26「伏せられた真実」

 マイケルはハンセインから渡された地図を頼りに病院内を進む。

 カービン達もショットガンを構えながらその後に付いて行く。

 動かないエスカレーターを駆け上がり、最上階まで行く。

 そしてとあるドアの前に着いた。

 重いドアの横にはカードスキャナーが。

 「カードキーか、面倒だな」

 「専用の物があるのでしょう。おそらく、そこら辺のそれらしきゾンビが持っているのでは?」

 「そうだな、探すとしよう」

 マイケル達はそれらしきゾンビを探すが、それはすぐに見つかった。

 白衣を着たゾンビだ。

 ゾラキはショットガンをそのゾンビに向かって零距離で撃つ。

 ゾンビは胸から上が無くなり、その場に倒れる。

 そのゾンビのポケットを漁る。

 「ありました」

 取り出したのはカード。

 白衣で血を拭き取る。

 

 マイケル達は扉から少し離れてショットガンを構える。

 ゾラキはカードキーをスキャナーに差し込み、少し離れる。

 もちろん、銃は構えている。

 重い扉がゆっくりと開くと同時に、10体程度のゾンビが押し寄せる。

 マイケル達はそれらをすぐさま処理した。

 そして銃を構えながら扉の先へ進む。

 

 そこに居る死体は全て白衣を着ている。

 マイケルは地図を確認し、研究室へ進む。

 

 ドアを開け、中に入る。

 中にゾンビは1体も居なく、動かない死体が数体あった。

 ところどころに血が実験道具に付着している。


 ハンセインはその部屋に入るやいなや、あらゆる箇所を物色し始めた。

 引き出しを片っ端から開け、中を探る。

 書類は全て目を通す。

 マイケル達もその書類に目を通す。

 その書類は、なんてことのない報告書だった。

 今回のパンデミックとも、15年前に起きた大規模なパンデミック「世界危機」とも関係のないものだった。

 シャッター音の後、ハンセインはマイケルにとある書類を渡す。

 

 レッドストリパノレーマについて。

 その書類にはそうタイトルが付けられていた。

 マイケルはその書類を読む。

 「どうやら、俺等の見解は当たっていたようだ」

 マイケルはその書類を軽く叩きながら言った。

 「寄生虫か!それじゃあウイルスも…」

 マルコはその書類を取り、そして眺める。

 「ああ、その書類をよく見てくれ。ゾンビウイルスについては書かれていないが、ゾンビウイルスBというウイルスの名前がある」

 「こいつを見てくれないか」

 カービンは持っている書類をマイケルに渡す。

 ゾンビウイルスA、ゾンビウイルスB。

 その文書に書かれているウイルス名だ。

 「私達の考えは当たっていたようね」

 マイケルはガルーダに無線を繋げる。

 「何か分かったのか?」

 「ああ、ゾンビウイルスは2つあった」

 マイケルは書類を見ながら話す。

 「1つは人に、もう1つは動物に。人の方はお前も知っていると思うが、動物の方はどうやら凶暴化させるだけで、死なせはしない。それに、人も襲わないらしい。2つのウイルスの発病期間は5日間」

 「なるほど、虫については?」

 ガルーダは少し興奮気味に言った。

 マイケルはもう1つの書類を見る。

 「虫の名前はレッドストリパノレーマ。15年前の世界危機の時にウイルスに感染した。だが、突然変異が起き、人に寄生するようになった。虫も前は人に寄生するような虫では無かったらしい。感染経路はおそらくゾンビと同じだろうと書いてある」

 「ワクチンについては何かあったか?」

 「いや、それはない」

 「そうか、ありがとう」

 マイケルは無線を切った。

 そしてアマンダにも同じ説明をする。

 もちろん返答は無い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る