第11話 のみすぎ、トイレで神様的な何かに出会う

王様への終了報告の前に、変なコードネームで登録された悲しみを

少しでも流そうともう一度トイレに行くことにした。

スッキリタイムだ。

それにさっきなんか落としたみたいだし、回収しなきゃ。


トイレに入り、洋式のドアを開けて鍵をかける。

まず用を足して、それから探そう。

ふー。


さて、さっき落としたのなんだったっけなー。

便座に深く腰掛けなおして、考える人ポーズを取る。

厳しい便秘には、若干前かがみ気味になっているこの姿勢がよく効く。

便秘歴10年強の私が言うのだから間違いない。保証しよう。


こう丹田の下あたりにグイッと力を入れて押し出す!


健康診断で飲んだバリウムをバッチリ産み落としたところで、落とし物の話だ。

確かさっきこの辺に落としたような気が…

てかそもそも何落としたんだろう?一回鞄取って確認するか。

拭くのもそのままに、ドアの鞄かけにかけてあるリュックをささっと取り

もう一度便座に腰掛ける。


ごそごそ。


家のカギはあるし、化粧ポーチもあるし、財布もケータイも

ハンカチもちり紙もある。

腐れ冒険者カードも残念ながら手元にある。

ウッカリここで流して再発行ついでに名前変更したいカードだけど。

会社に出す勇者候補証明もしっかり貰った。あとは何かあったっけ。。。


そういや王様から貰った変な袋が…ない!

ちょっとどこ行ったんだろう!?

ポケットの中をとりあえずひっくり返して探す。

やっぱり見つからない。


はーもう冒険前に詰んだ!!!!

正直汚いしいらなかったけど、まだ最後の謁見終わってないから

流石になくすとまずい!

いや本当、どこやったんだろう。身体検査?筆記試験?ビデオ講習?

全力で貰った後に寄った場所を思い出す。

まったく心当たりがない。思いつかない。

もうだめだ。泣きそう。

頭を抱えていると、どこからか声がしてきた。


個室の方だ…!


「お嬢さんそこの可愛いお嬢さん。あなたが落としたのはこの金の袋かね?」

「(ある意味合ってるけど…!)違います。」

「それではこの銀の袋かね。」

「違います。」

わかってるよ、お約束ってやつだろ。

これで一番きったないのって言ったら金の袋も一緒にくれるんだろ?

さぁ最後の質問をいくんだ神様(的な何か)!

「それではこの汚い袋かね?」

「そうそれ!超探してたんですよありがとう。」


営業先でも使ったことがないくらいの極上の愛想笑いを浮かべながら

私は全力で振り返った。

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