第9話 紋章決めの試練?
洞窟の前には王族の双子の2人。
側にはアレスとメーティスが控え、近くに騎士隊がいる。
洞窟には一人づつ入るため、姉であるリーズが先に入る。
「では、私から。」
「おう、行ってらっしゃい。」
「えぇ。行ってきます。」
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リーズが洞窟の中へ入ると言われていた様に、暗い。転ばぬように明かりを付けてしばらく進むと、開けた場所に出た。
そこだけは
〝自分の心のままに〟
そう書かれた木版の後ろには色とりどりの花。
(自分の心のままに…か。)
最初に目に付いたのは、桜の花。
前世の自分と妹の花だ。
誰にも信じてもらえず、いじめの犯人扱い。自分に価値は無いのだと幼い頃から刷り込まれていた自分には、誰からも愛されるような桜の花は真逆の存在だった。
だけど…今なら、信じてもらうことを諦めたくない。
私はもう逃げない。
桜を手に取り、外に出る。
信じてくれる
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暗い洞窟内で、魔法で明かりをつけて進むキース。
しばらく進んでいくと、開けた場所に付いた。
〝自分の心のままに〟
木版にはそう書かれている。
花を選ぶなんて難しいと思いつつ、色とりどりの花が置かれている場所へ歩を進める。
濃いピンク色の花弁が目に付き、思わず足を止めたのは桃の花の前。
(リーズは桜だったな…。)
奇しくもリーズも自分も前世に縁のある花が目に付いた。
リーズはリーズなりに過去との決別をしたのだろう。スッキリした顔のリーズは、見ていて印象的であった。
桃で思い出すのは最期の桃華の姿。
なんであの時こうしなかったと後悔ばかりだった。
もう後悔はしない。
もう、家族を失いたくない。
桃の花言葉の一つ、天下無敵。何にも、負けない。
桃の花を手に取り、外に出る。
守りたい
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その日、二つの花の紋章が決まった。
桜と桃。
2人の髪と同じ色の花だった。
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