第四章
第四章
萩の間
舞「どういうつもりよ!あんたが仕組んだんでしょ!」
雪子「私は何も知らないわ。」
舞「とぼけないでよ!あんたがあのくそ野郎に告げ口したから、ああして連れ戻しに来たんじゃないの?」
雪子「舞さん、そうやって決めつけるのはやめたほうがいいわよ。それ、もしかしたら間違いかもしれないじゃないの。」
舞「わかるわよ!すべてお見通しよ!そういう経験はたくさんしてきたんだからわかるわ!」
雪子「かわいそうな人ね。そういう経験しかしてこなかったなんて。私は、助けてあげたかったけど、何もできなかったのね。そればかりか、私のほうが、悪い人にされてしまって。
でも、人って変えられないから、仕方ないのかな。」
舞「そんなきれいごとは言わないで!どうせ、私を、自分の地位を上げるための付属品でしか、見てなかったのね!」
雪子「感情で話すのではなく、何が不満なのか、お母様にしっかり伝えられたらいいのに。」
舞「いいえ、あの人を止めるには、そうしなきゃダメなのよ!」
雪子「それなら余計にそうなるわよ。怒りは誰だってよい印象を持たないもの。感情には感情で制することはできないから。」
舞「へん!かっこいいこと言って、どうせ私をだましたんだ。あーあ。私って、どうしてこうやってやりたいことを持ち始めると、こうして他人に騙されるのかしら。本当にやりたいことは持ってはいけないの?点数が取れないってことはそんなに罪なのかしら!」
雪子「点数が取れなくて、何かあったの?」
舞「あったに決まってるでしょ?妹は点数がすごく取れたからかわいがられたけれど、私はそうじゃなかったから、もう、虫けらも同然よ!家でも学校でも社会でも。日本ってのは、点数がそんなに大事なのかしらね。もう、外国にでも逃げたいけど、そんなこと言ったら百叩きにあうだろうし。私は、それだけで、人に馬鹿にされて、だまされて、裏切られて、そんな人生しか送れない。そうやって、やりたいことができてもすぐ年寄りどもに持ってかれる!」
雪子「年寄りに持ってかれる?」
舞「そうよ!年寄りが住んでて、まだ元気だと、かえってその存在は邪魔になるのよ。やりたいことを全部否定されるからね。昔の古い考えを押し付けられて、もう息苦しいったらありゃしない。そして、何より、うちは、父が婿だったから、対抗してくれる力もなかった。もう、年寄りたちの独裁体制。若者は本当につらいわよ!ずっと、いい子を演技して、自分を消して、家族のための、金の製造マシーンでいるのが美徳なんていう、古い考えが支配しているような家では、やりたいことを一生懸命やりたいなんて口にしだしたら、もう、釜茹での刑にでもされて当り前よ!もう、どうして私は、他の人が暮らしているような当たり前の家に住めないんだって何回泣いたことか!みんな、恵まれているっていうけど、これ以上息苦しい家庭はないんじゃないかしら。」
雪子「そう、、、。」
舞「でも、あなたはきっとこういうでしょう。誰でも同じことを言うわ。家族が大きいんだから物を買ってもらえるとか、すぐに甘えられるとか、いざとなったら頼れるとか。でもね、
これほど孤独な家庭はないわよ。だって、やることなすことすべて年寄りの奴隷になるしかできないんだもの!つまり、自分のやりたいって思ったことをやらせてもらったことは最初から何一つないの。みんな、おじいちゃんとおばあちゃんのために生まれてくるの。あの人たちを喜ばすために仕事をするの。そして、あの人たちが倒れれば下僕になって介護をするの。そう、何一つできないのよ。自分のために生きるってことは!」
雪子「そうなのね。」
