特別単話:とある聖夜の物語

 この話は、現在の話の進展状態とは全く異なる時期となっております。

 と言うか、内容もどちらかと言うと原作に近いです。

 設定はこの作品のままですが。

 ちなみに時系列としては、17話と18話の間くらいです。


 この話を作ろうと思った理由は、一個前の話の後書きにも書いたように、☆とフォロワーが共に100を超えていたからです。

 言ってみれば、読んでくださってる皆さんへの感謝の気持ちです。

 あと今日がクリスマスだからです。


 と言っても、特に何かの伏線になるような話ではありません。

 『このすば』らしい設定を思いついたので書いたまでです。

 ですので気軽に、面白半分で読んでいただけたらなぁと思います。


 では、本編どうぞ!






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 とある冬の日のお昼過ぎ。


 音も立てずに、ゆっくりと雪が世界を白く染めていく中、俺も白い息を吐きながら街を歩いていた。


「うー、寒っ!

 ……ったく、なんで雪ってのはこんなに冷たいんだよ。雪があったかい異世界とか、あったりしないのか……?」


 そんなバカな事を呟く俺の手には、丁寧に包装されたプレゼントが入った紙袋がある。

 こんな時期に俺が屋敷から出る事自体珍しいのだが、その理由もこの時期にプレゼントという事で大体わかるだろう。


 ……そう、クリスマスである。

 あのボッチたちの天敵、クリスマスが、この世界にも訪れようとしているのだ。

 バカップルたちが無意味に外でイチャつき、数多ある店々もそれに味方するという悪魔の1日。

 そんな日は、俺の引きこもりにはいつもに増して磨きがかかっていた。

 ……と、去年までの自分を振り返る。


 だが、今年の俺は一味違う。

 そう、俺には彼女がいるのだ。

 つい先ほど、その彼女へのクリスマスプレゼントを商店街で買ってきたのだ。


 ……まさか自分に、こんな日が来るとは。

 異世界へ召還され、そこで一目惚れしたロリッ……ではなく、少女と恋人になる。

 いや、日々こんなことが起きないものかと妄想はしていたか。

 本当に実現するとは、少し足りとも思っていなかったのだが。


「……よし。もう全員分買ったし、そろそろ戻るか」


 そう、俺が買ったクリスマスプレゼントは、パーティーメンバー全員分だ。

 街ではカスマだのクズマだの言われてるが、俺にだって人情はある。

 日頃のお世話になって……る?

 ……一応、世話になってるパーティーメンバーにも、ちゃんとプレゼントを用意してるのだ。


 なぜか店員たちには、『さすがカスマさんですね』と言われたような気がしたが。

 ……いや、さすがに聞き間違いだろう。

 良かれと思ってしてることまでカスやクズだと罵られては、流石の俺も耐えられん。


 ちょっとした出来事に疑問を持ちながら、そして、朝枕元に置かれたプレゼントにどんな反応をするかを想像しながら、俺は屋敷へと足早に帰った。






 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






 家に帰り自室にプレゼントを隠したあと、リビングへ向かうと皆がソワソワしていた。

 若干一名、ソワソワと言うよりは、敵対心を露わにしたようなやつがいるが。


「どうしたんだよおまえら、そんなにソワソワして。なんだ、集団生理か?」


 俺がそう声をかけると、女共は各々の反応を示す。


「いえ、あの……今日は、その……あの日じゃないですか?あの人が来るのではないかと思うと、少しですね……。

 あと、あの日というのは生理じゃないですからね?紅魔族には生理なんてありませんから。そこは間違わないでください」


 ……ブルーアリゲーターの時もそうだったが、なぜそこまで意地を張るのだろうか。

 生理現象なのだから、別にそこまで気にしなくてもいいと思うのだが。


「そうよ、今日はあの日なのよ!

 あの忌々しいあいつが、誰の許可も得ずに勝手に人様の家に入り込んで好き勝手する、まさに悪魔の日なのよ!

