4.

 家に帰り着くまでの間、青醒めた景都けいとはほとんど喋らなかった。淳弘あつひろは気の利いた言葉もかけたやれない自分をもどかしく思いながら、少しでも景都の気を紛らわせる役に立てればと、冷えた小さな手をしっかりと握って離さなかった。

 重い空気の中、重い足取りでようやく家にたどり着いてから、淳弘は景都にミルクティーを淹れた。うつむいたままカップを口に運んだ景都は「甘くて、温かくて、美味しいですね」と呟いて、それで少しだけ硬さがほぐれたような気がした。

 ただ、それでも、訊いていいものかどうか、淳弘は迷っていた。景都の言葉は流してしまえるようなものではなかったが、今の縮こまった姿を見て、無理に問い質すような真似はためらわれた。

「淳弘」

 ためらううちに、景都の方が口を開いた。

「すみません。私が取り乱したものだから、気を遣って下さっているのですね。やはり、淳弘は優しいですね」

 湯気の立つカップを両手で包むようにしながら、景都はカップの中の優しい色の水面に目を落とした。優しい淳宏が淹れてくれた、優しい色と優しい味のミルクティーは、とてもとても優しく感じられた。

「優しくしてもらえるの、とても嬉しいです。でも、優しくされるのに甘えていては駄目ですね。ごめんなさい、淳弘。私、お話していなかった事があります。それをきちんとお話しますので、どうか聞いて下さい」

 景都は踏ん切りをつけるように姿勢を正し、凛と顔を引き締めた。そのどこか痛々しささえ感じさせる姿に、淳弘もまた気を引き締めて向かい合った。

「私の母の事はお話しましたが、母の他にもう一人だけ血縁の者がおります。私が幼い頃に母と反目して出奔した姉です。その姉の名は、沙尼さにと言います」

「その、お姉さんも、鬼喰いの……」

 言いかけた淳弘の言葉を遮るように、景都は首を横に振った。

「姉上は……、鬼喰いとして生まれました……。ですが……、今は違います。今は……、今の姉上は……」

 景都は唇を噛んで辛そうに声を絞り出した。

「姉上は『鬼喰い』ではありません。『人喰い』の化け物に堕ちました」

 景都がきつく握り締める手の爪が掌に食い込んだ。

「それって……」

 唐突な話に淳弘は途惑いを隠せなかった。少しずつ話を飲み下していかなければ、まだわからない事が多すぎる。

「すみません。きちんと説明します」

 景都は沈痛な面持ちで目を伏せて言った。

「先にお話ししましたように、鬼喰いはあやかしの生気を吸って力の源とします。しかし、あやかし以外のものから生気を吸って代用とする事も可能です。その、それが、つまり、人、なのです。鬼喰いは、人から生気を吸って力を得る事もできるのです」

 淀む言葉を吐き出しながら、景都は顔を上げられなかった。今、この話を聞いた淳弘がどんな顔をしているのか怖くて見られなかった。

「ですが、それは鬼喰いにとっては禁忌です。決して人を喰ってはならぬというのは、鬼喰いの絶対の掟で、禁を破り『人喰い』となった者は一切の弁明と例外を許さず、同族の手で死をもって処断されねばなりません。

 姉上は──」

 言いかけて、乾いた舌がもつれて息が詰まった。水気の少ない唾が喉に張りつく不快感をこらえて先を続ける。

「姉上は、私が幼い頃、淳弘と出会うよりも少し前くらいに、に母上の元を離れ、行方も知れませんでした。元より鬼喰いはあちらこちらと流れ歩いて、一つの所に留まらぬ者が多く、それは別段珍しい事でもありません。ただ、その姉上の消息が最近になってわかったと母上より聞かされました。姉上は……『人喰い』になってしまった、と。

 母上は、私を残して、一人で姉上を討つために出かけてしまわれました。その後──」

 景都の双眸から涙があふれて流れ落ちた。

「姉上が、私の元へ来られました。は、母上の、母上の……、首を持って……!」

 一気に吐き出すように言った景都は、両手で顔を覆って背を丸めた。

 嗚咽を洩らす景都の小さな肩が小刻みに震える。

「私、逃げたのです! 姉上が人喰いなのも知っていて、母上を殺されて、それなのに……、務めを果たそうともせず、母上の仇を討とうともせず、ただ、姉上が恐ろしくて……、母上でさえ殺されたのに、姉上を放っておけば何人もの人が喰い殺されるとわかっていて、それなのに……、私などに敵うはずもないとたやすく諦めて……、怖くて……、怖くて……、何もかも投げ捨てて、私一人、鬼喰いなどやめて、人間になって、のうのうと生きていたいと思って、それで、逃げて来たのです……! 姉上はいつも私を『弱虫景都』と嘲笑っていました……。ですが、その通りです……。私は……、臆病な卑怯者です……」

