第23話 のみすぎ、裸族の本名を知る

「ハハハ、ハゲマントか。そいつは傑作だ!

おいみんな、美杉のコードネームハゲマントだってよ!」

「輝さん笑いごとじゃないから!てか声でかいって!!!」

不毛地帯の常連が皆肩を震わせて爆笑している。

常連は私を除き、程度の差こそあれ全員ハゲだ。

「ハゲに爆笑された…(涙)」

「おぅおぅ、顔が赤くなってるぞ。飲みすぎだな。

今お冷や持ってきてやるからおとなしくしとけよ。」

そう言うと輝さんはカウンターの裏に引っ込んで行った。

「おまちどうさん。」

お冷やと一緒に煮卵が出てきた。相変わらずいい照りをしている。

「まぁこれでも食って機嫌治せって。俺からのサービスだ。

そっちの魔族にはこれだ。」

ショットグラスに入れたくんさきを煮卵の横に置いた。

「輝さん、ナイスミドル!イケメン!結婚して!」

「ははは美杉、そうしてやりたいのは山々だけどよぉ、

ソッチ方面で満足させられそうにないから諦めてくれ。」

「またまたぁ!」

「おい、このハゲオヤジ、俺様が魔族であると見抜いたケロよ!こいつ出来る…!」

「はっはっは、ハゲは余計だよ。」

オヤジは笑顔でヒキニートにげんこつを振り下ろした。

「目から星が出たケロ!この店は客に暴力を振るうでケロか!?告訴してやるケロ!」

「よーしこの卓のくんさき下げていいぞ」

「オヤジ、俺様が悪かったでケロ…だからそのくんさきは下げないでくれケロよぉぉ。」

今までの威勢はどうした。

「モグモグ…このくんさき、思ったより硬いケロ。」

口に含んでは出しを繰り返しているせいで、ヒキニートの持っているくんさきはベロベロに伸びていた。

「キモい。あと行儀悪い。」

カエルの唾液でべちゃべちゃになったくんさきを取り上げ、紙ナプキンに包んで捨てようとしたところ

「おっとまだ食べている途中だ。」

舌を伸ばしてカエルがくんさきを取り返しにきた。

…こいつ、意地汚い!思わずゴミを見るような視線を向けてしまった。

言っておくが罪悪感は微塵もない。

「なんだその目つきは。言っておくが貴様のような下等生物とは違って俺様に歯は無いケロよ!」

どうだ参ったか!と言わんばかりにドヤ顔をキメてきた。


面倒くさいので無視してケータイを弄ることにした。

さて、メッセージでも見るか。

なんかショートメッセージが届いてる。誰だろ?


「よぉ、オレオレ。これからラーメン食うぜ。財布に500ピカリしか入ってないけど。忍びたるもの友達は要らないのだがこれも何かの縁だ、お前も来るか?」


オレオレって詐欺かよ。

そして溢れんばかりの構ってちゃんオーラはなんだ。

違う、そうじゃない。

中身よりもまず誰から送られたかだろ大事なのは。

私の友達、確かにちょっと変な人は多いけど構ってちゃんはいなかったはず。

いや、まてよ。いたわ。

や、でもあの子は男にだけしか構ってちゃんやらないし。

それに絵文字も少ないからきっと送り主は男…忍び…まさか。


あ!!!


これさっきの覆面裸族だ!!


送り先欄にム・シュウセイって名前が出ている。

名は体を表しているが正直知りたくなかった!


えぇいこんなメッセージこうしてやる!


消去。


ついでに勝手に入れてきた番号も消しておこう。

今日できることは今日やりきれっていうしね☆

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