4-3

香は自分が話せる状態になると

美羽の真横に座って話し出す


(まず、私が焚人さんとコソコソした関係になった理由から話すね)


(。。。)

美羽は固唾をのんで受け入れる準備をした


その内容はこうだ

美羽と焚人が喧嘩をしていたあの朝の日

美羽が自分から折れて、腕を噛みなと口にした時だった


焚人は、美羽の携帯を広い

画面に記された香からのメッセージを見た

そこには[昨日は楽しかったね、また語ろうよ] そう書いてあった


それで美羽の腕を噛むのを止めた

その後、どこかへ出掛けると言って、帰ったのは深夜だった。。

その時間、焚人は香と会って話をしていた。。


(やっぱり。。そうゆう関係な。。)

(違うよ!?)


美羽が顔を曇らせる前に、香は力強く否定をした


(でも、ここだけだと、何も変化が無いから。。)


(私もね、焚人さんの連絡知らないから、解らなかったのよ

でも何度も着信が来てね。。美羽の携帯拾ったときに私の番号確認したんだってさ)


(うん。。それで?)

美羽が恐る恐る、続きを催促する

彼女の中では、勘違いの修正が一つも改善しておらず

それは当たり前な感情だ。。


(その内容がね?自分の癖を直したい、て言うか、しなくて済むようにしたい

そう言ってきたのよ、焚人さん噛み癖があるんでしょ?)


(うん。。そうなの。。香、聞いてたんだね?それであの日も喧嘩したから。。)


美羽は、少し恥ずかしそうに、足先をモジモジとさせている


(私も、聞いたときは驚いたけど、理由聞いて納得はできたよ

美羽が知りたいのは、そこなんだよね?)


(うん!そう。。でも教えてくれなくて)


香が今度は美羽の正面に移動した


(落ち着いて聞いてね?焚人さんね、絶対味覚なんだって)


(へっ?。。)


美羽には理解が追い付かなかった

絶対味覚と噛む理由の関連性が見当たらなかったからだ。。


しかし、この後に香の説明で

今までの焚人の不可解な行動と知られたくない理由と、言えない訳を

美羽はようやく理解する



(絶対味覚が なんなの?私を味見して何がわかるの?)


その答えに香が、言いづらそうにして答えた


(。。して。。ないか。。)


(えっなに?)


美羽が耳を傾けて聞き直す


(セックスしてないかの。。確認したんだって。。)


(!!!っ)


予想外な答えで表情が固まる美羽。。

香も、耳を真っ赤にして、焚人の行動の原理を説明していた


焚人には得意な事があり、それが絶対味覚

外食した時の料理も、完璧に味を真似することができる


そして。。普段、美羽と性行為をしたあとの

体の味も覚えていて、する前と、した後の微妙な味の違いもハッキリと解るという


そんな内容を聞かされていたが、そんな事を言われても

信じる事が出来ない香は


相談場所がファミレスなのを良いことに

ハンバーグを一つ注文した



そして。。焚人はそれを口に入れると

肉の合挽きの種類から 調味料 スパイス 化学的な物まで

話し出した


香は無理を言って、店員にお願いをした

暫くして、料理長に聞きに行った店員が戻り

入っている材料が書かれた紙を渡される


焚人にもう一度、入っている材料を聞くと

全て書かれた物と同じ内容を口にした


香もそんな超人的な出来事を目の当たりにしてしまい

焚人の言うことを信じるしかなかった


(だから、不安でそうゆうことしたんだって

でも、それは同時に、美羽を信じてないのと同じだから言えないって、噛む度に苦しいって。。)


(。。バカだなぁ焚人。。ちゃんと言ってくれば、嫌がったりしないのに)


美羽は顔を下に向けて、グスグスとすすり泣き

自分の大人になれない部分にうんざりしていた


(それでね?美羽の携帯見たときに、気づいたんだって

私と知り合いになれば、噛まなくても済む時が増えるかもって、美羽がそれを望んでるからって)


(私のために?)

そう言われて、美羽は喧嘩した朝の事を思い出す

自分がもう噛んでほしくない、それが辛い

確かに言った


そして。。焚人は怒ったのではなく、それの解決策を香と深夜まで話していた

これが真相だと全て理解した


その後、焚人が家でコソコソ楽しそうに電話をしていたのも香で


大きな仕事が始まる前の数日間、香と密会を始めた頃の

自分と余り話をしてくれない理由は、焚人なりの理性の押さえだったらしい

美羽に優しくされたら、差し出されたら噛んでしまう

だから、慣れるまで、甘える事を避けていた



その事で、美羽が不安になったときは、香にフォローを

頭を下げて、お願いしますと頼んでいた


実際に、美羽が香に相談したときも、お弁当の時も

香は心配ないと元気付けていた


そうゆうこと全部を

美羽は今さら知り、けれどもう全て遅すぎた、別れを自分から切り出して


焚人を傷つけた。。最後に美羽が腕噛ませた時

彼に浮気の事実を知らせてしまった


そして。。焚人が最後だからと、理由を話すと言ったのを直ぐに止めた訳を

今の美羽なら理解できた。。


焚人は美羽に重荷を背負って欲しくないと思ったのだ

別れる事は変わらず、美羽が新しい人生を送るときに


本当の理由を知ったら、浮気をした罪悪感を抱える

そう思ったから、腕を舐めた、あの瞬間、焚人は考えを変えた


それで、美羽が自分の所に戻ったとしても

美羽が泣くことは変わら無いことも想像したからだ


そして、絶対味覚の事も、舐める理由も言えないものになってしまった。。




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