 もはや、嗚咽どころか号泣だった。自分の恥を、卑怯で醜い部分を淳弘の前にさらけ出して、景都は泣いた。

 怖くて逃げただけならば、それならば、ただの臆病者で済む。しかし、景都はそれを隠そうとしていた。自分の恥ずかしい部分、醜い部分を見せたくなくて、黙ったまま言わずにいようとしていたのだ。

 この性根の何と浅ましい事であろうか、と景都は顔を上げる事もできなかった。

 軽蔑されるだろうか。嫌われるだろうか。だとしても仕方がない。

 淳弘は景都にたった一つだけ残ったよすがだったと言うのに、それを欺こうとしていたのだ。報いがあって然るべきだ。

「景都」

 淳弘がそっと名前を呟く。

 身を縮めて強張らせる景都は、次の瞬間、ふわりと抱き締められていた。

「ありがとう、話してくれて」

 優しい声が温かく染みる。

「ごめん。辛い事を話してくれて、ありがとう」

 はっと息を呑む。淳弘の腕の中で、景都は涙で汚れた顔を恐る恐る上げた。

 淳弘は責めも咎めもせず、ただ、柔らかな眼差しをくれる。景都の泣き顔がくしゃりと歪んだ。

「あ……、あう……、私……っ」

 言葉にならず、涙ばかりが零れる。

「う……、うう……、ひっ、う……」

 景都は淳弘の胸にすがりついて泣きじゃくった。そんな景都を抱き締めてくれる腕は、とても、とても、温かかった。

 

「落ち着いた?」

「はい……。もう、大丈夫です」

 ひとしきり泣いた景都は、赤くなった鼻をぐずぐず言わせながら頷いた。

 今の景都を見て、淳弘は自分から無理に話を聞き出そうとはするまい。しかし、まだ話しておかなければならない事は残っている。だから、景都は再び自分から口火を切った。

「もう一つ、はっきりお話しておかなくてはなりませんね。……姉上の事、先程会った方の事を……。あの方、美島みしま知月ちづき様とおっしゃいましたね」

 街の通りで淳弘と景都に接触してきたのは、姿形は淳弘のクラスメイトの美島知月に他ならなかった。

 淳弘が頷くと、景都はゆっくりと頭を振った。

「あれは……、美島様という方では……、人間ではありませんでした。私の姉上の沙尼です。姉上は変化と隠行の術が得意ですので、姿を変え、妖気を隠して人になりすましていたのでしょう。ですが、あの時、あの方は隠していた妖気を放ってみせました。あれは、姉上の妖気です。それに……、私を『弱虫景都』と……、姉上しか呼ばない名で呼びました……。あの方は姉上です。間違いありません」

 そこまで言うと、景都は唇を引き結び、ぎゅっと拳を握った。これから、淳弘に辛い事実を告げなくてはならない。そのためには、もう一度、しっかりと心構えをしなくては言えそうになかった。

「それは……、あれが美島さんじゃなくて景都の姉さんだとしたら、本物の美島さんは……」

 淳弘の言葉に、景都は頷いて目を伏せる。

「もう……、姉上の犠牲に……、そうして、姉上は美島様に成りすまして、入れ替わっていたのだと……思います」

「そんな……」

 苦しげに絞り出す景都の言葉に、淳弘は絶句した。

「それじゃあ、もう、美島さんは死んで……」

 景都は唇を噛んで頷いた。

「姉上が……生かしておく理由が見つかりません……」

「でも……、いつから?」

「わかりません。でも、最近の事ではないかと。母上が、姉上を見つけ出して向かった先はこの辺りではなかったはずですから、その後にこの街へ来たのではないかと……」

「だとしたら! 美島さんは、いや、美島さんじゃなくても、いつも通り、普段の美島さんと何も変わらないように見えた……。クラスの皆とも普通に、前と何も変わらないようにしていて、昔の事を話したりもしていた……」

 知月と沙尼が入れ替わったのが最近だとしたら、それよりもずっと前の話を沙尼が知っているのはおかしい。淳宏がそう思うのは景都にもわかったが、静かに首を横に振った。

「姉上は、喰い殺す相手の精気だけでなく記憶も吸い取ります。そうして、完璧に成りすますのでしょう……」

 本物の知月が生きている可能性は限りなくゼロに近い。無論、死んでいる事が証明された訳ではないが、生存を期待するのは、箱ごと叩き潰されたシュレディンガーの猫を、蓋を開けるまで生死がわからないと言い張るようなものだ。

