18「死体の見える浜」

 スタイヤー達のボートはマイケル達の右に来た。

 船の上から、数人がハンドガンで撃ってくる。

 マイケル達はアサルトライフルで応戦し、船の上にいる奴を倒す。

 「やっぱり、威力が落ちてやがる」

 「頭に当てれば1発よ、上手く狙って」

 「長く頭出してたらこっちが狙われますよ」

 「取り敢えず撃て!」

 マイケル達は、左右に来た敵を撃っていった。

 そしてアンは前に船が来ても、無理矢理突破していく。

 

 そうしていく内に、砂浜が近くなっていった。

 「アン、前、前!」

 砂浜に打ち上がった船はそのまま前進し、木にぶつかる数センチ前で止まった。

 『追ってが来てるぞ!』

 マイケル達は船に隠れながら撃つ。

 やがて、敵からの銃撃が収まる。

 マイケルはヘルメットを敵に見えるように出す。

 だが、銃声はしない。

 

 マイケル達は船を降りる。

 ハンセインは海を撮る。

 「死体がなけりゃな」

 写真は2枚。

 死体がバラバラと写っている物と、死体の写っていない海の写真だった。

 だが、それでも海には赤い部分があった。

 『なあアン、ここらへんじゃないか?』

 「そうだね」

 アンは遺跡で手に入れた四角いコインを取り出す。

 「こっちが街での遺跡」

 右側の点を指差して言った。

 「それで、こっちがこれから行く遺跡」

 左側の点を指差して言う。

 アンはコインをポケットに入れる。

 「ちょっと待て。もしかして、俺達もその探検に付き合えと?」

 「何もそこまで言わない。ここまで協力してくれたのは感謝している」

 「何かした覚えはありませんが...」

 「こんなものもくれたしね」

 アンは背中に背負っているアサルトライフルを、マイケル達に見せつけた。

 マイケルはそれを見て、ため息をした。

 「おいおい、マイケル。ボスは言っただろう、『自由になれ』って。いいんだぞ、任務なんかに縛られていなくても」

 マルコはマイケルの肩を組んだ。

 マイケルは乗り気ではない。

 「それともアレか?縛られているのが良いのか?俺にはお前がそれほどMには見えないけどな」

 マイケルはマルコの手を退かす。

 カービンがマイケルの肩を叩く。

 「マイケル、救援物資が来たぞ」

 カービンは空から降ってくる黒い箱を指差して言う。

 「分かった」

 マイケルは、おそらくその箱の着陸地点に移動した。

 砂埃を上げ、浜辺に箱は落ちた。

 多くの物を要求したため、とても大きい。

 蓋を開けると、アサルトライフルが5丁、それと相当量の弾薬、戦闘服が4着、ハンドガンの弾が3マガジンで計45発入っていた。

 それともう1つ、『自由を求めよ』と書かれた紙切れが入っていた。

 「どうやら、向こうはあなたをクビにしたいようね」

 マイケルはため息をつく。

 「もういい、どうにだってなれ」

 箱の中に使用が難しくなったものを入れて、蓋を閉める。

 しばらして、ヘリが来た。

 ヘリのドア部分には何か細工がしてあるようで、箱が縦に入るぎりぎりの大きさしか開かなかった。

 「やっぱり無理みたいですね」

 「俺等は進んで行くしかないみたいだな」

 マイケル達は歩き始めた。

 

 目の前には森。

 その中に、一筋の道があった。

 木の枝や、雑草を踏んだ跡でできた道だ。

 それ以外には道は近くには無かった。

 マイケル達は、そのスタイヤー達が進んだであろう道を進んで行く。

 

 森には当然鳥などの鳴き声がしていた。

 「そういえば皆さん。15年前、動物もゾンビ化していませんでしたか?」

 ハンセインは突然言った。

 「そうだな、だがどうした?」

 「今回は、見てないじゃないですか」

 「ああ、そうだな。でも、それがどうこうということはないけどな」

 「いえ、動物はパンデミックが収まると、元に戻っていましたよ。それに、ゾンビ化していた動物に襲われても、ゾンビにはなりませんでした」

 マイケルは、ハッとした。

 「何故気付かなかったんだ…動物は凶暴化していた。そして人も襲うようになった…だが、人には感染しない。逆も同じだった…」

 マイケルは無線を取り出す。

 「動物と人のゾンビウイルスは別物だ」

 ガルーダに繋げる。

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