 ……あと、女神も生理なんてないんだからね?」


 おまえは何を言ってるんだ。

 確かにサンタは勝手に家に侵入してプレゼントを置いてくが、悪魔扱いされては不憫もいいところだろう。

 自分以外の人物が崇拝されている宗教に関わる人物が褒められるのが、そんなに嫌なのだろうか?


 先程の自分とサンタが重なり、少しアクアにムカつくも、構うのも面倒なのでダクネスの方を向くと。


「わ、私だって……せ、生理なんて……」


 相も変わらず、顔を赤くしながらこの二人に対抗していた。

 だが……。


「いやおまえ、それはないだろ。

 頭のおかしいアクアと、あのめぐみんならまだしも、おまえが生理来てなかったらさすがに引くんだが……」


「なぁっ⁉︎」


 俺の言葉に、ダクネスは涙目になり。


「ちょっと!頭のおかしいって何よ!」


「カズマ……あのめぐみんなら仕方がない、というのはどういう事か、詳しく説明してもらおうか」


 おっと、女性方全員を敵に回したみたいですね。


「い、いや、おまえら……さっきまで別の話題でソワソワしてたじゃないか。

 さっきはあの人だのあの日だの言ってたけど、次はもっとフリーに、楽しく話そうぜ?

 な?」


「あの話は、フリーに楽しく話せるような内容ではないですよ。

 ……いえ、今はそんな事はどうでも良いのです。

 先程の言葉、撤回して謝罪してもらいましょうか」


 そう言っためぐみんが、目を赤く光らせながらゆらゆらと近づいて来る。

 な、なんだあれ?

 下手したら魔王軍の幹部より怖いんだが?

 ……いや、この世界の幹部共が怖くなさすぎるのか?


「フフ、カズマ。

 今日こそは私の前にひれ伏して貰うわよ。

 いつもは一対一で戦うと狡っからい手を使われて負けちゃうけど、今日は三対一なんだからね!」


「ええっ⁉︎わ、私も戦うのか⁉︎」


 ……ほう、三対一ならこの俺に勝てると?

 ギルドでは『人が相手ならある意味最強』と、褒めてるんだか馬鹿にしてるんだか、よく分からない呼び方で呼ばれてるこのカズマさんに勝てると?


 ……良いだろう!

 俺の今持っているすべての技術を持って、おまえらをもう二度と俺に逆らえないようにしてやる!






 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「ごめんなさいカズマ、私が間違ってました。あなたに逆らうなんて、あの時の私はどうかしていたのだと思います。

 ですから、私だけでもここから出してください。ダクネスは好きにして良いので」


「ええっ⁉︎」


 あっさりと仲間を売っためぐみんは現在、アクアとダクネスと共に俺のバインドスキルで縛られている。

 そしてアクアによって巻き込まれ、今現在めぐみんから売られたダクネスは驚きの声を上げていた。

 巻き込まれた上に、仲間から売られるなんてなんとも不憫な……。

 と、こいつ以外が相手ならそう思うのだが、息を荒らしてるのを見るあたり、その心配もないだろう。


「カズマ……お願いです。そろそろ痛くなって来ました、潰れてしまいそうです」


「潰れるほどないだろ」


 俺がそう答えると、めぐみんはガタッと震えたが、なんとか自制したようで引きつった笑顔でこちらを見ている。

 ほう、良い事を知った。

 次からも何かあれば、この手を使ってみよう。

 ……と思ったのだがそういえば、めぐみんを縛るのはこれが初めてだな。

 ふむ、これはこれで中々良いな……。


「どうしようめぐみん。俺、新しい何かに目覚めちゃったかもしれない」


「この状況でなに怖い事言ってるんですか!やめてください、やめてくださいよ!

