第1節「町」

1「再開の大地」

 アフリカ中西部。

 小高い丘が遠くにある。

 周りは若干木が生えた草原。

 空は晴れていたが、雲行きは怪しかった。

 道がある。

 何べんも車が通っていたのだろう、草は生えていない。

 そして、タイヤが通っている所のみ、不自然に凹んでいる。

 そこを、迷彩柄の四輪駆動車が泥を跳ねながら進んでいた。

 

 運転席に乗っているのはマイケル・パイソン。

 オリーブドラブの戦闘服。

 顔には黒いフェイスマスクと灰色のゴーグル、ヘルメットを着けている。

 ゴーグルから見える顔は、いかつい感じがした。

 「そろそろだ、準備はいいか」

 「ああ、大丈夫。問題は無いさ」

 助手席に座るのはカービン・フリンク。

 中性的な、若そうな顔をしていた。

 筋肉が他の3人と比べて少し少ないように見える。

 服装はマイケルと同じ。

 戦闘服、フェイスマスク、ゴーグル、ヘルメットの5点セットだ。

 「お、あれじゃねえか?」

 その後ろ、マルコ・F・レミントン。

 四輪駆動車のドアに座っていた。

 黒人で、若い顔をしている。

 装備品は変わらない。

 「そうね。さて、ドンパチやりましょう」

 そして隣、ベレッタ・サンダーランド。

 男勝りな顔の女性だ。

 腕と足を組んで座っている。

 「お、いいねえ」

 「とりあえず、向こうの状況次第だ」

 

 車は左右に大きく揺れている。

 「15年前か、『世界危機』は」

 「そうだな、あの時はどうなるかと思ったぜ。ぽっきり逝くんじゃないかってね」

 タイヤが跳ねた泥は、迷彩の車体にかなり付着していた。

 「ええ、んでもって、私達はそんな事が起こっている場所に行くと」

 「仕事だ、仕方ない」

 車は遠くに見える町を目指していた。


 数時間前。

 マイケル達は、人が居るとある町にいた。

 家は2階建てが多い印象だ。

 道はアスファルトだが、しっかりと舗装はされていない。

 少し先には門。

 その前に四輪駆動車。

 両端に銃を持った兵士2人が立っていた。

 どちらも、正規の軍人だ。

 「全チーム。聞こえるか?」

 無線から、男の声が聞こえる。

 「こちらチームγ(ガンマ)聞こえている。オーバー」

 マイケルが応答する。

 男の名はボス、部隊の総司令官となっている。

 どうやら、他のチームからもきちんと応答がきたようだ。

 「オーケー、今からブロックカウント部隊の任務を開始する。これからの指揮は、各自チームの指揮官に委ねる。それでは行動を開始してくれ」

 無線は切れるが、直ぐに別の人物と繋がった。

 「こちらアマンダ・へカート、聞こえる?」

 「ああ、聞こえる」

 「こっちからはあまり指示しないから、基本目的にそって動いてね」

「分かった」

 

 マイケルは無線を切ると、門に居る兵士に話しかけた。

 「今、指示が出た。行動開始だ」

 「分かった、今門を開ける」

 兵士は近くにあるスイッチを押す。

 そして、鉄製の門はゆっくりと開いていった。

 「行くぞ。乗れ」

 4人は車に乗る。

 違う兵士が親指を立てると、それを見たマルコが同じように親指を立てた。

 そして、そのまま横に流れるように進んで行く。

 「今回の任務について、もう1度確認しておくぞ」

 マイケルはアクセルを踏みながら言った。

 「今から行く場所一帯、というより広範囲にわたってバイオハザードの痕跡が確認された」

 「だから俺達はそこに向かって調査をすると」

 「そうゆうことだ。先行エージェントの調査によると、見た目、行動等はあの日と同じらしい。空気感染はしないようだ」

 「まあ、してたらあの日のように終わってるけどな」

 そう言うマルコの目は、笑っているようには見えなかった。

 他の3人も同じだ。

 「そこで俺等は生存者の確保。テロ組織の有無の調査。ウイルスの調査をする」

 「まさか、もう1度地獄に来るとは思わなかったわ」

 チームγ(ガンマ)は雑談をしながら、先を進んで行った。

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