14「旧世界の遺跡」

 マルコは周りを見渡す。

 アンは懐中電灯を、マイケル達は暗視装置を起動している。

 だがやはり、来た道以外の道も、少しの隙間も無かった。

 「行くにしたって、道なんか無いぞ」

 「おそらく壁が崩れる所があるのでしょう」

 エルドは壁を触る。

 『適当に探せば見るかるだろ』

 そう言ってたまたま触れていたブロックを押した。

 ブロックを奥に押すが、エルドは止めた。

 「どうした?エルド」

 『ここはダメだ』

 「どうして?」

 マイケルはエルドに近づいて聞く。

 『ここの文を見てくれ』

 エルドが指さす文字を見るが、もちろんサーイ族の言語。

 「なんて記してるんだ?」

 『簡単だ。「ここは違う」』

 「え、それだけ?」

 「そう」

 「嘘だ」

 ハンセインも壁を見る。

 『本当だ』

 「見たところで分からないんですけどね」

 「どうするんですか?アンさん」

 「勿論、探す」

 アンはそう言って、歩き始めた。

 そして色々と見て、独り言を言う。

 

 一方マイケルはアマンダに無線を繋げようとするが、一向に繋がる気配はない。

 聞こえるのは砂嵐の音だけだ。

 「アマンダと繋がらないのか」

 「そうだな、ひとまずこの狭い空間で一般人を置いておく訳にはいかない。残ろう」

 マイケル達もアンと共に考え始めた。

 

 マルコは壁によりかかる。

 「そもそも、本当にこれ違うのか?」

 押されたブロックを見て言った。

 エジプトの象形文字のようなものが書かれている。

 だが、その下のブロックの上に、文字が書かれていた。

 マルコはそれを気にせず、手を突っ込む。

 「止めておけ、何が書いてあるかは俺達には分からないが。わかる奴が違うと言っている」

 カービンはその腕を掴んで言った。

 「んじゃ止めとこう。手が無くなったら困る」

 手を引っ込める。

 「困るで済むんだな」

 「さあな。それよりなんだこりゃ、全然分かんねえ。ハンセイン、何か分かるか?」

 「僕に聞かないで下さい。こうゆうの苦手なんで」

 マルコは腕を組んだ。

 「おいマルコ、上を見てみろ」

 マイケルは天井を差した。

 マルコはマイケルが指さした天井を見上げる。

 羅針図のようなものが描かれている。

 羅針図とは、羅針盤などに描かれている方位を表す図形のことである。

 「どちらが北ですか?」

 「いえ、合ってないわね」

 ベレッタの持つコンパスの北の針は、天井羅針図の大きい十字、小さい十字の針のどれにも合っていなかった。

 「壁にある十字の羅針図は何です?」

 座ったままのハンセインは言った。

 「あれは、もしかして星か?だったら、星座からどうにか方位を―」

 『ちがう』

 「違う?」

 『天井にあるのはその、方位の図じゃない』

 「んじゃ何だ?」

 『太陽だ』

 「太陽?だったら星があるのはおかしいだろう」

 『そうだが、その方位の図は俺達は知らない』

 「んじゃどうすれば良いんだ?」

 「月を探せば良いんじゃないか?」

 アンはメモ帳を取り出す。

 茶色い革の手帳だ。

 「これだよ」

 ページを開き、マイケル達に差し出す。

 そのページには、天井と同じものと、丸の中に羅針図の4方位の図形が入っている絵があった。

 『そうだ、これが月だ』

 エルドはそれを指さして言った。

 「よし、月を探せば良いんだな」

 マイケル達はバラバラになり、月の絵を探した。

 

 5分ぐらい経過した時。

 マイケルはそれを見つけた。

 ブロックに、手帳と同じような模様があった。

 そのブロックを押す。

 ブロックは後ろに落ちる。

 マイケルは1歩下がった。

 そこの一部の壁が崩れ、通路が現れた。

 「やるじゃないかマイケル」

 アンはその通路を進んで行く。

 マイケル達もその姿に続く。

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