舞「あの人たちのために、あの人たちのために!親はいいよって言ってくれたこともあった、でも、年寄りたちが、許可してくれなかったら、すべて白紙撤回だったわ。私、いちどだけ、母に漫画を買ってくれと頼んだことがある。でも、母が漫画を買ってくれて、さあ、これで友達がやっとできるって喜んでいたのに、祖父が、そんなものは何の役にも立たないって言って、激怒して燃やしてしまったの。それ以来、漫画を読むことはできなくなった。テレビも、音楽もみんなそうだった。母はあの二人に逆らえなかった。みんな、年寄りを中心に回ってた。学校で流行っていたテレビゲームがほしかったのに、家族がくれたのは参考書だったわ。うちの中はそういうからくりで回ってた。だからうちになんか戻りたくない。もし、介護のために、うちへ戻らなきゃいけないって、青柳教授がいうんだったら、私は今ここで毒を飲んで死にたい!」
雪子「それだけはいけないわ。何があっても生きていかなきゃ!」
舞「いやよ!だったらなぜ私は、自分のために生きて行かれないの?なぜ私だけ年寄りのために生きる人生しか与えられないの!人間は、自分の人生にピリオドをじぶんで打てるのであれば、私はそうしたほうが、私自身が楽になると思うのよ。そんな人生しか与えられないんだもの。確かに人生は自分で切り開くというでしょうけど、、、。でも、そんなもの、私には、何もないのよ。もう、そういうことしかなかったんだもの。なんか、人間って、かっこいい人生できる人もいるけれど、そうでない人生しか与えられない人もいるのよね。そんな人生しか与えられないなら、もう、この世から出てったほうがいいんじゃないかしら。きっと、そういうつらいことしか与えられない人間は、きっと、この世には適さないから、そうしてつらいことだけになって、さっさと出てけと言われているんじゃないかしら。それなら、私は、真っ先にそうしたい。まず、そういうつらいことばっかりで、もう、疲れてしまった。生きていこうとも思えないわ、長い時間もいらないわ。わたし、成功した人の話を聞くけど、家族がそれに理解してくれる環境でなければ、成功しないという法則を見つけたの。
だから、私は、変な風に行ったのよ。それで、人生間違えて、取り返しのつかないほうへいってしまったから罰なのかもしれない。生きていればいいことがあるとか、まだ可能性があるなんて言わないで。それのせいで、何回だまされたか。そんなきれいごとはまっぴらごめんだわ。だって、もう誰も変えられないもの。もう、消えるしかないの。楽にさせて。お願い。」
雪子「私、悪いことしてしまったのかしら!」
と、両手で顔を覆って泣きだす。
雪子「少なくとも、私は、そんなふうに語る人間にはならないって誓いを立てて生きてきたわ。でも、いつの間にか、私も、結果としてそんな人間になっていたのかも。一生懸命、救おうとおもってやってきたのよ。私も一生懸命やって、結果を出すことはできたのかもしれないけど、それは自分のためじゃなくて、上の人たちが喜ぶために過ぎないって気が付いたもの。その時は本当に自殺したいというか、実行したことさえあるのよ。だから、舞さんと会ったとき、私が本当にやれることが、初めて実行できたんじゃないかって、すごくうれしかった。でも、大間違いだったわね。」
舞「雪子さんだって、結局同じなんじゃないの!マラソン大会で金メダル取ったことだってあるんだから。その名をさらにあげたくて、私を利用してるだけだったんでしょ?わかるわよ。その態度で。その涙は少なくとも、本当のものじゃないわね。」
雪子「そうか、そういう人としか出会ったことがなかったんだ。」
舞「そうよ!すべてはあの二人が、世間的に良い印象を受けるため!私たちはその道具なのよ!」
雪子「そうか、、、。少なくとも私は、そうはなりたくなかったわ。あなたを、本当に助けてあげたいと思っていたの。決して、世間的な、社会的な地位を望もうとかそんなことはなかった。あなたが、本当にマラソンしていて楽しそうだったから、その手伝いをしたいって本気で思っていた。でも、私は、そうすることもできなかったのね。」
