もし二人が初めから惹かれ合っていたら
クロイヌ
第1話:全ての始まり
俺はサトウカズマ。今はこの世界で冒険者をやっている。
ん?この世界ってのはどういうことかって?そこら辺の説明は長くなるし、嫌な思い出もあるから書籍版の1巻を呼んでくれ。
んで、色々あってこの世界に来た俺は、俺の転生特典であるアクアと共に初めてのクエストを終え、ギルドへ戻って来て食事をしているところだ。
「アレね。二人じゃ無理だわ。仲間を募集しましょう!」
そう、さっきは『クエストを終え帰って来た。』と言ったがまだ完全には終えてはいなく、モンスターに捕食されかけていたアクアを助けながら、やっとの事で相手を一体倒して逃げ帰って来たのだ。
「でもなあ…。仲間ったって駆け出しでロクな装備もない俺達と、パーティー組んでくれる奴なんかいると思うか?」
口一杯に料理を含みながらアクアは言った
「ふぉのわたひがいるんだはら、なかああんて」
「飲み込め。飲み込んでから喋れ」
アクアは口の中のものをゴクリと飲み込み、
「この私がいるんだから、仲間なんて募集かければすぐよ。
なにせ、私は最上級職のアークプリーストよ?あらゆる回復魔法が使えるし、補助魔法に毒や麻痺なんかの治癒、蘇生だってお手の物。どこのパーティーも喉から手が出るくらい欲しいに決まってるじゃない。
カズマのせいで地上に堕とされ、本来の力からは程遠い状態とはいえ仮にも女が……、コホンッ!このアクア様よ?
ちょろっと募集かければ『お願いですから連れてってください』って輩が山ほどいるわ!分かったら、カエルの唐揚げもう一つよこしなさいよ!」
などと言っている自称女神を、俺は不安気に眺めていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日、冒険者ギルドにて
「………………来ないわね……」
アクアが寂しそうに呟いた。
求人の張り紙を掛けた俺たちは、冒険者ギルドの片隅にあるテーブルで、すでに半日以上新しいパーティーメンバー候補を待っていたのだった。
他のパーティーでも募集を行っているようだが、そこには紙を見た冒険者達が面接を行なっていたりする。
誰も来ない理由は分かっている。
「……なあ、ハードル下げようぜ。目的は魔王討伐だから、仕方ないんだが…。
流石に、上級職のみ募集してますってのは厳しいだろ」
「うう…。だってだって……」
この世界には上級職というものがある。
アクアがついたアークプリーストもその一つだ。
しかし、そんな人たちは大方すでに他のパーティーに優遇されているだろう。
アクアは魔王討伐の為に出来るだけ強力な人材で固めたいのだろう。
だが…。
「このままじゃ一人も来ないぞ?
大体、お前は上級職かも知れんが俺は最弱職なんだ。周りがいきなりエリートばかりじゃ俺の肩身が狭くなる。ちょっとハードル下げて……」
俺がそう言って、立ち上がろうとしたときだった。
「上級職の冒険者募集を見て来たのですが、ここで良いのでしょうか?」
声が聞こえた方を向くとそこには…。
雪のような白い肌に、短く揃えた濡れたような黒髪、全てを燃やし尽くしてしまいそうな炎のような赤い瞳を持った。
黒マントに黒ローブ、黒いブーツに杖を持ち、トンガリ帽子まで被った典型的な魔法使いの格好をした一人の少女がいた。
「我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者……!」
俺は生まれて初めて、一目惚れをした。
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