第7話 のみすぎ、おかしなクレーマーに目を付けられる

適性検査の出来の悪さに落ち込みながら帰り支度をしていると、

ドアの近くからなにやら争っている声が聞こえてきた。

何を争っているのだろう?

とりあえず部屋を出るためにドアの方へ向かうことにした。


「おいなんでこんな結果なんだよ、責任者だせや」

「そうは申されましても、試験結果からの適正判断ですので…。」

「そもそもなんでこれから危険な任務につくのに、

こんなフワっとした試験で職業を決めるんだよ。訳わかんねぇ。

普通体力テストとか魔力テストとか前職の経験とか

そういうところから判断するだろうが!」

男が声を荒げながら机をばんばん叩いている。

一体どんな診断が出たんだろうこの人

と思って男の方を見ると

頭巾以外、全裸だった。

よく言ってくれた!と思うけど、やっぱり全裸だった。

明らかにヤバそうな奴だ。

職員はなぜこいつを警察に突き出さないのか。

今後の冒険者ライフを無事に乗り切るためにも、是非お近づきになりたくない。

ここはこっそりと側から離れ…

「なぁ、お姉さんもそう思うだろ?」

うっわぁ。

いきなり声を掛けられて、背中がビクッとなる。

こっそり横目で相手を確認する。

あぁ、うん上半身だけこっち向いてるのか、そうか、それならよし。

見えていないことにホッとしつつ、この状況を頭で整理する。

こいつ、ただものじゃないというオーラが背中越しにビシビシ伝わってくる。

映画とかでよくある、主人公を付け狙う凄腕ヒットマンとかが纏っているような

強者の雰囲気だ。

もしかするとこれ逃げたらやばい系じゃないのか。

ここは様子を見て逃げれるよう今はおとなしくすべきだ私。

いやでもあと数メートル右にずれればドアだ。

ガン無視して逃げ切れるような気もする。

何より、生物としての本能が全力で逃げろと言っている。

ここは迷わずいけ、行くんだ私!今なら行ける!勇気を出すんだ!!

そーっとすり足でドアの方へ向かう。

が、次の瞬間男がドアの前に立ちはだかった。一体どうやって移動したんだ!?

冷汗がつーっと流れる。

「なぁ、お姉さんもそう思うだろ?」

両肩にポンと置かれた男の手にじわじわと力がこめられていく。


「はい、そうですね…」

万事休すだ。

がっくりと肩を落としたまま力なく頷いた。


「だろ、このお姉さんも同じように思ってるんだ。絶対おかしいから!」

味方を得て勢いづいたんですね、わかります。(泣)


他の受講者が全員移動してしばらく経っても

彼の抗議はまだ終わりそうになかった。

まず、服、着ろよ…。


コンコン

「まだ残っていらっしゃる受講者の方はいらっしゃいますか?

そろそろ次のカリキュラムに移りますので移動をお願いいたします。」


た、助かった…!

という思いとともに

まだ何かあるの!?

という思いを胸に、渋々と職員について行くのだった。

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