第3節「街」

9「ロストデルターズ」

 マイケル達は街に着いた。

 今までの町とは違い、コンクリートの道路が整備され、ビルが数個建っている。

 『こいつらが、動く死体…』

 「そうだ、俺等はこいつ等をゾンビと呼んでいる」

 『ゾンビ、か』

 「ああ、行くぞ」

 車に乗ったまま、ベレッタ、マルコ、カービンは銃を構えた。

 そしてそのまま、ゾンビの領地へと入って行った。

 だが、その数は街の規模に比べ、少し少ないように見えた。

 

 しばらく走ると、道の端に軍の四輪駆動車が置いてあった。

 マイケルは車を駐め、降りる。

 「どう見ても軍の物ね」

 「そうだな、でも何でこんな所にあんだ?」

 マイケルはその目の前にあるビルを眺めた。

 「入ってみるぞ」

 自動ドアのガラスを割り、中に入る。

 中にゾンビは居なかった。

 奥から、男性が銃を構えながらやって来る。

 『誰だ?』

 「待て、もしかしてあいつ、チームδ(デルタ)のゾラキって奴じゃなかったか?」

 軍人の格好をした男性は銃をゆっくりと下ろす。

 「そ、そうです!もしかしてチームγ(ガンマ)の皆さんですか?」

 「そうだ、他のメンバーはどうした?」

 ゾラキは黙っていた。

 「それは僕が説明しましょう」

 ゾラキが来た所からもう1人男性がやって来た。

 男性はジーパンにやたらポケットの付いた黒い服を着ていた。

 「誰だ!?」

 「僕はハンセイン・ディバイス。世界の報道陣に所属している」

 ハンセインの右手にはカメラ。

 左手には白いハンカチを持って振っていた。

 「ゾラキ・S・ブランクとそのチームは、このビルで活動をしていた。だけど突然、何者かに襲われた。そして偶然生き残ったのが、この人って訳」

 「まさか、チームδ(デルタ)も壊滅したのか!?」

 「そうです」

 マイケルは直ぐアマンダに無線を繋げた。

 「どうしたの?」

 「アマンダ、チームδ(デルタ)の行動分かるか?」

 「ちょっと待ってて」

 無線機のから椅子を引き、話す声が小さく聞こえる。

 「ちょっと、良い?」

 「はい、大丈夫です」

 「チームδ(デルタ)に連絡して」

 「分かりました」

 短い間隔の後。

 「繋がりません」

 「何だって!?」

 エルドの無線機は鳴らない。

 「どうゆうことだ!?」

 マイケルはゾラキに聞いた。

 「逃げている途中で落としてしまい、そして壊れたんです」

 「壊れたあ!?」

 「アマンダ!」

 「ええ、聞こえてた」

 アマンダはマイケルとは対照的に、落ち着いて話をする。

 「そして、1時間前からボスがいない」

 「ボスが!?」

 「ボス?ボスがどうしたんだ!?」

 マイケルは目を見開いて、カービンに答えた。

 「ボスが1時間前から居ないらしい」

 「ボスが?関係ないじゃない?」

 「知らないのか?ボスはチームα(アルファ)の司令官だ」

 「どうゆうことだ?アマンダ」

 「分からないわ」

 「おい、ゾンビが迫って来てる。安全な場所に行こう。喰われちまう」

 見ると、ゾンビが車のすぐそこまで集まっていた。

 

 マイケル達はゾンビを倒しながら車に乗った。

 チームγ(ガンマ)の4人以外は止まっていた車に乗った。

 そして一旦街の外まで行くことにした。

 「アマンダ!チームδ(デルタ)のゾラキに遭遇した」

 「ちょっと変わって貰っていい?」

 「今は無理だ。車で一旦街の外に出る」

 「分かったわ。それじゃ落ち着いたら」

 「そっちは何かあるか?」

 「無い」

 マイケルは無線を切った。

 「一体、何が起きているんだ?チームα(アルファ)は大丈夫なのか?」

 「とりあえず今は逃げるぞ。飛ばしてくれ、マイケル」

 マイケルはアクセルを強く踏んだ。

 後から付いてくるゾラキの車も、それと同じように速度を上げる。

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