第14話 のみすぎ、ヒキニートを馬鹿にして便座にはまる

「い、今のは慣れない人間の世界で魔力の制御ができなかっただけだケロ!

俺様が本気を出せばか弱い人間ごとき虫けらのように…。」


「ねぇ今どんな気持ち?ねぇねぇ今どんな気持ち?」

顔どころか肌を真っ赤にしながらカエルが震えてる。

マジウケる。

覗き込みながらもう一言煽るか。

「もったいぶらずに教えてよー?言わなきゃわかんないって学校で習わなかったの?

あ、だからコミュ障ぼっちなんだ。」

一瞬自虐している気持ちになったけれど、こいつのメンタルを一気に削れるのなら体張って頑張っちゃう。

普段ブラックな職場で毎日しんどい思いをして溜めに溜めた鬱屈した気持ちを

ここで一気に消化してぶつけてやろう!

それにこいつは腐っても魔族。

しばいて謁見の間に連れて行ったらきっと金一封くらいは出るだろう。


調子に乗ってカエルの周りをぐるぐる回りながらニヤニヤして煽っていると


ツルッ

滑って便座に尻が嵌った。

下半身がV字で嵌った。流しておいて本当によかった!

でも下がビショビショだ。うぅ、気持ち悪い。

尻をもぞもぞと動かして、なんとか抜け出そうと体をひねっていると


ズボッ


更に嵌ったようだ。



「おい、ヒキニート助けろよ。」

「やだよ」

「拳を交わした強敵(とも)だろ!」

「いつ友人になったんだよ!馬鹿かケロ!」

メンチを切る。

「ぼ、暴力には屈しないぞ!」

「ねぇ、お・ね・が・い」

上目遣いで見てみた。押してダメなら引いてみろだ。

「うげぇぇぇぇ。」

ヒキニートの顔が青色に変わった。忙しいやつだ。

「おねがい聞いてくれないと、イタズラしちゃうぞ☆」


…。

…。



微妙な沈黙が流れた。

リアクションがないって、辛い。


沈黙に耐えきれなくなったカエルが口火を切った。

「まぁいいや。安価!!!!」

安価ってなんだ。

「この俺様の有能さをその目に焼き付けろ!海より深い慈悲の心を味わうがいい!」

「御託はいいから早くしろや!」

私は便座に嵌ったケツにこれ以上水が付かないよう、体制を変えながら再びメンチを切った。


その瞬間、ヒキニートの横に光る魔法陣が出現した。

「はよ>>100」

なんだ新手の魔法か?

「なんだ人間、安価を知らないケロか。

よろしい、俺様が直々にここで無知な貴様に

魔界のお茶の間の人気アップを兼ねて説明してやるケロ!

安価とは、生主の俺様がこれからお前に取るべき次の行動を

動画のコメント欄を使って視聴者から募る魔界の若者の間のクールな遊びだケロ。

基本無記名だからレス番で呼ぶのがマナーだケロ。生主の間で安価は絶対だケロ。」


それはそれは。

薄汚れた親切心どーも。

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