19「トゥームレイダーズ」

 マイケルはガルーダに無線を繋げる。 

 「どうした、マイケルよ」

 「15年前の事を覚えているか?動物がゾンビ化していなかったか?」

 「ああ、確か、居たと思う。だが、虫が人に寄生するようになったのはその後であった」

 「人がゾンビ化したウイルスと、動物がゾンビ化したウイルスが違うんじゃないかという考えがある」

 「うむ、そうだな…」

 その時、銃声と共にマイケルの近くの木の革が剥がれた。

 「そっちでも考えてくれ」

 マイケルは無線を切った。

 そして、その場に伏せる。

 「簡単に頭を出すな。殺られるぞ」

 マイケル達に向かって弾丸が飛ぶ。

 「右に居る。詳しい位置は分からない」

 『西南西の方角、200メートルぐらい』

 「本当か?」

 マルコはゴーグルの望遠機能を起動して見る。

 葉の間から、木の裏から銃の一部と腕が見えた。

 「居たぞ。2時の方角。スナイパーではない。数はおそらく2」

 「よし、撃て」

 マイケル達は草から頭を出し、銃を撃つ。

 敵からの銃声はすぐ無くなった。

 「早めに森を抜けよう。次が来るかもしれない」

 森の中を進む。


 しばらく進むと、地面が石の道になっていった。

 器用に敷き並べられた様々な形に沿って苔が生えている。

 マイケルはひとまずガルーダに無線を繋げた。

 「マイケルか」

 「ああそうだ」

 「人と動物のゾンビウイルスは違うと考えよう。人はゾンビ化すると凶暴化した。それは動物も同じ。なら、違いはなんだ。違う病原体なら何か違うことがあるはずだ」

 「動物は感染しても死ななかった。生きているのが多かった。そして治っていた」

 「そうなのか。だが待て、そのウイルスが虫に罹っているとしよう。虫は何故治らない?」

 「分からない、治らないのかもしれない、はたまたウイルスとは関係なくてそう進化したのか」

 「うむ、まだ調べる必要があるな」

 「そうだな、何か分かったらまた連絡する」

 マイケルは無線を切り、その道に従って進む。

 

 小さな広場に出た。

 中央に入り口のような、石レンガで出来た穴があった。

 そしてその周りには敵の物と思われる物資が置かれている。

 マイケル達がその広場に足を踏み入れた時、どこかから声がした。

 「来たぞ!」

 四方に草の影から敵が出現した。

 マイケル達はとっさに走り、穴の中に入る。

 

 中は階段状になっていた。

 ライトを点け、すぐさま下に降りる。

 敵は追って来ない。

 『ここもサーイの遺跡か』

 「どんなところか、わくわくするね」

 「暗いし敵もいる。常に周りの状況に気を配れ」

 マイケル達は、奥へと向かう。

 

 奥の方に光が見え、そこから声がする。

 ライトを消す。

 「アンとその仲間がここに入ったと連絡が来た。入り口を見張っとけ」

 マイケルは後ろを向き、小声で言う。

 「ハンドの後にスモークだ」

 マイケルは手榴弾を取り出し、投げる。

 その直後にカービンはスモークグレネードを投げる。

 煙が立ち込める中をマイケル達は駆け抜け、部屋の中に入った。

 そして敵を倒していくが、そこまで敵は居なかった。

 

 ライトを点け、部屋を見渡す。

 部屋の壁には細長い枠があり、その中に骸骨が入っている。

 「カタコンベね」

 「マジか、死体はいいけど骸骨は駄目だな」

 「珍しいな」

 「撮ってきたんで」

 部屋からは更に2つの通路に分かれていた。

 「さて、どうします?マイケルさん」

 「4人ずつ分かれよう。俺、カービン、エルド、アンはこっちだ。それ以外はそっちに行ってくれ。何かあったら無線を頼む」

 「分かった」

 マイケル達は右側にある通路へ、マルコ達は左側にある通路へそれぞれ進む。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る