第2話:新たなパーティーメンバー

「我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者……!」


 俺はそんな、ちょっと厨二くさい自己紹介をして来た少女に見とれていた。


「あ、あの。そんなにじっと見つめられると私も少し恥ずかしいのですが」


 そこまで言われて俺は、やっと我に帰った。


「……………。

 あ、ああ。すまん。それでその…、めぐみんてのは?」


「本名です」


「いや、でも……」


「本名です」


 からかっているのだろうか?

 でもこの子も真顔で返してくる。

 いやでもめぐみんて…。


 俺がそんな事を考えていると…。


「……その赤い瞳。もしかして、あなた紅魔族?」


 アクアの問いにその子はコクリと頷くと、アクアに自分の冒険者カードを手渡した。


「いかにも!我は紅魔族随一の魔法の使い手、めぐみん!我が必殺の魔法は山をも崩し、岩をも砕く……!

 ……と言う訳で、優秀な魔法使いはいりませんか?……そして図々しいお願いなのですが、もう3日も何も食べていないのです。できれば、面接の前に何か食べさせては頂けませんか……」


 めぐみんはそう言って悲しげな瞳でじっと見て来た。

 それと同時に、めぐみんの腹の辺りからキューと切ない音が鳴る。

 おい!そんな上目遣いで見るなよ!ドキドキするだろ!


「ま、まあ、飯を奢るくらい構わないよ」


 そう言って俺たち3人は席に着き、各自の料理を頼んで面接を開始した。


「んで、めぐみんってのは本当に本名なのか?」


「はい、そうですよ」


 未だに信じられず目線をめぐみんからアクアに移すと、


「……ええと。

 カズマに説明すると、彼女達紅魔族は、生まれつき高い知力と強い魔力を持ち、大抵は魔法使いのエキスパートになる素質を秘めているわ。紅魔族は、名前の由来となっている特徴的な赤い瞳と……。

 そして、それぞれ変な名前を持っているの。」


 ……なるほど。

 名前とかその他いろいろ、俺をからかってるのかと思ってた。

 じゃあ名前は仕方ないとして、発育は少し物足りないが、見た目がいいからよし。そして知力も魔力も高い上級職。それに見た目がいい。

 ……最高じゃん!是非うちのパーティーに入ってもらわなくては!


「変な名前とは失礼な。言わせてみれば、街の人たちの方が変な名前をしていると思うのです」


「おい、めぐみん。うちのパーティーに入れよ」


「大体…、え?今なんと言いました?もう一度言ってくれませんか?」


 めぐみんが驚いた顔をしながら言って来た。


「ん?だから、うちのパーティーに入れよ」


「ちょっとカズマさん⁉︎私の意見は⁉︎いや、別にいいのよ?その子はアークウィザードなんだから強いんだろうし!でもこういうのって、話し合いの過程が大切だと思うの!過程が!」


 横でうるさいアクアを無視し、俺は未だに驚いているめぐみんに手を差し出した。

 驚いた顔も可愛いな。


「よろしくな!」


「え、あ。はい。よろしくお願いします」


 めぐみんは未だ信じられないのか少し戸惑いながら手を握って言った。

 あ、手柔らか!


 こうして優秀なアークウィザード兼俺の未来の彼女が俺たちのパーティーに参加したのだった。








 

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