 あなたはただでさえ性格に難があるのですから、そんなものに目覚められてはこちらの身が持ちませんよ!」


 ………………。


「……あ、いや……嘘です。嘘ですからね?ですからそんなに怖い顔しないでください。

 あと、そろそろ真面目に出して欲しいのですが。 ダクネスが固くて背中が痛いのです」


「……んんっ!」


 自分が気にしている事を、当たり前のように言われて興奮してるのか……。

 ……いや、なんかもう、言われる前に気づいてしまう自分が嫌です。


「……ったく、しょうがねぇなぁ。

 じゃあ、めぐみんだけだぞ?」


「……んっ!」


「なんでよ!

 ダクネスはこういうの好きだから良いかもしれないけど、私だって嫌なんですけど!

 ダクネスが固くて痛いんですけどー!」


「……んんっ!」


 おいもうやめろ。

 もうアレ、騎士がして良い表情じゃないからな?

 街中で見かけたら即座に通報されるレベルのやつだぞ。


 そう思いながらも、俺は器用に縄からめぐみんだけを解放する。

 ……我ながら、何故こんな意味もないところで器用なのか不思議で仕方がない。


 そして、やっと解放されて肩を回しているめぐみんに俺は言う。


「なぁ、たしか今日の夕飯の分担はめぐみんだったよな?

 それなら俺は、自分の部屋で寝てて良いか?さっきのゴタゴタでちょっと疲れちゃってさ」


「ええ、分かりました。

 では、出来たら私が呼びに行きますから、それまで休んでてください」


「おう、サンキュ」


「ちょっと、私は無視⁉︎

 あんた最近、私の扱い酷すぎない⁉︎

 もっと私を敬いなさいよ、私は女神様なのよ⁉︎」


 良い扱いをして欲しいなら、女神様らしいそれなりの事をしろ。

 そう思ったが、恐らく伝えても無駄なので俺はなにも答えず自室へ向かった。






 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







 その後、夕飯ができたと俺を起こしに来ためぐみんと少しイチャイチャして、なんか凄いことになってたダクネスといじけたアクアを縄から抜けさせ、食事を済ませ風呂に入って、あとは寝るだけとなった。


「では、私は寝させてもらいますね。

 カズマ、アクア、ダクネス、おやすみなさい」


「そうか、では私も、そろそろ寝るとしよう。みんな、おやすみ。

 ……あと、カズマ。今日の攻めは中々良かった。できれば明日もお願いしたい」


 それが、二人のリビングを出て行く時の言葉だ。

 アクアだけ残ったのは、寝る前に酒を飲むためで、その結果酔いつぶれ、それを俺がアクアの部屋に運んで来たところだ。


「……ったく、めぐみんとはえらい違いだな。主に体重と胸部」


 この事を二人の前で言ったら同時に襲い掛かれそうだが、俺はそんな言葉を残して部屋を出る。


 いつもめぐみんを背負ってる俺からすれば、アクアを背負うのも難しくはないが、やはり重さは違った。

 それに、背中に当たる柔らかさも違った。

 だが、どうもあいつの胸には興奮しない。

 何故だ。

 まさか俺には、街でコソコソ言われているように、本当にロリコンの素質があるのだろうか?

 ……いや、違う。

 違うと信じたい。

 だって俺は、めぐみんと出会うまでは理想の女性はロングでスタイルが良くて面倒見もいいお姉さんだったんだからな。

 うん、違うはずだ。


 そう自分に自己暗示をかけながら部屋に戻り、俺はプレゼントを置く準備をすることにした。






 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







 翌朝、眼が覚めると、リビングから聞こえてくる声がいつもとは違った。

 自分のプレゼントに喜んでくれたのかと期待を寄せ、ドアを開くと。


「か、カズマぁー!」


 めぐみんが泣きながら、俺に抱きついて来た。

 おお、これは予想以上の反応だ。


「どうした?」


 落ち着くようにと、頭を撫でながら俺がそう聞くと。


「け、今朝……わ、私たちの枕元に、プレゼントが置いてあったんです!」


「おお、よかったじゃないか」


 俺がそう答えると、めぐみんは急に俺の顔を見て。


「い、良いわけないじゃないですか!

 明日の朝には、私は殺されてしまうのですよ⁉︎」


 ………………?


