第2節「サーイ族」

4「サーイ村」

 マイケル達はアフリカのサバンナを車で走っていた。

 怪物を撒いて、30分くらいした時だ。

 「こちらマイケル。怪物を撒いた」

 「どう?私の感は当たった?」

 「ああ」

 「それは良か」

 「それじゃあ、民族集落へ向かう。オーバー」

 マイケルは無線を切った。

 「あの村ね」

 ベレッタは目の前に見える村を指して言った。

 「ああ、そうだ。行くぞ」

 マイケルはアクセルを踏む。

 

 数分走り、村に着いた。

 無線でアマンダに報告し、車を降りる。

 だが、そこにはゾンビは居なかった。

 その代わり、動いていない死体があちらこちらに転がっている。

 

 ただ呆然と、その光景を眺めていた時だ。

 マイケル達は歩いてくる人の気配を察し、銃を構えた。

 『誰だ!』

 銃口を声がした方に向ける。

 『自分はエルド・サーイ・ファマスだ。おめえらの名前を名乗れ』

 若い男性は槍を構えて言う。

 下半身は藁で上半身は裸、カービンよりも少し筋肉がある。

 藁に付いている赤い装飾は、黒い肌により、その色を引き立てている。

 「エルド?お前さんの名前か?」

 『何を言っているかは分からないが、俺はエルドだ』

 マイケルは黒い端末をタップした。

 「青年、俺の言っている事が分かるか?」

 『何を言っている?』

 ゴーグル上に、エルドが言った意味が英語として表示される。

 「カービン、ゴーグルを貸してやれ」

 「了解」

 カービンはゴーグルを外し、エルドに渡す。

 エルドはそれを受け取ると、それをぎこちなさそうに装着した。

 カービンは端末を操作した。

 マイケルはもう一度話す。

 「青年、俺の言っている事が分かるか?」

 エルドのゴーグルに見知らぬ文字が表示される。

 エルドは目を見開いて驚いたが、その文字に気付くと、返答をした。

 『分かるぞ、何だこりゃあ…どうゆうもんだ?』

 物凄い驚きようだが、槍は落とさなかった。

 「ワールド・ギア社の…って言っても分からないか。何でも出来る眼鏡ってとこだ」

 マルコが説明すると、エルドは何やら確信を得たようだった。

 『なるほどな。付いてきてくれないか』

 そしてそう言い、奥の家へ向かった。

 4人はエルドについて行き、その土と藁で出来た家に入った。

 

 そこには、3人の男性が居た。

 エルドと同じような格好で、初老が2人、老人が1人。

 『エルド、この人達は誰だ?』

 1人の男性が聞いた。

 『そう言えば名前を聞いていなかったな』

 「そうだな、俺はマイケルだ。こいつはカービン。そこの女はベレッタ。黒いのがマルコ」

 エルドが仲介役となり、通訳をする。

 『なるほど。まあ、座ってくれ』

 老人がそう言うと、マイケル達はそこに座った。

 『儂はこの村の長、ルガーという。若いのがモスバーグ、もう1人がイングラムだ』

 「この村であった事を教えてくれ」

 『うむ、良いだろう。あれは昨日のことじゃった、何処からともなくやってきたでかい怪物に、皆殺られてしまったのだ。この3人は丁度狩りへ出掛けておった。だから無事なのだ』

 「んじゃあ、あんたはなんで生きてる?」

 『難を逃れたのだ。運良くな』

 その怪物にはマイケル達にも思い当たる節があった。

 「その怪物について、もう少し詳しく話してくれないかしら?」

 『分かった。手は丸く、指は無かった。見たこともない色であった。白えでも灰でもない、その中間、そして赤く、黒い丸模様が、そこら中にあった』

 それは今さっき追いかけられたあの怪物だ。

 「その怪物、俺達も見たことがある。というか、今まで追いかけられていた」

 『本当か!?かなり速かったぞ』

 「ああ、もう少しでおじゃんだったな」

 マルコは苦笑いしながら言った。

 マイケル達はもう少し話をする。

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