8「軍の料理」

 マイケルはもう少し話をする事にした。

 「ここにどうやって住んでいるんだ?」

 「私は虫によって生かされている」

 「生かされている?」

 「そうだ。私は既に死んでいる」

 「何言ってんだお前さん」

 それを聞いたマルコは冗談まじりに言った。

 「見た目は生きているが、10年間、飲まず食わずにいる。一応、それらの行動をすることは出来る。ちなみに、寝るという行動は必要だ」

 「それでお前は虫に何をしているんだ?」

 「自由を与えているのだ」

 『自由?自由にするな!その虫は害虫だぞ!?』

 エルドは怒った。

 そしてガルーダの目前を、先端の無い槍が勢い良く突く。

 「おい、止めろ」

 カービンはエルドの腕を掴んで言った。

 「お主は自由というものを分かっていない」

 『何だと!?』

 「だがお主は自由を全うしている。答えは必ず出るだろう」

 「え、まさかの丸投げか?そんな無茶な。俺達は哲学者じゃないぞ」

 「分かっておる」

 「まあいい。ところで今日の行動はここまでにするんだが、ここで泊まっていいな」

 「別に構わん」

 マイケルは端末を操作する。

 「エルド、ちょっと外に行ってもいいか?」

 『ああ、いいぞ。蓋をちゃんと閉めといてくれ』

 「カービン一緒に来てくれ」

 「分かった」

 マイケルとカービンは来た通路を戻って行く。

 

 日はもう隠れてしまっている。

 空から風船に繋がられた箱がゆっくりと落ちてきた。

 箱の中にはレーションが入っていた。

 それを取り、マイケルとカービンは戻る。

 「1人でもよくないか?」

 「何が起きるか分からん、通常の4人でも少ないくらいだ」

 はしごを降り、入り口に蓋をする。

 

 マイケルとカービンが戻った。

 「ほら、レーションだ」

 マイケルはマルコとベレッタにレーションを渡す。

 「お、飯だ。上手くなった飯だ」

 「そういえば15年前まで不味かったそうね」

 「ああ、刑務所の飯のほうがマシだ」

 2人は受け取り、袋を開け食べ始める。

 カービンはベレッタの横に座り、食事を始めた。

 「食え、エルド」

 マイケルは袋を開け、エルドに渡した。

 『何だこれ?』

 エルドは匂いを嗅ぐ。

 食べられるものだと判断したのか、食べ始めた

 マイケルも蓋を開け、食事をする。

 内容は至ってシンプルな物が多い。

 

 『おお、美味い。こんな物は食べたこと無い』

 「そうだな、15年前のとは大違いだ」

 「あれは酷いと聞いた事はあるな」

 『そんなにやばいのか?』

 「食べ物とは思えないくらいだとよ」

 『それはやばいな』

 部屋には明るい雰囲気だった。

 

 食べ終わると、エルドはマイケルに聞いた。

 『なあ、これはどうすればいい?』

 「そこらへんに捨てておけ」

 『大丈夫なのか?』

 「ああ」

 エルドはマイケル達が捨てた所にゴミを重ねた。

 それをガルーダは良しと見なかったが、何も言わなかった。

 「さて、明日はここから南西に行く町を2つ探索する。それじゃ、今日はもう寝るとしよう」

 天井の穴からは星が見えている。

 

 次の朝。

 朝食を食べる。

 昨日とは違い、軽い食事だ。

 マイケル達は遺跡を出て、車に乗る。

 アマンダに連絡は既に済ませてある。

 アマンダは他にも遺跡があったら行くようにと言っていた。

 「エルド、少し揺れるが我慢しろ」

 『分かった』

 車は遠くに見える町を目指していた。

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