぁこれからは大人の時間よ!子供はさっさと帰りなさい!!」
「いやあんた一応魔法『少女』だろ!?」
「いい加減にしないと魔力であんたの体吹き飛ばすわよ?」
「もう完全に台詞が悪党だよ!」
なぎさ姉さんが本格的に抵抗してきた。
しかし力では魔法少女のなぎさ姉さんに勝てないだろう。
となるとやはり説得しか手段がない。
どうにかしてこの暴走状態をなんとかせねば。
「魔法少女がそんなに汚れてていいの!?魔法少女は正義の味方なんでしょ!?」
俺は腹のそこから全力の声を出した。
するとなぎさ姉さんの動きがピタッと止まった。
「魔法少女だったら・・・だめなの?」
「え?」
今までとは打って変わって小さな声で呟いた。
体も小刻みに震えていた。
「魔法少女だったらエロイこと考えちゃいけないの・・・?他の女の子たちみたいに妄想とかしちゃいけないの・・・?」
彼女の声はこれまでとは違い弱々しく、これまで数多の怪人を倒してきた魔法少女なぎさの声ではなかった。
これは、「魔塚なぎさ」という少女の本心だ。
「私だってわかっているよ・・・魔法少女がこんなこと言っちゃいけないって。みんなのお手本でい続けなきゃいけないって。でもね、そう考えたときいっつも他の女の子たちはどうなんだろうって考えちゃうの。」
「なぎさ姉さん・・・」
「魔法少女であることに誇りは持っているよ!?でもね・・・私だって一人の女の子なんだよ?男の子のことだって気になるし、性行為だって興味があるんだよ。」
そうか・・・この人はこれまで魔法少女として生きていくためにいろんなモノを犠牲にしてきたんだ。
みんなの憧れであるために、みんなの正義であるために。
「でもね・・・もう限界なの・・・私29だよ・・・?もう魔法少女も処女もキッツイ歳よ?なりふり構ってられないの。」
「ッ・・・!」
重い一言だ。
もしかしたらこれは彼女にとって千載一遇のチャンスではないのだろうか。
俺は・・・このチャンスを潰してはいけないのではないか?
このまま彼女が大人の階段を上っていくのを黙って見届けてあげるべきではないのだろうか。
あ、見届けるってそういう意味じゃないよ?
「だからね・・・お願い・・・私を止めないで。」
「なぎさ・・・姉さん・・・。」
ダメだ・・・俺には止められない。
この人が背負っているモノを知ってしまったから。
いいじゃないか、魔法少女がド変態でも。露出狂の変態に犯されたがっても。
世界は広いんだからそういう魔法少女だっていてもいいじゃないか。
「わかったよ・・・なぎさ姉さん。俺はここを離れるよ。」
「モブちゃん・・・!!ありがとう・・・ありがとう・・・!」
彼女の目を隠し続けた僕の手に、暖かい涙が触れているのがわかった。
俺はその手をそっとはずした。
魔塚なぎさは言い放った。
「それじゃあ露出狂!公衆トイレで話し合おう!!私は無抵抗であなたに危害は加えないから、そこで何してもいいわよ!!」
これで彼女は魔法少女としてのすべてを失うのかもしれない。
それでも魔塚なぎさは選んだのだ。
正義よりも彼女の女としてのプライドを。
そして露出狂はその答えを口にした。
「いや・・・さすがに露出狂に襲われたがっている変態魔法少女と公衆トイレで一対一はちょっと・・・さすがに引くって言うか・・・露出狂の私もドン引きというか・・・スンマセン無理っすわ・・・。」
そのとき、世界が凍りついた。
辺りを静寂が包む。
「・・・第一、第二魔力開放・・・」
なぎさ姉さんの纏う空気が変わった。
どす黒い、この世の闇をすべて包括したようなオーラが出ている。
「来たれ深遠の闇・・・この身に宿れ灼熱の業火・・・」
なんかものすごくまずい気がする。
なぎさ姉さんを中心に空気が渦巻き、周囲の地面にヒビが入ってきている。
気のせいか彼女の周囲に黒い稲妻のようなものが走っている。
「ちょ・・・ちょっと?なぎさ姉さん?」
「生きるは許さず、死するも叶わず、絶えず自壊する泥の人形、結合せよ、反発せよ、地に満ち己の無力を知れ・・・」
だめだ、全然届いていない。
「え?ちょ?なにこれ?え?」
露出狂も困惑している。
「は・・・早く逃げるんだ!!じゃないととんでもない目に・・・」
「地獄の門より全てを焼き尽くす獄炎よ、我が眼前の敵を残らず消し去れ!!」
あ、終わった。
「魔神剛炎裂波千刃黒焔龍衝!!」
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
すさまじい轟音とともに放たれたその魔法は、彼女の心を表すかのように禍々しい真っ黒な炎の龍となって標的を燃やし尽くした。
奇跡的に近隣の家を吹き飛ばすことなく、変態だけをみごとにマル焦げにしていた。
そして彼女は・・・
「ふう!すっきりした!!」
何事もなかったかのようにとても清々しい顔をしていた。
気に入らないものをすべて吹き飛ばし、存在するかもわからない運命の相手を探し続ける悲しい存在。
それが魔法少女魔塚なぎさなのだ。
「うーん、久しぶりに大魔法打ったら汗かいちゃった・・・。モブ君よかったら久しぶりにオネェちゃんと一緒にお風呂に・・・」
「オツカレッシタァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!」
俺はあまりの恐怖にその言葉を最後まで聞くことなく、その場から全速力で逃げ出した。
戦え!魔法少女なぎさ!!この世の悪をすべて滅し、運命の相手のチン○を見るその日まで!!
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