第13話 のみすぎ、魔界のカエルと一戦交える

「暴力で全てを解決しようとする人間という種族は実に野蛮だケロ!

だが寛大な俺様は今までの無礼を貴様の態度によっては許してやらぬこともないでケロ!」

普通の女子であればここでカワイコぶってキャーとか言って逃げるのだろう。

残念ながら女子力の高い私にはそのようなものなど通用せん。

ここは女子トイレ。媚びるような男などいないわ!


メメタァ


「痛い痛い痛い痛い、骨が折れたケロ」

「カエルって殴ったらメメタァって音するんだー、へー。」

「魔族虐待でケロ!謝罪と賠償を要求するでケロ!」

「おっかしいなぁ、テレビではカエルは無傷だったんだけどなぁ。

お前カエルじゃなかったの?」

ニヤニヤしながら目の前のカエルに尋ねる。

「テレビの世界と現実を混同するなよ人間。

変な服を着ているからって調子に乗るなケロ!」

「おかわりいりますかー?」

「え、遠慮するケロ…これだから人間の女はクz…」

「ん、どうしたの?大きい声で言わないと伝わらないよ?」

「別に独り言ケロ!!!」

全身を使って声を出したカエルの瞳が少しうるんでいた。



さて、こいつどうするかなぁ。面倒くさいし置いていこうかしら。

いや、でもやっぱり袋を摘出してもらうのに王様のところに連れていった方がいいのかしらと考えていると

「まったく。貴様のせいで俺様のかっこいい実況が台無しだケロ。

これからこの最強生主の俺様がお前の恥ずかしい姿を

みずからの手で魔界のお茶の間に晒してやるでケロ。覚悟はいいケロか。」

カエルが仁王立ちしながら凄んできた。

敢えてスルーしてやろう。

その方がこいつには効きそうだ。

「どうやら俺様の怖さにビビって声も出ないようだな人間。

降参するなら今のうちだケロ。」

勝ち誇った顔をしながらカエルがこっちに近づいてくる。

見なかったことにして、開けていた鞄の中身をまとめることにした。


「お願いでケロ!無視しないでケロよぉぉぉぉ!!」

短い手足をばたつかせながら、服を引っ張ってきた。おい伸びるからやめろ。

「あぁもうるさい!質問してやるから。なにそのゲコゲコ動画って。生主って何?」

カエルが嬉しそうに腰に手を当てて反り返る。

現金なやつだ。

「仕方ない。無知な人間のBBAに魔界のテクノロジーの粋を教えてやろう。

ありがたく思えケロ!安価!!>>100」

魔法陣に向かって体を真っ赤にしながらカエルが何か叫んでる。ウケる。

BBAって言ったからとりあえずもう一回殴っておくか。

左手のゴム手袋をキュッと引っ張りなおす。


「おっと人間、そこまでだ。あまり俺様をなめない方がいいケロ。」


はぁぁぁぁぁぁ

カエルが力を溜め始めると同時に、全体が輝きだした。

い、いったい何が始まるんだろう。


うぉ、眩しい…!


「どうだ!!これが俺様の第二形態だ!!」

ドヤ顔をするカエル。


一回り大きくなっただけだった。


「思い残したことはないか?」

「おっと魔力が足りないようだ。

きょ、今日のところはこれで勘弁しておいてやるでケロ!」


メメタァ


カエルの形が若干変わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る