27「ハンセイン」

 ハンセインは撮った写真を眺めていた。

 「不思議だと思わないですか?」

 ハンセインが唐突に言う。

 「何がだ?」

 「何故これを隠していたかです」

 「確かにな」

 「こんなこと、どこの病院、研究所でも分かるはずです」

 ハンセインはカメラをホルダーにしまう。

 「どうゆうことでしょうか?」

 その場に居る全員が勘付いていたが、確認をしたかった。

 「あれは何者かに計画されていたものだったんです」

 「な、なんだって!?」

 「ハンセイン、お前は何のためにジャーナリストをしているんだ?」

 マルコが驚く中、マイケルは冷静に聞いた。

 「世界危機、あの真相を見つけるためです」

 「真相か、確かにあれはおかしかった」

 「そうですね、世界の各地で同時に起こり、収まった後は対立もなしに1つの国になった。何者かが関与していると考えるのはおかしくはありません」

 ハンセインは2つのウイルスについて書かれた書類を手に取る。

 「そうです。そしてこれがその証拠の1つ」

 マイケルはなるほど、と一言言った。

 そして少ししてから聞いた。

 「何故、真相を解き明かそうとするんだ?」

 ハンセインはしばらく考えて答える。

 「僕はあの時の真相を知りたいだけです。それで世界がどう動こうが僕には知りません」

 「デモや暴動が起きようともかしら?」

 「ええ、要は僕は発火剤です、炎の大きさはその後の炭によります」

 「いつから、真相を知りたくなったんだ?」

 「カメラを持ち始めたのは、物心が付き始めた時です。オーストラリア出身ですが、世界危機の時はフィリピンに居ました。その時はカメラマンになりたいと思っていました。ですがその後、知りたくなったんです。世界の真相を」

 「それでジャーナリストなったと、一応言っておくが俺達は何も知らないぞ」

 マイケルはハンセインを指差す。

 

 マイケルはもう1度地図を見る。

 「なあ、ここおかしくないか?」

 マイケルはその部分を指さしながらハンセインに見せる。

 その部分とは地下、通路があるがその片方にしか部屋がなかった。

 「一般通路からは行けないな。このまま階段で降りるしかないようだ」

 マイケル達はその部屋を出て階段へ向かう。

 「エレベーターは何故使わないんです?」

 「こんな事態だ。止まっているかもしれないし、止められる可能性もある。そうでなくても、密室空間に居るのはまずい」

 「なるほど」

 マイケル達は階段を下り、地下へ向かう。

 

異変は地下についた時、すぐに気付いた。

 通路には多くの動かない死体と大量の血があり、所々の壁が壊されていた。

 あたりを見渡しながら目的の箇所へ行く。

 異変はその場所でもあった。

 「何だ...これは...」

 おそらく、そこには通常厚い扉があり、パスワードでなければ開かなかっただろう。

 だが、そこにあるはずの扉は床に半壊で倒されていた。

 「一体何があったんだ...」

 マイケル達は急いで中に入る。

 部屋は3つに区切られており、手術台のような台が各区間に1つ置いてあった。

 そして様々な装置が置かれていた。

 カービンは研究員らしき死体を探り、手帳を取り出す。

 その手帳をさっとめくり、マイケルに手渡す。

 マイケルはページを開く。

 数ページ開いたところで気になるページを見つけた。

 

 X/Y

 数年前から研究しているあの奇形児だが、例の虫を寄生させた所、4つの突起物生えてきた。まずい気がする、果たしてこいつをこのまま遊び半分に生かしておいて良いのだろうか。気味が悪い。

 

 数ページめくる。


 ■/■

 何故俺たちはあんなことをしているんだ?あいつは文字通り怪物だ。2.5メートルだぞ。これ以上抑えられない。あれが凶暴になり、外に出たらどうする。辞表を出してから1週間たった、後1週間だ、ここはヤバイ。

 

 マイケルは手帳を閉じる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る