38「サンズオブリバティ」

 「早いリベンジだな。良いのか?」

 ボスは外を見ながら言った。

 「俺の中に記憶がある内に言っておく。ありがとう」

 「どうゆうことだ?」

 「何、今まで親代わりとして育ててくれた礼だ。ボスに別の目的があろうとも関係ない。俺はボスを倒さなくてはいけないようだ」

 ボスは笑みを浮かべ、振り向く。

 「決着を付けよう。本当のな」

 マイケルとボスは構える。

 ボスは手を開いた状態、マイケルは握っている。

 

 マイケルは一直線にボスに向かう。

 胸に肘打ち。

 ボスは対処ができなかった。

 マイケルは更にアッパーをする。

 そして腹を殴る。

 ボスはその手を掴み、押さえつける。

 マイケルの顔面を殴り、床に叩きつける。

 マイケルはすぐさま起き上がる。

 その際、足払いをする。

 ひとまずタックルをし、ボスとの間を取る。

 「良いじゃないかマイケル」

 「こんなもんじゃない」

 2人はゆっくりと近づく。

 ボスは素早く、マイケルの襟を掴む。

 マイケルを背負投げのように投げようとする。

 しかし、マイケルは、体が浮いたと同時にボスに足掛けをする。

 結果としてボスが先に床に倒れた。

 マイケルはボスの背中にパンチをする。

 ボスは起き上がる。

 

 戦いは長く続いた。

 ボスはマイケルを投げようとする。

 半分は上手くいき、半分は上手くいかなかった。

 マイケルはボスになんとかして攻撃を食らわそうとする。

 半分は上手くいき、半分は上手くいかなかった。

 15分もの時間がたった。

 マイケルはボスが耐えられない程の力で思いっきり頬を殴った。

 ボスは倒れ、床に大の字になる。

 マイケルはなんとかしてその場に佇む。

 「これでお前は、自由だ」

 ボスは震える掠れた声で言葉を発する。

 「ああ、そっちもだ」

 それはマイケルも同じだった。

 マイケルは振り向き、扉へと向かう。

 

 ガラスが割れる音。

 マイケルはとっさに振り向く。

 ボスは頭から血を吹き出し、死んでいた。

 マイケルは、空にヘリがあるのが見えた。

 乗っている人を確認する余裕もなく、ヘリはどこかへ行ってしまった。

 「おい、おい!」

 声をかけるが、ボスは反応しない。

 マイケルは続けて何か言おうとしたが、こらえた。

 「どうした!?」

 マルコ達は扉を開け、入ってくる。

 そしてボスの様子を見て驚く。

 泣く者もいれば、目を閉じる者もいる。

 マイケルは目を閉じる者だった。

 アマンダに無線を繋げる。

 「終わった。ボスは死んだ」

 「貴方が殺ったの?」

 「違う、ヘリが飛んでいた。狙撃だ。脳天に1発だけ」

 「分かったわ。詳しい話は後にしましょう」

 無線が切られた。

 「帰還だ、行こう」

 「スタジアムは近くにある。案内しよう」

 「歩けないやつはいるか?」

 そう言ったマイケルが手を上げる。

 「立ってるじゃないか」

 「なんとかな」

 マイケルはカービンに肩を借りる。

 「それじゃあ、行こう」

 全員、その場を去った。

 ただ、ボスの動かない死体と、チームα(アルファ)を残して。


 マイケル達がスタジアムについた時、もう既にヘリは来ていた。

 アマンダがヘリから降りてくる。

 「お疲れ様。色々あると思うけど、取り敢えずアメリカまで戻るよ」

 マイケル達はヘリに乗る。

 マイケルは窓から下を眺める。

 雲天は更に濃くなっていた。

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