第5話:金髪の美女

「はい、確かに。ジャイアントトードを三日以内に5匹討伐。クエストの完了を確認しました。ご苦労様でした」


 俺は冒険者ギルドの受付で報告を終え、報酬を貰っていた。

 ヌメヌメだっためぐみんは可哀相だったので大衆浴場に連れて言った。


 ん?アクア?『水の女神なんだからヌメヌメも水に変えられるんだろ』と言いながらめぐみんにだけ金をあげたら泣いて掴みかかってきたので、俺までヌメヌメにならない様にと一応、しょうがなく金をやったよ。


 その後は受付のお姉さんとレベルについてなどの話をしていた。


 少し話した後、今残っているクエストを見て異世界の現実を見せつけられ、少し暗くなりながら近くの椅子に座った。


 でもこの世界にはめぐみんがいるんだ!

 これから俺は、めぐみんと一緒にこの世界で素晴らしい生活を送って行くんだ!


 などと馬鹿なことを考えてると…


「……すまない、ちょっといいだろうか……?」


 後ろから声をかけられたので座ったまま振り向いてみると、そこには一人の女性がいた。


 金髪碧眼の俺よりも少し背が高い、全身を頑丈そうな金属鎧に身包んだ、まさに騎士という格好をしている女性だった。

 それに美人だった。


 でも別にめぐみんへの思いが揺らいだらはしないからな!


「なんでしょうか?」


「うむ……。この募集は、あなたのパーティーの募集だろう?もう人の募集はしていないのだろうか」


 その女騎士は一枚の紙を持っていた。

 そういえば、めぐみんがきたことに興奮しすぎて募集の紙を剥がしてなかったな。


「あー、まだパーティーメンバーは募集してますよ。と言っても、あまりオススメはしないですけど……」


「ぜひ私を!ぜひ、この私をパーティーに!」


 やんわりと断ろうとした俺の手を、突然、女騎士がガッと掴んだ。

 ……えっ。


「い、いやいや、待って待って、色々と問題のあるパーティーなんですよ。さっきだって仲間が粘液まみれに、いだだだだっ!」


 粘液まみれと言った途端に、俺の手を握る女騎士の手に力がこもった。


「やはり、先ほど聞いたヌメヌメプレイをしたあげく、そのまま街へ連れ出し羞恥プレイまでさせて女の子を泣かせた男というのはあなただったのか!わ、私も……!ぜひ私にもそんなプレイを……!」


「えっ⁉︎」


 今このお姉さんはなんで言った?


「いや違う。あんな年端もいかない二人の少女、それがあんな目に遭うだなんて騎士として見過ごせない。

 どうだろう、この私はクルセイダーというナイトの上級職だ。募集要項にも当てはまると思うのだが。」


 なんだろう、この女騎士、目がやばい。

 落ち着いた雰囲気のお姉さんだと思ってたのに!


 そして、俺の危機感知センサーが反応している。

 こいつはまだ何か隠してる、と。


「いやー、先ほども言いかけましたがオススメはしないですよ。仲間のうち一人はほんとになんの役に立つかわかりませんし、もう一人は爆裂魔法しか使えませんし、俺は最弱職ですから!ポンコツパーティーなんで、他のところをオススメしま……っ!」


 さらに女騎士の手に力が込められる。


「なら尚更都合が良い!いや実は、ちょっと言い辛かったのだが、私は力と耐久力にば自信があるのだが不器用で……。その……、攻撃が全く当たらないのだ……」


 やはり俺のセンサーは正しかったらしい。


「という訳で、上級職だが気を使わなくていい。ガンガン前に出るので、盾代わりにこき使って欲しい」


 そう言って俺に寄ってくる。


「いや、女性が盾がわりだなんて、ウチのパーティーは貧弱なんで本当にあなたに攻撃が回ってきますって。それこそ毎回モンスターに袋叩きにされるかもしれませんよ?」


「望む所だ」


「いや、アレですよ。今日なんて仲間二人がカエルに捕食されて粘液まみれにされたんですよ⁉︎それが毎日続くかも」


「むしろ望む所だ!」


 ……ああ、わかった。


 ……こいつは性能だけじゃなく、中身までダメな系だ。


















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る