16「ロストメモリー」
マイケル達は通路を進んでいる。
両側に文字が掘られた壁。
エルドはふと左側の壁を見る。
『なあおい、ちょっといいか?』
「どうした?」
『ここにある文だが、多分重要だと思う』
エルドはその文を触る。
「何て書いてある?」
『夜、いや、太陽の無い所。虫の動きは遅くなる』
「太陽の無い所。この場合日光…いや、強い光か?」
「光が弱いと寄生虫は鈍くなるのかしら?」
今、ここで人がゾンビになる理由は寄生虫だと、マイケル達は踏んでいる。
「なるほど、参考にして任務を続けよう」
通路を進んで行く。
行き止まりに着いた。
目の前の壁を押す。
壁が崩れる。
出た場所は、博物館だった。
入ってきた場所とは数メートル横にずれた場所だった。
「走れ!」
マイケル達はゾンビの中を縫うようにして走り抜けた。
外に出ると、マイケルは先にガルーダに無線を繋いだ。
ガルーダはサーイ族の村にある小さな遺跡に住んでいる。
彼は虫を体内に宿している。
その為、虫について知っていることが多い。
「まさか掛けてくるとは思わなかった」
ゆったりした声でガルーダは言う。
「ガルーダ、虫を宿したまま、外に出たことは?」
「そう言えば無いな」
「強い光を受けたことは?」
「お主らが儂をライトで照らした時じゃ」
「その時の虫の様子は?」
ガルーダはしばらくした後答えた。
「比較的、活発になっておったな」
「やはり。虫は強い光で活性化していたのか」
「なるほど、儂も強い光を浴びる事はあまり無いのでな、分からんかった」
「ああ、新たな真実が知れて良かった」
そう言って、マイケルは無線を切った。
マイケルは次にアマンダに連絡を取った。
「ああ、やっと繫がった。何処に居たの?」
アマンダは慌てた口調で言った。
「地下にいた。虫は夜に動きが鈍く―」
「任務は中止よ」
マイケルの言葉を
「中止?」
「ええ、ボスの現在地が―」
「マイケル、あれ!」
マルコはマイケルの肩を叩き、指を指す。
「今、そこに居る」
その場所には、男が居た。
マイケルの50メートルくらい前にチームα(アルファ)に囲まれている。
マイケルは無線を切ってしまった。
スーツの軍服を着ており、ヘルメットもしていない。
「チームγ(ガンマ)。良くやってくれた」
「ボス!何故ここに?」
「マイケルよ。自由になるのだ!」
「自由?」
何かが近づく音が聞こえてくる。
しかも、その音は大きくなっていく。
「何かが来る、お前等逃げるぞ」
チームαとボスはその場を去る。
何かの一部が見える。
赤い斑点が見えた、あの怪物だ。
「まずい、逃げるぞ!」
マイケル達は車に乗り、すぐさま走り出した。
ハンドルを握っていない全員が怪物の足を狙って撃つ。
遅くはなるがそれでも早い。
「何であいつあんなに速いんだよ!」
海が見える。
四輪駆動車の速度は余り出ない。
怪物は追いつき、車を殴る。
車が宙に浮き、海へと落ちてしまった。
マイケルの意識はそこで途絶えた。
外が騒がしい。
1階の俺の部屋から外を見るが、よく見えない。
部屋を出て、玄関へと向かう。
俺の部屋のドアには、マイケルと書かれていた。
玄関に着いた。
だが外に出ようとすると、母さんがやって来た。
母さんは必死に俺が外に出るのを止めている。
玄関のドアが開く。
入ってきたのは、ゾンビだ。
元は父さん。
今はもう、父さんではない。
母さんは、ゾンビに食われてしまった。
俺は必死に逃げた。
俺の部屋に入る。
助けを呼ぶが、誰も来ない。
ゾンビ2体が部屋の中に入ってきた。
その時だった。
窓ガラスを割り、その2体のゾンビを倒したのは、若き日のボスだった。
俺は、その後ボスの下で暮らした。
ボスと出会う前の事は思い出せない。
昔過ぎるからか、捨ててしまったか。
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