15「洞窟物語」

 しばらく進んで、次の部屋に着いた。

 部屋の中心には丸い台、棒の取っ手が2つある。

 その上に筒のような物が2つ乗っている。

 どちらも別々の方向を向いていた。

 「今度は何だ?」

 「面倒臭え、打音とかでで何とかインチキできんのか?」

 「あたしの主義じゃないの」

 「このマークは何だ?」

 両方の筒に鋭角の扇形のマークが端の一方に、下の筒には扇形のマークの反対に太陽のマークがあった。

 「こう、覗いて太陽を見るのではないでしょうか?」

 「おい、ゾンビが来ているぞ。早くしてくれ」

 ゾンビが今さっき居た部屋にまで来ていた。

 「太陽は何処かしら?」

 すぐさま辺りを見渡す。

 『あったぞ、あそこだ』

 エルドはその太陽のマークを指差した。

 アンは筒を覗きこみ、太陽のマークを見る。

 

 羅針図の端っこがはみ出ていたが、アンはもう一個の筒を覗き、指示を出した。

 「そこ、押して」

 指さしたブロックを押すと、ブロックは後ろに落ち、壁が崩れた。

 「道が無いぞ!」

 「何だと!」

 マイケルはそう言ったマルコを退かす。

 足元から小石が深淵へ落ちる。

 左を見ると、壁沿いに続く小さな幅があった。

 遠くには十分な道が存在している。

 「こっちだ、左。壁沿いに歩け!」

 マイケルがそう言うと、アンはすぐさまその道を進んで行った。

 ハンセイン、エルドもゾラキも続いて行く。

 

 マイケルが最後にその道に足をかけた。

 ゾンビが腕を掴む。

 マイケルは掴まれた腕を振り、ゾンビを深淵に落とした。

 だが、その時ゾンビは足に捕まり、その衝撃でマイケルは足を崩してしまった。

 すんでのところで崖を掴む。

 ゾンビの頭に2、3度蹴りを入れると、腕が取れ、ゾンビは奈落に落ちていった。

 「大丈夫か!?」

 「ああ。何とか」

 「上がれそうか?」

 「無理だ」

 「仕方ない、気を付けて行こう」

 マイケルはぶら下がったまま、道を進んで行く。

 途中、上に光が見え、人口的な物が少しシルエットで見えたが、気にしないことにした。

 

 次の部屋に着いた。

 「ところでアンさん、何が見えたんだ?やっぱり月か?」

 「いや、中がはみ出ていた」

 「月じゃないのかしら?」

 「さあ?」

 『それはもしかして、日食じゃないか?』

 「日食?」

 『己は見た事ないが、何回かあったらしい』

 部屋の中は何も無い。

 ただし、部屋の中央に井戸のような穴があった。

 深くない、浅い穴だった。

 そして、今来た通路とは別の通路があった。

 「なあ、ここに来る前、人口的な物が見えたんだが」

 「あんた。まさかそれは」

 アンはそう言いながらその穴に入る。

 そしてそこを丹念に調べた。

 上がると、アンは1枚のコインを出す。

 「思った通りね」

 「どうゆうことかしら?」

 「ここには無いのよ」

 『宝がか。先を越されたとかじゃなくてか?』

 「勿論その可能性もある。だけど、もう1つある。隠し場所が」

 アンはコインを飛ばし、キャッチする。

 銅のコインだ。

 「隠し場所?ここに?それともこことは違う場所か?」

 「違う場所」

 コインをマイケル達に見せる。

 コインは四角い。

 くの字の線で等分され、右側に点が2つある。

 「この模様は何です?」

 「とても簡略化した地図よ。今はここ」

 2つの点のうち、右側にある点を指した。

 「そしてもう1つ遺跡があるの。ここよ」

 今度は左側の点を指した。

 「それじゃあ、今度はここに行くのか?」

 「そう」

 アンはコインをポケットに入れた。

 「待て、俺等は任務がある。すまないが、お前1人でやってくれ」

 「ああ、別に良いよ」

 「取り敢えず、ここを出よう。出れるよな?」

 マイケル達は来た通路とは別の通路を行く。

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