舞「ああ、もうやめてよ!そうやってきれいごというの。あなたは、名前だって知られてるし、そうやって、無名な私を有名にして自分の地位を上げたいだけよ!そのためにわたしに近づいたでしょ?」
雪子「違うわ。」
舞「違う?」
雪子「信じて。」
舞「じゃあ、理由を教えて。なぜ私に近づいたの?」
雪子「私も、被害者だからよ。」
舞「被害者?」
雪子「ええ。」
舞「ど、どういうこと?」
雪子「教えましょうか。」
舞「ええ、、、。」
雪子「親が、私に走るのが走るのが速いから、マラソン大会に出てみろって言ったの。それから、私の人生は変わった。いろんな人が私にマラソンについて、ああだこうだと教えた。でも、私が、マラソンができないとわかったら、その人たちは、私をごみのように捨てていった。あなたならわかるはずよ。そういったじゃないの。すべては、他人が自分の地位を上げるために利用しているだけだって。私もそれだったのよ。私が、走れなくなってからは、もう、絶縁状態なの。それが、私は、コーチとかだったから、赤の他人だったけど、あなたは家族だった。それが違うだけよ。」
舞「でも、雪子さんは、結果をだしたじゃない!マラソン大会で一番を取って、テレビにも散々出て、一躍時の人になったでしょ?それでよかったじゃないの!それで他人を満足させることに成功してるじゃない!生意気なこと言わないでよ。私から見たら、全然違うわよ。そうやって、一回、世間が認めてるんだからさ!」
雪子「そうね。でも、これだけはわかってほしい。私は、苦しんでいるあなたをどうしても救いたかった。その気持ちに嘘はないわ。」
舞「だったら、こっちも考えがある。」
雪子「何?この際だから言ってちょうだい!」
舞「その証拠を見せて!」
雪子は、ごくりと生唾を飲む。少し考えて、
雪子「いいわ。」
舞「じゃあ、何をしてくれるの?」
雪子「こういうことはお金では解決できないってよく知ってるから、もう一度走ってみる。」
舞「本当?」
雪子「本当よ。近いうちにまた、マラソン大会があるから、そこで走ってみる。」
舞「まあ、信用できないけど、それでよいとしておく。」
雪子「いいわ。じゃあ、そうするから。」
と、舞に右手を差し出す。舞が恐る恐る手を出すと、雪子はその手を強く握りしめる。
数日後、池本クリニック。
診察が終わった杉三と蘭。
杉三「あーあ、全く、最近の医者ってのはどうも冷たい存在になるなあ。」
蘭「まあ僕らみたいな人は嫌なのかもね。」
杉三「でも院長は、何かあったら是非来てくださいって言ってくれるのにね。」
蘭「今の先生は非常勤だから、僕みたいな人は嫌なのかも。あんまり顔を合わせないから。」
二人、廊下を移動して待合室に向かっていく。すると、隣の診察室から声がする。
声「だから、無理なんですってば。もう一度走るなんて、無理なことを言わないでくださいよ。体を滅ぼしているようなものですよ。」
蘭「女医さんか。女の人は感情的になりやすいから、こうなるんだろうな。」
杉三「もう一度走るって、なんのことかなあ。」
蘭「さあねえ。ジョギングでもやってるんじゃないの?」
声「でも走りたいんです。」
蘭「ああ、患者も女性か。」
声「そうですけど、自分の体のことも考えてください。それに、ご家族もいるのでしょうから、ご家族をそうして悲しませるつもりですか?」
声「私、家族のことは関係ありません。もう、長く絶縁状態ですし、、、。」
声「そうですけど、この病気を甘く見てはいけませんよ。この病気を持ちながら、フルマラソンを走るなんて、あなたも、まだ大人になり切れていないのですかね。」
杉三「フルマラソン!」
蘭「よほど好きなんだね。じゃあ、僕らは帰ろうか。」
杉三「ちょっと待ってよ!」
蘭「待ってって何が?」
杉三「もしかして、、、この患者さんは、」
