第1節「遺跡」

17「マーシャルボート」

 ジェイムズは目を覚ます。

 地面は硬く、揺れていた。

 船の上に居る。

 息を吐きながら、ゆっくりと起き上がる。

 「あ、起きましたか。以外と早いですね」

 ジェイムズの周りに全員が居た。

 ジェイムズは頭を押さえて首を振る。

 「ここは船の上か」

 「ええそうよ、1時間寝ていたわ」

 「海に投げ出されたところまでは覚えている」

 「自分が引き上げた。こいつは港に泊まっていてな。お前さん重いぞ。鍛え過ぎじゃないか?」

 「お前に言われたくはない」

 アンが水を差し出す。

 マイケルは一口その水を飲んだ。

 「すまない。取り敢えず、アマンダに連絡をしよう」

 マイケルは無線を繋ぐ。

 「アマンダ、一段落は着いた」

 「何があったの?」

 「ボスが居た」

 「何か情報は?」

 「駄目だ。だが、ボスは俺に自由になれと」

 「そう。そうね、貴方はこれからどうするの?」

 「俺か?俺は取り敢えずアマンダの指示に従って動くとする」

 「なら、貴方はまだ帰るべきではないわ。ボスの行方を捜索しなさい。必ずそれはしなさい」

 アマンダはそう言うと無線を切った。

 マイケルは無線を繋げようとするが、繋がらない。

 

 立ち上がり、甲板に行く。

 ゴーグルの望遠を作動させて、辺りを見渡す。

 日はまだ高い。

 遠くに陸地があった。

 マイケルはそれを確認すると船内に戻った。

 「俺の服と装備はどこだ?」

 ちなみに、マイケルは今パンツ1丁である。

 ゾラキは近くにあった装備品と服をマイケルに渡す。

 マイケルはそれを受け取ろうとするが、ゾラキは手を離そうとしない。

 「おい」

 「あ、ああ。すみません」

 「どうした?大丈夫か?」

 「大丈夫です。少し、考え事を」

 そうか、と言ってマイケルは装備品の確認をする。

 

 服と弾薬、銃は使用が難しくなった。

 しかし、これらは要請で補給する事が出来る。

 問題は無かった。

 「皆の装備は大丈夫か?」

 「槍に血が付いてきているが、大丈夫だ」

 「船は出せるか?」

 「ああ、準備はできてるよ。あとはあんたのゴーサインだけ」

 「よし、行こう。船を出してくれ。補給は陸地で受け取る」

 マイケルがそう言うと、アンは部屋を出て、操縦室へと向かった。

 マイケル達も後を追う。

 

 中央にはハンドル。

 その周りにはスイッチやレーダー等があった。

 そのレーダーに、反応があった。

 「まさか…」

 アンは双眼鏡を覗く。

 「どうした?」

 マイケルがそう聞くと、アンはマイケルに双眼鏡を渡した。

 しかし、ゴーグルには望遠機能が付いているので、マイケルはそれを拒否した。

 「まさか奴らここまで来るなんて」

 ゴーグルの望遠機能をオンにし、拡大すると、船が数隻確認出来た。

 「奴ら?」

 「スタイヤー・ファレンを頭に置く奴ら。いわゆるライバルさ、奴ら宝を横取りしようっていう魂胆さ」

 「そんな戦いに、俺達を巻き込もうってのか?」

 「面白そうじゃないかマイケル。任務は終わったんだ。いっちょ、敵と俺等の常識をふっ飛ばそうじゃないか」

 「そうだ、それにこの船を守らなきゃ俺達は全員お釈迦になる」

 マイケルは渋々アサルトライフルを持つ。

 濡れてはいるが、使えないと言う訳ではない。

 「陸まで飛ばせ」

 マイケルはアンに言い、外に出た。

 「言われなくてもやるよ」

 アンはエンジンを入れ、速度を上げていく。

 スタイヤー達の船もこちらに早い速度で来る。

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