 青褪めた淳弘の顔を見るのが辛く、景都は伏せた目を上げられなかった。

「私が……」

 呟く声が震えた。

「私にもっと力があって、姉上を止めていればこんな事には……、淳弘の友達をこんな目に遭わせる事にはならなかったのに……。敵わなくとも……、せめて、刺し違えてでも止めていれば、こんな事にはならなかったのに……。私……、私……」

「景都」

 目に涙をにじませる景都の髪に淳弘がふれた。

「景都のせいじゃない。自分を責めないで。景都の姉さんはすごく強いんだよね?」

「……はい」

「景都の母さんでも勝てなかった。もし、景都が戦ったとしたら、勝ち目はどのくらいあるの?」

「……恐らく、一割もないでしょう。刺し違えるつもりなら、二割くらいにはなるかも知れません……」

 情けない話だが、それが事実だ。元よりあまり強くない力が妖怪も喰わないので衰える一方の景都と、遙かに年長で経験も豊富な上に人喰いで妖力を保つ沙尼とではそれほどの開きがある。

「だったら、僕は景都が逃げてくれてよかったと思う。景都が生きていてくれて、また会えた事が嬉しいから。美島さんの事は、景都のせいなんかじゃないから。だから、自分を責めないで」

「……はい」

 友人を失った事がショックでないはずがない。それでもなお、景都を慰めるために優しい言葉をかけてくれる。その温かい心地好さに甘えてしまう。景都はそんな自分の卑しさが疎ましく、それでもすがらずにはいられない弱さが情けなく、自己への嫌悪を募らせていった。


§


「知月……?」

 一方、知月のマンションでは、美佳子みかこが愕然として呟きを洩らしていた。

 何が起きたのか理解できない。つい、今まで目の前には友人の美島知月の姿があった。そのはずだった。

 しかし、現実の美佳子の目に映る姿はそうではない。

 すらりと伸びた肢体に深縹こきはなだ色のあわせをまとう黒髪の傾城。

 浮世離れした雰囲気の美人という点では知月もそうだが、目の前の相手は背格好も顔立ちもまるで違う別人だ。

 腰まで届くつややかな濡れ羽色の髪。ほっそりした顔の輪郭に、真っ白な肌に映える真紅の唇が艶めかく濡れた色を見せる。整った蛾眉の下には長い睫毛に縁取られた黒い瞳が超然とした輝きを宿して美佳子を見据えている。肢体の美麗な曲線は服の上からでもはっきりと感じられる。わずかに身じろぎするような何気ない仕種一つで色香が匂い立ち、女の身であっても、思わず見とれてしまうほどだった。

 しかし、この美貌はきっと魔性のものだ。甘い香りを吸い込めば、夢見心地で死んでいくに違いない。

 美佳子は目の前の相手に対して、本能的に恐怖を感じた。

「あ……、あんた、誰? 知月は……、どうしたのよ」

 気丈に吐き出す言葉が震えた。そんな美佳子の様子に、目の前の和装の女はくすりと笑って見せた。

「儂か? 儂は沙尼と言う。美島知月と言う娘ならば──」

 そう言って、沙尼と名乗った女は、にい、と笑顔を歪ませた。

「──儂が喰った」

 ぞくり、と怖気が走り、自分でも気付かないうちに後ずさっていた。

 何を、と考える前に言いかけた美佳子の口を、沙尼の手ががしりとつかんでふさいだ。

「儂はな、『人喰い』じゃ。人を喰らう化物よ。知月は半月ばかり前に儂が喰い殺した。実に美味であった。やはり、若い生娘の精気が一番旨いが、あの娘は格別であったわ」

 そう言って、沙尼は唇を舐めた。朱い唇が唾液に濡れて、艶めかしく光った。

「それから、知月の姿と身分は儂が潜む隠れ蓑に借りておった。幸い、あの娘は一人暮らしな上に、元が変わり者で多少の所行のずれも怪しむ者はおらぬ。実に好都合であった。ただ、それでも──」