声「今日はこれで帰ってもいいですが、マラソン大会に出るなんて無茶なことは取りやめにしてくださいね。それができないんだったら、入院してもいいくらいなんですからね、いいですね。」
声「わかりました。ありがとうございます。」
と、診察室のドアが開いて、雪子が出てくる。
杉三「雪子さん!」
雪子「あら、杉ちゃん、蘭さんまで、まあ、二人とも風邪でも引いたの?」
杉三「いやあ、僕らは定期的にこの病院で検査をしてもらっているんだ。」
雪子「そうなのね。じゃあ、よく来るの?」
杉三「えーと、」
蘭「週に一度は来ています。」
雪子「まあ、私は初めてだったんだけど、親切なところね。ここに定期検査なんて、あなたたちがうらやましいわ。」
杉三「うそでしょ?」
雪子「そんなことないわよ。」
杉三「だって、お医者さんとガチンコバトルしてたの、聞こえてたよ。」
雪子「誰かほかの患者さんじゃないの?」
杉三「いや、しっかり聞こえたよ。マラソン大会のこと話してたよね。どうしたの?どこか悪いの?」
蘭「杉ちゃん、あんまり他人のことに首を突っ込むなよ。」
杉三「いや、僕はどうしても知りたいんだ。」
蘭「そういうことじゃないんだよ。何もできないのに、そうやって聞きたがるのはやめたほうがいいっていいたいんだけどな。」
雪子「いいえ、杉ちゃんには、そういったって何もないってことは、よく知ってるから、この際だからお話しするわ。じゃあ、ちょっと、カフェテリアに行きましょうか。」
蘭「いいんですか?杉ちゃん調子に乗ると、必要のないことまで聞くから、、、。」
雪子「ううん、いいのよ。私も、そうやって聞いてくれる人だってまもなくいなくなるんでしょうし。」
蘭「そ、そうですか、、、。」
雪子「行きましょう。」
と、廊下を歩き始める。その歩き方は、何か他の人と違っているような気がした。
カフェテリア。テーブルにつく三人。
雪子「どこから話そうか。」
杉三「まず、どこが悪いのかを、、、。」
雪子「いいわ。」
と、一枚の紙を取り出す。
蘭「ああ、診断書。」
杉三「僕は読めない。読んでみてくれ。」
蘭「骨腫瘍、、、。」
杉三「なんだその骨腫瘍とは。」
蘭「骨にできる腫瘍のことだよ。つまりどこかに腫瘍があるということですね。雪子さん。」
雪子「そう。右足の膝にね。」
杉三「ええっ、それでマラソン大会に?」
雪子「そうよ、たぶん最期のマラソン大会になると思う。舞さんのためでもあるし、自分のためでもあるのよ。だって私は、やっぱり、マラソンランナーだったと思うの。だから、最期に一度、マラソン大会に出てみたい。」
蘭「よしたほうがいいですよ。そんなことでマラソン大会に出たら寿命が縮まる。それよりも、マラソンのコーチになるとか、そういうかかわりかたのほうが、体には安全なんじゃないですか?」
雪子「ううん、そんなやり方で通じるのは、よほどのことじゃないとだめだなって、私よくわかったのよ。今まである人にマラソンを教えて、その人が少しでも楽になってほしいなと思ったんだけど、何もしてあげられなかった。かえって、彼女の苦しみをさらに強くしてしまうようなことをしてしまったから、私には無理なのね。教えるとか、伝えるとかは、本当にその人のことを思ってやってあげないと。それを忘れたら、人間誰でも偽善者になる。いつも、自分のためじゃなくて、本当に相手のためか、確認しないとだめみたい。そして私は、その確認を忘れてしまっていたみたいね。不思議なものね、その被害にあっていた私が、いつの間にか被害を与えるようになってたわ。」
蘭「被害、一体何の?」
雪子「運動の世界って、非常に難しくて、私がかっこよくなりたくて選手を育てるのか、本当にその選手を育てたくて選手を育てるのか、それをいつも自問自答しなきゃだめなの。私もそうだったの。単に、マラソン大会に出たくなって、家族に頼ってコーチを連れてきてもらったの。そうしたら、その人がすごく厳しい人でね。もう、タイムが縮まらなかったら思いっきり物差しでたたくとか、そういう人だった。」
