23「ガーディアンアーミーズ」

 他の家と同じような家にマイケル達は案内された。

 『どうぞ、お座りください』

 グレスは干し草が敷かれた椅子を指して言った。

 部屋の中には椅子と机、それにベッドが4台置かれていた。

 マルコは椅子に座る。

 『ところで、己はどうするんだ?』

 『空いている家がある、今晩からはそこで。後で案内しよう』

 『分かった』

 エルドは槍を地面に置き、頭を下げる。

 『すまなかった。ここまで来れたのも、おめえらのおかげだ』

 エルドはそう言って、ゴーグルをマイケルに返す。

 『ありがとう』

 「ああ、達者でな」

 エルドは槍を持つと、グレスの後ろに下がる。

 『何かあれば言って下さい。食事の用意も出来ます』

 グレスはお辞儀をする、そしてエルドと共にその場を去って行った。

 

 マイケル達はそれぞれ適当な場所に居る。

 「エルドが去ったが、俺達はどうするんだ?」

 「ひとまず、ボスを探す。そして、何故俺達がこの状況に置かれているのかを探る必要がある」

マイケルはベッド上であぐらをかく。

 「しかし、ボスの手がかりは無しと。これでは探すにしても難しいでしょう」

 「こうゆうのはどうかな?」

 ハンセインは立ち上がる。

 「ひとまず、僕の行きたいところへ行かせてもらおう」

 「何処だ?」

 「街にあるとある研究所だ」

 ハンセインはおそらくその研究所がある方向を指差す。

 「それでどうしようってのよ?」

 「そこにこのパンデミックのヒントがあるかもって話ですよ」

 「それは駄目だ、それよりボスを探すことが最優先だ」

 「マイケル。ボスは言った、自由になれと。今はもう、そうするしかないんじゃないか?」

 マイケルは横になる。

 「自由は苦手だ」

 カービンは手のひらを返すジェスチャーをする。

 「まあ、どうせ街に行くし寄ればいいさ」

 ハンセインは元の場所に座る。


 数時間後。

 日は落ち、既に辺りは暗くなっていた。

 マイケル達は談笑をしている。

 そこに、足音が近づく。

 息を切らしながらエルドが入ってくる。

 「どうした?」

 『来てくれ。奴だ、怪物だ』

 「なんだって!?」

 マイケル達はすぐさま立ち上がった。

 『こっちだ』

 エルドはマイケル達の言っていることは分からなかったが、それでも走り出した。

 マイケル達はその後を追う。

 

 外は以外にも明るかった。

 村じゅうの人が外に出ていて、騒がしかった。

 『あそこだ』

 村のある丘の上からエルドは指差す。

 そこには、例の怪物が居た。

 村からはそれ程遠くなく、マイケル達でも認識できた。

 「マイケル、どうする」

 「このままじゃこの村がやられる。ここで食い止めるぞ」

 「でも、どうやって?」

 「車を使いましょう。遺跡では夜は鈍くなるとありました」

 「よし、それで行こう」

 マイケル達は車に急ぐ。

 『待て、俺にもやらせてくれ』

 マイケルはゴーグルを外し、端末を操作し、エルドの目に当てる。

 「お前には無理だ。もう銃も返した。お前は俺らの仲間じゃない。お前に出来ることはもうない」

 ゴーグルを着けると、マイケルは車の運転席に乗り込んだ。

 

 バンは唸りを上げて発進した。

 ガラスを割り、そこから銃口を出す。

 助手席にはカービンが居た。

 マイケルは、怪物を見る。

 赤い斑点は少なくなっているような気がした。

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