第18話 のみすぎ、王様にアイテムを失くしたのがバレる

「ところで、先程渡したアイテムじゃが、美杉よ持っているかの?」

まさか早速失くしたのがバレたのか?

す、鋭い…さすが太陽王の名は伊達じゃないな。

素直に言うか?隠すか?


ごそごそ。

服の中がもぞもぞと動いている。

「美杉よ、どうかしたかの?」

「な、なんでもありません!」


服をぱっと押さえた。

「ならばよいのじゃが。」


おさえつけたせいか、ますます服の中の動きが激しくなる。

まてコラ暴れるなって!


「美杉よ、腹を押さえているようじゃが具合でも悪いのかの?」


「大丈夫です!くそっ、静まれ私の右腹!!」

明らかにごまかしになっていないセリフを言いながら

服と下着の間で暴れるカエルを上から掴みにかかる。

が、するりと手の中を抜けていった。


「あっ」

服の中からカエルが転がり出た。

「あっ」

ヒキニートは尻をぱんぱんと払いながら立ち上がった。

「イテテ。落とすなこのバカ女。あ、どうも。ケロ。」

「あ、どうも。」

つられて王が返事をする。

「おいぃぃぃぃ!このクソニート、あ、どうもじゃないだろうが!!」

カエルに向かって拳を上げながら猛ダッシュした。

「すげぇよ後ろに般若が見えるぜ。」

「そうじゃな。」

「俺ら完全に空気だよな。」

「そうじゃな。」

王は遠い目で相槌を打っていた。

状況に脱力しきっているのか、忍ばない忍者がタメ語を使っていることにも

全く気に止める様子もないようだった。


--10分後--


「気は、済んだかの?」

「はっ、ハイ。大変見苦しいところを失礼いたしました。」

手にはボコボコにしたカエルがおさまっている。

「ククク、世界が闇に包まれる…グフッ。」

どうやら気絶したようだ。


「ところでそれは…」

「あ、ペットです!」

これは一体なんだろうという目で変態忍者がこっちを見てくる。

「王宮にペットを持ち込むのはどうかと思うぞ美杉よ。

それで先程のアイテムのことなんじゃが…」

ごまかしきれなかった…!


正直に説明した。



「で、飲み込まれてしまってないと。」

「はい。わたくしの不注意で、大変申し訳ございません。

王様のお力でなんとかうまく取り除けないかと思い、

一緒に連れてきた次第であります。」

「残念じゃが美杉、いやハゲマントよそれは無理じゃ。すまんの。」

王が残念そうな顔を作りながら言う。実はあまり困ってないだろ。

そしてわざわざ言い換えなくてもいいから。

気まずい沈黙が流れた。


「ともかく、使い方を教えておこうと思っての。ふ栗は魔力を込めて

丁度いい感じに揉んだりさすったり口づけしたりすると

強力な精霊が召喚できるのじゃ。」

ななななんですと!!?そんな貴重なアイテムがこのカエルの腹に。

「これ…こいつの腹の中に入ったままでも使えるんですかね?」

「なにせ古くから伝わるマジックアイテムじゃからの。

前例はおそらく無いと思うがお主が大丈夫だと思うのであれば

きっと大丈夫じゃろう。多分。」


まったく他人事だからってテキトーに言うぜ王様。やれやれ。

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