 ………………えっ。


「な、なに言ってるんだ?

 枕元にプレゼントが置いてあったんだろ?

 なんでそれが死ぬことに繋がるんだよ⁉︎」


「なに言ってるんだカズマ、25日の朝に枕元にプレゼントが置いてあるという事は、あのサンタクロースが来たということだぞ!」


「あのサンタクロースだろ⁉︎」


 真面目な顔で、何か恐ろしいものでも語るようにサンタクロースの事を話すダクネス。

 そんな俺に、アクアが言う。


「……カズマ、この世界のサンタクロースは、あなたが思ってるサンタクロースとは全くの別物よ」


「え?」


「この世界のサンタクロースってのはね?

 24日の夜にある人物の枕元にその人が望む最高のプレゼントを置き、その代わりに次の日の夜にその人物の魂を吸い取ると言われてる、悪魔のことを言うのよ!」


 なにそれ怖い。

 そして、それのせいか。

 俺が店員にカスマだの言われた理由は。


「でもそれは、元々はただの噂話だったの。

 でも、その噂話が広がるにつれてサンタクロースに対して恐怖を抱く人たちが増えて、その恐怖の念が集まって本物のサンタクロースが出来上がってしまったのよ!」


 誰だそんな噂流したバカは!


「そしてそのサンタクロースの服が赤い理由は、なんとか抵抗しようとした人たちの返り血のせいだとされているわ!」


 もうやめろ!

 そんなの、俺の知ってるサンタじゃない!


 ……いや、待てよ?

 何故この世界のサンタクロースも、服が赤いんだ?


「おいアクア、そのサンタクロースって名前は、実体ができてから付けられたのか?」


「いえ?

 噂話の時から名前はサンタクロースよ?」


 そうか、これで一つの謎が解けた。


「……おい、この世界のサンタクロースが誕生した原因、おまえだぞ」


「えっ」


「よく考えてみろ。

 もし、実態ができてから名前が付けられたのだとしたら、その噂の犯人は分からない。

 実態した姿や、その行動が似てたから、転生した日本人がそう名付けたのかもしれないしな」


「う、うん……」


「でも、噂話の時からサンタクロースと名付けられてたなら別だ。

 何故なら、あっちの世界とは元々交わりがなかったこの世界で、サンタクロースなんて名前が出てくるはずがない。

 出てきたとしても、24日の夜に枕元にプレゼントを置くなんて、全く行動がかぶるわけがないんだよ」


「そ、そうね……」


 さっきから返事が曖昧だが、こいつは本当に分かってるのだろうか?


「そこから導き出される答えは一つ。

 この噂話を流した犯人は、おまえが転生させた日本人なんだよ」


「ええっ⁉︎」


「しかも、相当クリスマスにコンプレックスがある日本人だな」


「……あんたじゃないわよね?」


「違うわっ‼︎」


 そんなふうに、俺がアクアの犯行を暴いていると、後ろから肩を叩かれる。


「カズマ、なにを話しているのですか?」


「ん?ああ、ちょっとサンタクロースについて聞いてたんだよ。

 それで、さっきは悪かったな。よかったなんて言って。俺の知ってるサンタクロースとは、随分違ってたんだよ」


 するとめぐみんは、驚いたような顔になり。


「そうなんですか?」


「ああ、俺の地元でのサンタクロースってのは、24日の夜に、一年良い子で過ごしていた子にプレゼントをくれるだけのおじさんだったんだよ」


「な、何ですかそのただ優しいだけのおじさんは!私たちの知るサンタクロースとは真逆の存在ではないですか!

 ……でも、おかげで何故、先程のカズマがあんなことを言ったのかもわかりました。

 それに、先程の私も焦りすぎてましたね。

 相手は悪魔なのですから、アクアに頼めばそれは済む話でした」


「あ、ああ……その話なんだが……」


「?」


 俺の言葉に、めぐみんが顔を傾ける。

 ……くっそ、スゲー言いづらい!

 ここで俺のプレゼントだなんて言ったら、間違いなくアクアにバカにされる!