 沙尼は美佳子にぐっと顔を近付けて、沙尼の顔のまま、知月そっくりな表情で笑みを浮かべて見せた。

「美佳子達が私を本物の知月と信じて疑いもしない様子は、本当に滑稽でしたわ」

 と、沙尼は美佳子の耳元に唇を寄せ、知月の声で囁いた。

 沙尼が手を離した途端、美佳子はぺたんと膝から床に崩れ落ちた。

 信じられる話ではない。

 しかし、信じてしまった。信じさせられてしまった。

 沙尼の放つ鬼気に圧倒され、恐怖に呑まれ、背筋が凍りつき、体中が震えて涙がにじむ。

 目の前の女が──こんな生き物が、人間であるはずがない、と。

「や……、ひ……」

 声にならない呻きが洩れた。

「あたし……、あたしを……、あたしも……、こ、殺すの……」

 恐怖に引きつり、それでも沙尼から目を離せないまま、美佳子が絞り出すように言うと、沙尼は屈んで美佳子と視線の高さを揃えた。

「そうじゃ」

「──っ!」

 沙尼の簡潔な答えに、美佳子の目が大きく見開かれた。

「ここでの暮らしもなかなか居心地が良かったが、もう仕舞いじゃ。あの愚妹めがここにおるのなら、もめるのも面倒じゃ、居場所くらいはくれてやるわ。しかし、余所へ移る前に、もう一人くらいは喰ってから行くつもりじゃが、折角なら、気に入った相手を喰う方が良い」

 沙尼の言葉もほとんど耳に入らず、美佳子はガクガク震えるばかりで、その頬に沙尼の指がそっとふれて、流れ落ちる涙をすくい取った。

「美佳子、そなたはなかなかに愛らしいので気に入っておった」

 沙尼は指を濡らす美佳子の涙を、ぺろりと舌で拭い取った。

「ふむ。涙も良い味をしておる。美佳子、そなたは実に旨そうじゃ」

「や……、やだ……、ひ……」

 尻餅をついた美佳子は、沙尼から目を離せないまま、少しでも遠ざかろうとしたが、そんな簡単な動きも覚束ないほど体が震えて治まらなかった。

「た、助け……、て……、やだ……、や……、いや……」

 美佳子がどうにか一歩分後ずさると、沙尼がその分だけ間を詰めた。本当なら立ち上がって全力で駆け出したいのに、震える体は言う事を聞かない。

「やだ……、やだ……、やだよぅ……、助けて……、お願い……」

 泣きじゃくる美佳子の頬に沙尼が手を添える。指がふれた瞬間、美佳子がびくりと大きく震えのを見て、沙尼はふんと鼻を鳴らした。

「死にたくないか?」

 沙尼の問いに、美佳子はこくこくと頷いた。

「ならば、そなた次第では助けてやってもよいぞ」

「……ほ、ホント……?」

 沙尼の意外な言葉に、美佳子は恐る恐る問い返した。

「ああ、本当じゃとも。ただし、条件があるがな」

「な……っ! 何でもする! 何でも、言う通りにするから……っ! だから、お願い……、こ、殺さないで……」

 必死に訴える美佳子に、沙尼はすうっと目を細めて、口元に怜悧な笑みを浮かべた。

「では、ほれ──」

 そう言って、沙尼はいつの間に抜き取っていたのか、美佳子の携帯電話をその手に握らせた。

「それで、茉莉花まりかを呼べ」

 意図する所がわからず、呆けたような美佳子に、沙尼は冷たく言葉を続けた。

「そなたの身代わりに茉莉花を差し出せ。そうすれば、そなたを喰わずに見逃してやろう」

 はっきりと告げられたその言葉に、美佳子の全身から血の気が引いた。

「自分が助かるために、友を騙して呼び寄せて、身代わりにして儂に喰わせよ。そう言っておる」

「そ……、そんな……」

 沙尼に携帯電話を握らされたその姿勢のまま、美佳子は愕然として唇を震わせた。

「嫌か? ならば、そなたを喰うぞ。儂はどちらでも構わぬ」

 そう告げた沙尼は、美佳子の肩の辺りに顔をぎゅっと押しつけて首筋に軽く歯を当てて甘噛みした。

「ひ……っ!」

 首の皮膚が前歯に挟まれて引っ張られる感触。そこに舌先がふれ、周りは柔らかな唇の感触が包み込む。

 一瞬、陶酔するような感覚の後、体の力が抜けて、全身が冷たくなっていくのを感じた。甘噛みされた所から、美佳子の命が沙尼に吸われていくのだ。

「や……、嘘……、やだ……」

 恐怖に固まって瞬きすらできない美佳子から、沙尼はゆっくりと身を離し、見せつけるように舌なめずりをした。

「今のはほんの一口じゃ。ふふ、やはりそなたは旨いの。あまり待たされると、我慢できずに喰ってしまいそうじゃ」

 完全に脱力した美佳子は、抗うだけの気力も奪われ、放心したようにぼうっとするばかりだった。

「長くは待たぬ。儂に喰われるか、助かるために茉莉花を差し出すか、自分で決めよ」

 嘲笑うように沙尼が言う。

 美佳子は手の中の携帯電話が、ひどく重たく冷たい物に感じられた。

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