3-4

香は二人が出てくるのを

待つことにした


その間。。、不安とイライラと、嫌悪感で

たったの10秒の間も、色々と考え込んでしまう


そして。。空がオレンジ色になり始めた頃

腕を組んだ美羽達が出てくるのを確認すると


向こうが気づく前に、香は間合いを詰めて

美羽にビンタをした


その直後、片岡の事を睨み殺すよう目付きで蔑視した。。


(おっお前!いきなりなにしてんだよ!)


片岡は香の手を握ったが

香の勢いは収まらず、それを振り払い

(あんたは黙ってな!)と一喝した


その気迫に、美羽は泣きそうになっている

自分のしている背徳行為にか?

殴られた事へのショックなのか


涙が勢い良く溢れている。。


香は片岡と美羽を引き離し

その後も、荒い言い方を変えようとはしなかった



(美羽!何してるのか解ってんの?アンタは彼がいんのよ!)


それを言われて、美羽も泣きながら

香に叫ぶ


(香が、焚人が望んでたんじゃない!壊したのは二人でしょ。。私は。。)


(私は何?! アンタはただ。。自分が可哀想なのを認めたくないだけじゃない!)


香は美羽の嫌がる部分に触れた。。

初めて、親友の傷をえぐった事で

自然と涙が頬をつたっていた



美羽も一瞬、驚いたが

負けじと、言い返した、それでも顔を横にそらして逃げ腰だった。。


(ずるいよ。。涙とか見せても、私はもう許せない。。)


(私の事はいいわよ!でもこれじゃ、美羽も焚人さんも、みんな不幸になる。。)


香の話している意図が全くわからない美羽は

段段と怒りが鎮まっていく。。


困った顔をしながら香に一言、話す


(私、片岡君と付き合うことにしたから

その事を焚人に話しに行くの)


香の瞳孔が一回り大きくなる。。。明らかに動揺している。。

美羽は続けて言う。。

(多分、今回の事がなくても限界だったから

焚人は何も言ってくれないから、こうなってたよ、片岡君が居なくても

でも、二人の事はまだ許せないの)



(だからそれは。。)


何か言い訳をしようとしたが

香は、ギリギリの所で呑み込んだ。。

美羽は一瞬、期待する顔をしたが

それは叶わない。。



(でも、キチンと話し合いはするよ?)


言いたいことを言わない香に、前の彼氏の姿を思い浮かべる美羽。。


(解った。。話し合いはするのよね。。まだ別れる訳じゃないなら)


香の言葉に対して、美羽は首を振っている


(きっと。。焚人は話してくれないから、理由をくれないから

無理だと思う)


(でも、理由がわかればいいんでしょ?)


必死に弁護をする香の姿は、今の美羽には少し滑稽に思えた。。


(。。。。。)


美羽はそれについては何も答えない。。自分でもどうなるのか、今がどうなっているのかが、整理がついてないまま

香に言われた通り、可哀想な現実から逃げたいだけだったからだ。。


(そう。。なら片岡君の事は言わないで!これはお願い!私はもう嫌われてもいいから

そうなっても仕方ない事はしたし)



その言葉の意味を美羽は 苦しそうな表情で理解した。。美羽は二人が浮気をしていると思っているからだ


'美羽は、香の最後であろう頼みを聞き受けた

自分の中では既に、最悪の答えしか無いことを覚悟している分

反発はしなかった


(じゃー行くね。。片岡。。悪かったわね?)


香は、悲しそうな顔で

フラフラとした歩きで来た道を引き返す。。

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