 ……でも、言うしかないか。


「そのプレゼントは、俺からのものだから恐らくサンタクロースは来ないぞ?」


「「「えっ」」」


 俺の言葉に、四人がハモる。

 そしてしばらくの間、沈黙が流れ……。


「な、なんだよ……。なにもそこまで驚かなくても……」


「カズマ、早速開け「あんたもやっと「ま、まさか中身は「ですか「ようね「なのか⁉︎」」」


「一人ずつ喋れ!」


「「「………………」」」


「なんでだよ!」


 なにも言わないと同時に喋って、注意したら一斉に喋らなくなるってなんだ!

 俺がいないと何にもできないのか!

 ……いや、そうだったよ。こいつらそういう奴らだったよ。


「はい、じゃあまずめぐみんから」


「カズマ、早速開けても良いですか?」


「ああ、良いぞ」


 俺がそう答えると、めぐみんは嬉々とプレゼントを開ける。

 すると、中から出てきたのは……。


「ほう……ネックレスですか」


「ああ、その赤い宝石が、おまえの瞳みたいだなぁって思ってさ」


 そういうとめぐみんは、顔を赤くして。


「な、何ですかいきなり。そんな柄にもないこと言って……」


 ?

 俺は何か変なことを言っただろうか?

 そんな疑問を持ちつつ、俺も思い返してみると。


 !!!!!?????

 お、俺はなんて恥ずかしいことを……!


 俺とめぐみんが先程の言葉に悶えていると。


「ねぇ、そろそろ私も良いかしら?」


「お、おう……」


 そう答えるとアクアは踏ん反り返り……。


「この私にプレゼントだなんて、そろそろあんたも私を敬うようになったのかしら!」


 それをわざわざ言うために、俺を呼んだのか。

 どうやら昨日の一時間バインドでは懲りてないようなので、三時間バインドをかけてやる事にした。


「じゃあ次、ダクネス。いいぞ?」


「も、もしかして、中身はスライムなのか⁉︎」


「違います」


 俺がそう答えると、ダクネスは落胆する。


「まぁ、中を見てみろって」


 そう言われた俺に、ダクネスが包装を解きながら箱を開けると……。


「お、おいカズマ……これは?」


「エロ本です」


 すると、ダクネスが殴りかかってきた!


 ※※※


 ダクネスを瞬殺し、アクアと一緒にバインドで縛り上げていると。


「俺は、おまえのことを思ってこれを渡したんだよ」


「ど、どういうことだ……」


 なにやら意図が分かっていないようなので、俺は説明してやる。


「そのめんどくさい性癖を、それを見て正せって意味だよ」


「アホかっ‼︎」


 何故だ。

 俺なりの名案だったのだが。


「プークスクス!ダクネスったら、クリスマスプレゼントにそんなのを貰うほど心配されてるのね」


「ちなみにおまえのはノートとペンだからな?」


「……どういう事か、聞いても良いかしら?」


「その足りない頭を、少しはまともにしてくれって意味だよ」


「ぶっ殺!」


「『フリーズ』」


「「あだっ」」


 俺の言葉に、二人協力して襲いかかろうとしてきたから床を凍らせて転んでもらった。


「しばらくそうしてろ。

 ……よし、なぁめぐみん。

 今日はクリスマスなんだし、デートしようぜ。

 こっちのほうではあまり無いかもしれないが俺の国ではクリスマスには恋人がデートするのが当たり前だったんだよ」


「そうなのですか。

 では、まだ朝早いですし、今日は一日中デートできますね。

 最後はもちろん、爆裂鑑定で締めましょう」


 そう言いながら、めぐみんは先程渡したネックレスを首にかける。


「お、おう。そうだな」


 本当に、こいつは分かってやってるんじゃ無いかと思うくらい俺をドキッとさせてくる。

 今日のデートも、楽しめそうだ。


 後ろでアクアの呼ぶ声が聞こえるが、それを無視して俺らは外へ出た。






 








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