10「デイズオブメモリーズ」
街からはだいぶ離れた。
「ここでいいだろう。アマンダ」
マイケルは無線を繋ぐ。
「はいはい、それじゃそこのゾラキに変わって貰って」
今車から降りたゾラキに、マイケルは無線機を渡す。
「ゾラキです」
「フルネームで」
「え?」
「フルネームで」
「ゾラキ・シュナイダー・ブランクです」
「出身」
「バージニア…」
その後もアマンダはゾラキについて様々な事を聞いた。
年齢、体重、身長から車のナンバー、個人に与えられるロッカー番号まで。
そしてゾラキはそれら全てに答えた。
「本当にゾラキのようね。それじゃあ、これまでの経緯を説明して」
「分かりました」
ゾラキは語り始めた。
「街の半分を私達チームδ(デルタ)が行う予定で、街に入りました。そして探索中、何者かに襲われ、チームの私以外は殺害されました。私は運良く逃げる事が出来ました」
「何者か分かった?」
「いえ、一心不乱に逃げていたので」
「そう。その後は?」
「ハンセイン・ディバイスという記者に会って、色々聞かれました」
「どんな事?」
「基本的に何が起こっているかです。しかし、私達も何も知りません」
「そのようね、装備は?」
「無線以外はあります」
「それじゃあ、後で無線機要求しといて」
「分かりました」
ゾラキはマイケルに無線機を渡す。
だアマンダはまだ話す。
「そうだ、もう1人居るよね」
「ああ、ハンセイン・ディバイスという記者の男だ」
「話すわ」
マイケルはハンセインに無線機を渡す。
「はい、世界の報道陣所属、25歳。ハンセイン・ディバイスです」
「ゾラキから何を聞いた?」
「何も聞けませんでした。何か聞けた場合、報道はしてもよろしいでしょうか?」
「そこで起きているパンデミックだけなら良い。私達、軍がどうゆう事をしているかは報道しないでくれ。彼らを信じてはいるけど、何やっているのかは、本当は知らないからな」
「分かりました、では引き続き取材を行います」
ハンセインはマイケルに無線機を返す。
「アマンダ、これからどうする?」
「まだ任務を続けて」
「大丈夫なのか?」
「続けてちょうだい」
アマンダがそう言うと、マイケルはしばらくの後、「…了解」とだけ言い、無線を切った。
「ゾラキは俺達と行動する。ハンセインはどうする?」
「僕はここにいますよ、まだネタは見つけていませんから」
「仕事熱心だな。銃は使えるのか?」
「使えますよ」
そう言いながらハンセインは腰のポケットからハンドガンを取り出した。
「そう、なら良いけど、それだけじゃ安心出来ないわね」
「分かった」
マイケルは端末を操作する。
少しして上空から黒い箱が落ちてくる。
箱の中には無線機とアサルトライフル、それにハンドガンとそれ対応のホルダーがあった。
「ハンドガン?」
「エルドのだ、ほらよ」
エルドはマイケルが投げたガンホルダーを受け取る。
「腰に巻くんだ」
マイケルは着け方をジェスチャーで教え、エルドはその通りに着ける。
『こうか?』
「そうだ。いいか?」
エルドはマイケルからハンドガンを受け取る。
「構えて」
エルドはマイケルが行う動作を真似する。
「引き金、ここを人差し指で押す」
エルドは引き金を引いてみるが弾は出ない。
「そうだ、それは基本的に危ない時に使え。ほら、弾だ」
マイケルはエルドが持っているハンドガンにマガジンを入れる。
そしてそれをホルダーにしまった。
マイケルは車に乗る。
「よし、行くぞ。乗れ」
他の人も車に乗っていく。
そして車2台はもう1度街に向けて走り出した。
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