28「Ask the last」

 手帳を閉じ、カービンからたらい回しに見る。

 「どう思う?」

 「俺達が戦ったあの怪物だろう」

 「この手帳には2.5メートルだと書かれているが、あれは3メートルはあった」

 「成長スピードがかなり早いということね」

 「これも、あの怪物がやったのでしょうか」

 マイケル達は怪物が壊したと思われる扉を見る。

 マイケルに無線が繋がった。

 「ガルーダだ。お主等、今もしかして病院に居るか?」

 「ああ、そうだが」

 「そこにおそらく薬品保管室という部屋があるはずだ。もしかしたらそこにワクチンについて何かあるかもしれん。儂の最後の頼みだ」

 「分かった。ところで今、怪物について判明した」 

 マイケルはそのまま手帳に書いてあったことを説明した。

 「ということだ」

 「なるほど、それじゃあまた何かあったら頼む」

 ガルーダは無線を切る。

 

 マイケルはアマンダにも怪物について説明する。

 だが、アマンダは何も話さない。

 

 マイケル達は地図を見てその部屋を出る。

 そして階段へ向かうが、その途中に通路の奥の天井に穴が空いているのに気付く。

 「あそこから出たのか」

 「もうこの時点でこれほどだったのか」

 階段を上がり2階。

 職員通路側にその部屋はあった。

 中に入る。

 錠剤から液体、軟膏、更には通常の知識では医療に使うとは思えないようなものまであった。

 だが、目当ての物は無かった。

 マイケルはガルーダに無線を繋げる。

 「何も、無かったぞ」

 「そうか…」

 マイケルが無線を切ろうとした時、ガルーダは話し始めた。

 「誰かが毒を盛った。いや、解毒剤と言うのがいいか」

 「どうゆうことだ?」

 「虫が弱くなっている」

 「何?」

 「話した通りだ、儂の気のせいかもしれんが」

 「分かった、何かあったら連絡する」

 マイケルは無線を切った。

 「虫が弱くなっているらしい」

 「それは良いことじゃないのか?」

 「それはそうだが...」

 「静かに」

 カービンは唐突に言った。

 マイケル達は会話を止める。

 銃声がかすかに聞こえる。

 1発や2発程度ではない、フルオートで撃っているようだった。

 「下か、行くぞ。気をつけろ」

 マイケル達は部屋を出て、1階へ向かう。


 職員側とロビーを隔てた扉にマイケル達は潜む。

 ゾンビは少ない。

 例の怪物がほとんど倒してしまっていたようだ。

 「どうします?」

 「敵が分からない。それに戦う理由は無い。ここに職員用の入り口があるはずだ。そこを通り、ここを抜けよう」

 「分かった」

 マイケル達はそこを目指す。

 しかし、声が聞こえた。

 「どこにある!?」

 何かを探しているようだった。

 「どうする?」

 「賭けてみるか」

 マルコはそこらへんの瓦礫を拾い、前方に投げる。

 瓦礫が砕けた。

 「何だ?」

 マイケル達は銃を構える。

 しばらくし、人が出てきた。

 マイケル達はフラッシュを炊く。

 「何!?」

 赤い半袖に黒い短パンの男はこちらに気付き、目を隠す。

 「銃を捨てろ」

 「誰だ、俺達は薬を取りに来ただけだ」

 「銃を捨てろ」

 マイケルはさっきよりも強い口調で言った。

 男は銃を地面に置き、遠くに滑らす。

 カービンの足元に古いアサルトライフルが来る。

 その時、もう2人出て来る。

 ベレッタは天井に向かって撃つ。

 その2人は止まった。

 「何者だお前ら」

 男が聞いてきた。

 「それはこっちのセリフだ」

 「俺たちはなんでもねえ、ただの一般人だ」

 「名前は?」

 「シャルル・ウィルだ」

 マイケル達は明かりを消す。

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