蘭「でも、雪子さんは、マラソン大会で一番を取ったのは本当じゃないですか。コーチが、それほど怖い人であっても、結果を出してるんだから、必要なことだったんじゃありませんか?」
雪子「まあ、一般的な人はそう見えるでしょうね。でも、そうじゃなかったのよ。私は単にコーチが昇格するためだけの道具になっただけ。確かに指導は厳しかったし、よく叩かれたり、怒鳴られたりしたけれど、私が、それに気が付いたのは、マラソン大会に出た後だった。一位をとったあとにね、この右足が痛み出したの。単に疲労しているのかと思ったんだけど、そうじゃなくて、悪性の腫瘍だったのよ。それを伝えた時にコーチにね、こういわれたのよ。
すぐに出ていけ、私の顔に泥を塗る気?と。」
蘭「顔に泥を塗る?ですか。そんな言い方ってないですよね。さすがに。だって、一生懸命やって、結果も出したわけですから。なるほど。そういうことだったんですか。あなたが、テレビの画面や、雑誌の紙面から突然姿を消したのは。」
雪子「ええ。もう、次のマラソン大会には痛みで出られなくなってしまって。幸い、抗がん剤もあるから、そんなに心配はないってお医者さんには言われてるんだけどね。昔は、足を取るとか、いわれたみたいだけど、今はいい抗がん剤もあるみたいだしね。」
蘭「まあ、そうなんですけど、骨の悪性腫瘍ってのは、肺に転移しやすいって聞いたことがありますよ。それがなければいいんですけど、それでもマラソン大会に出るのは無理なんじゃないですか?」
杉三「いや、出たほうがいいような気がするよ。」
蘭「杉ちゃん、馬鹿も休み休み言いなよ。井村和清の話を知らないのかよ。あの人は、腫瘍が見つかって、一年もしないでなくなったでしょうが。それとほぼ同じ症状の人が、マラソン大会なんて、ありえないの。」
杉三「知らないよ。僕はあきめくらだ。僕は、本人がやりたいって思ったことはやったほうがいいと思う。そのほうが後悔しないよ、絶対。後悔してつらい思いをするよりも、本当にやりたいことをやって、思いっきり喜んだほうがいいと思うよ。それに抗がん剤だっていいのがあるんでしょ、今は。その人とは、状況も違うんでしょ。」
蘭「そうならないように、治療というものがあるの。そのためには、してはいけないことだってでてくるさ。」
杉三「僕は、それでもやりたいことはやったほうがいいと思う。」
蘭「杉ちゃんは、本当に変わってる、というかおかしいよ。人間、早死にしたい人なんていないよ。そうなるってのは、本当にかわいそうだし、悲しいことでもあるんだから。ちゃんと、考えてからものを言いなよ。なんでも口にすればいいってものじゃないよ。」
雪子「蘭さん、ご心配ありがとう。」
蘭「すみません。杉ちゃんは、何でも口に出すから、本当に。」
雪子「心配しないで、私、さっきはああして怒られていたけど、抗がん剤だってちゃんと飲んでるし、放射線にも通ってるわ。それに、先生だって、井村さんみたいになる例は、昔の話だって言ってたわよ。だから私は大丈夫。」
蘭「そうじゃなくて、心配しているんです。」
雪子「大丈夫よ。本当に、心配しなくていいから。」
蘭「そうですか、、、。」
雪子「じゃあ、私、用事があるからこれで失礼するけど、本当に気にしていないから、大丈夫だからね。」
杉三「マラソン大会頑張ってね。」
蘭「杉ちゃん!」
雪子「ああ、気にしてないから。じゃあ、また。」
と、立ち上がって歩いて行ってしまう。
蘭は、大きなため息をつく。
杉三「雨が降りそうだなあ。」
蘭「僕らも帰ろうか。」
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