2「オーバーフローブラッド」

 マイケル達は町に着いた。

 数時間前の町よりは少し貧しい感じだ。

 道も土で出来ている。

 それに、歩いているのは人ではない。

 ゾンビだ。

 どれも、必ず何処かから血を流し、目も充血している。

 

 まだ町に入らずに、近くの高台にマイケル達は移動した。

 風が町の死体の臭いを運んでくる。

 双眼鏡で、町をよく観察した。

 町としては少し家が少ないように見える。

 ゾンビもそこそこだ。

 マイケルはアマンダに無線を繋ぐ。

 「アマンダ、町に着いた。ゾンビもそこそこ居る」

 「分かった。それじゃあ、事前の打ち合わせ通りにね」

 「了解」

 

 無線を切り、車を町に走らせた。

 「よしお前等、好きにやれ」

 車は加速し、ゾンビを轢きながら走った。

 マルコ達は銃を撃つが、常に移動している為、非常に当たりにくい。

 「おい、マイケル。動くと当たらないだろ!」

 「駐める所探しているんだ。少し我慢しろ」

 その後、少し広けた場所に車を駐めた。

 

 車から降りる。

 マイケル達はショットガンやアサルトライフルを構え、次々とゾンビの頭を撃っていく。

 「全く、骨が折れるわね。もうちょっと少ない所なかったのかしら?」

 「仕方ない。上がそうしろと言っている」

 4人は襲ってくるゾンビに怯えず、ただ銃を握っていた。

 「あの日とほとんど同じだな。15年前と」

 「そう言えばお前は銃を持って戦ったって言ってたな」

 「おう、そうだ。だけど、これはあの日と違う」

 「そうだな、マルコ」

 「俺達は、人は成長したんだよ!」

 トリガーを引く指に、無意識の内に力が入っていく。

 

 幾つもの銃声や爆発音が鳴り響き、1時間半の時が経過した。

 辺り一面には、動かない死体と空になった薬莢が、あちらこちらに散らばっている。

 血が土に染み付いていた。

 「うげえ、今までもそうだが、やっぱ臭いがやべえ」

 「ああ、そうだな。鼻をやられそうだ」

 そう言いながら、マイケルは黒い端末で救援物資を要請した。

 「離れてろ」

 しばらくすると、空から強固な白い箱が落ちてきた。

 それをたまたま一番近くに居たベレッタが開ける。

 中には色々な物が入っていた。

 「さて、作業をしよう」

 4人は中に入っていた白く長い手袋をはめ、それらを手に取り、死体を物色し始めた。

 

 ベレッタ以外の人が手に取ったのはスポイトと試験管。

 スポイトで死体の血を採取し、試験管に入れていく。

 試験管の半分満たされたら、コルクで十分に栓をした。

 

 ベレッタはナイフとプラスチックの半分に分かれている箱。

 ソンビの目と指を切り取り、それぞれの場所に入れた。

 

 弾を取り、一回り小さい箱に採取したものと機材を入れ、元の強固な箱を閉めた。

 ヘリを要請する。

 来たヘリにその強固な箱を入れると、ヘリはすぐさま飛び立って行く。

 ヘリには他にも、2つの同じ箱を積んでいた。

 「それじゃあ、生存者の保護に移るぞ」

 4人は、大声を出しながら町のあちこちを捜索していった。

 

 「パンデミック発生から時間があんま経ってないからな、居るんじゃないか」

 「そうだな、だが見つかるかどうかは別だ」

 しばらくすると、何処かから声が聞こえた。

 「おうい!軍か?!」

 「そうだ!救助に来た!」

 見つかったのは男性2名と女性1人、計3人、何処に居たのかは不明だが、マイケル達の声に気付き出てきた。

 「やったぞ!助かったんだ!」

 男性達は、これほどまでにないほど喜んでいる。

 「他に人は居るか?」

 「い、いえ、この町にはもう…いや、待って下さい。あと1人居ます」

 男性は、怯えた様に話している。

 「どこに居る」

 「こ、こっちです。でも少し様子がおかしくて」

 「どんな感じ?」

 「暴れているんです。狂ったように」

 「連れて行ってくれ。戦いたい」

 マイケル達は、男性達に付いて行った。

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