11「デッドオアアライブ」

 街の中を探索して行く。

 大きい街をシラミ潰しに探索するのは困難だ。

 そこで政府は街の数カ所にシェルターを設置することにした。

 この地区の政府ではない、世界の政府だ。

 マイケル達はそのシェルターに居る生存者を救助していく。


 マイケルは血の付着したシャッターを少し開ける。

 中には死体とゾンビがたんまりと居た。

 横から手が勢い良く出てくる。

 「駄目か」

 マイケルは思いっきりシャッターを閉める。

 手が千切れた。

 「何の為のシェルターだ、全く」

 「菌の保管だろ」

 マイケル達は次のシャッターに向かう。

 

 さっきよりも血の付着が激しいシェルターだ。

 開けるが、中に生存者は居なかった。

 「駄目です。次に期待しましょう」

 「このシェルター、もう少し良くならないんでしょうか?」

 ハンセインは皮肉を込めて言った。

 「なると思う?入る人1人1人を目視で確認しなきゃいけないのよ」

 作業のように次に行く。

 

 今度は血があまり付いていないシェルターだ。

 シャッターを開ける。

 中から、人の声が聞こえる。

 「良し!中に人がいる!」

 マイケル達はシャッターをくぐった。

 「大丈夫か?怪我人は居るか?」

 「俺達は軍の者だ。今ヘリを呼んだ、安心してくれ」

 そこには30人ほどの人が居た。

 それでも隙間はある。

 「僕は世界の報道陣所属のハンセイン・ディバイス。この中で、ここであったことを話せる人は居るでしょうか?」

 ほとんどが口を閉じていた。

 その中で1人だけ、手を上げた男性が居た。

 「良いんですか?」

 「ああ、大丈夫」

 「ここに小さい声でお願いします」

 ハンセインは録音機を取り出して言った。

 録音を開始する。

 スーツを着たその男性は深呼吸をして言った。

 「私が会社に居たときでした。とある車が私の会社に突っ込んで来たんです。黒塗の車だったそうです。すぐさま警察と救急が駆け付けて来ました。救急が運転席に居た女性を車内から下ろすと、その女性は噛み付いてきたそうです。そして後部座席に居た子供も同じように。1人と2体は病院へ運ばれました。その後は、そこで爆発的に…」

 ハンセインは録音を止める。

 「なるほど。ありがとうございます」

 ハンセインは男性と握手をした。

 

 そこに居る人達は歓声を上げる者、涙を流す者、マイケル達に感謝を示す者、様々な人が居た。

 しばらくすると、ヘリの音が聞こえてくる。

 マイケルに無線で着陸したと連絡が来た。

 「着いたが、我々の指示に従ってほしい。生きたいのなら」

 マルコは扉を開ける。

 そこには少し長い階段があった。

 「こっちだ、一人ずつ来てくれ、ここで圧死は嫌だろう」

 階段を登ると、ヘリポートの上にヘリがあった。

 ヘリに1人ずつ乗せていき、扉を閉める。

 「伏せろ」

 プロペラが回ると、辺りに突風が舞った。

 風の音しか聞こえていない。

 そして、ヘリは飛び立って行く。

 「次に行こう」

 マイケル達はヘリを見送り、次のシェルターへ向かった。

 

 次のシェルターも血はあまり付いていない。

 少し開けたが、マイケルは直ぐに閉めた。

 「どうした?」

 「まずい状態だ」

 中から騒ぎ声が聞こえる。

 「サイコパスね」

 「そうだ。数は7、8人。3人ずつ俺の両端に位置取れ」

 マイケルの右にはマルコ、エルド、ベレッタ、左にはカービン、ハンセイン、ゾラキが位置取る。

 「行くぞ」

 マイケルはシャッターを一気に開ける。

 マルコ、カービンを先頭に、銃を構えながらそれぞれの壁沿いにシェルターの中に入っていく。

 「だ、誰だてめえら!」

 中には男が5人、女性が3人居た。

 全員若いが、女性は3人とも裸だった。

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