3-5
(お帰りー鍵は作れたの?)
珍しく6時過ぎに、母が先に帰宅していた、相変わらず
ビール片手にソファーに寄りかかっている姿があった
(大丈夫、時間は掛かったけど、店の感じは良かったしな)
(。。。どうかした?なんかあった?)
テレビを消して、フラフラと俺の方に近寄って
壁に体を擦るようにもたれて、じぃっと目を合わせてくる
(あぁ、懐かしい名字の相手に会ったくらいかな)
強みもない、ジトーッと眠たげな母の目で見つめられようが、目線を逸らさないように、平然を装い答えた
(ふーーん。。)
(。。メシはどうする?)
話題と興味を他に向けさせた、母の場合、基本的には楽しい事は大好きだから
それは食い物か、イベント事で、面倒な時は大体はこれで切り抜けられる
(んー、カレーがいいわね)
(。。。了解。。)
嫌な親だと思う。。必要以上に言及してこない
物事に対して悩んで決着をつけるとき 、大抵俺は煮込み料理ならなんでも作る
フワフワと上がる湯気と、クタクタなる音を聞いていると、心の乱れが安定してくるからだ
そして母は、そうゆうときは [嘘をついてるわね]と返事の代用でもしているかの様に
俺に時間の掛かるような料理をリクエストする
それが、気にくわなくも、ありがたくもあって、体が痒くなってくる
夕食を終えて、湯船に浸かってからようやく
料理の間、整理した頭で、最初に思うのは
やっぱり、相沢の親が離婚していたとゆう事だった
さっきの相沢へのトラウマ感も、気持ちの憤りも不思議と今は
軽い
それが風呂のせいなのかもしれないが、、記憶に残らなくなっていくなら良いことだ
それから二ヶ月くらいが過ぎて、学校生活の中で相沢と言葉を交わすことも殆どなく
自分からも、誘うこともなかった
昔の復讐心もあるわけでもなく、寧ろもうどうでもいい古い思い出に感じる
この間の、鍵屋の事で、自分の中で区切りがついたらしい
五年のモヤモヤがトラウマみたいな物だと理解できたし
認識をしたことで、精神的な対応力もついたらしい
完全に事実上、俺の中で本当の他人になっていた
次の日、母から鍵屋にお礼の品をと言われて、包みを持たされた
(あんたが好きな人が居るんでしょう?丁度いいでしょ?)
(居ないよ。。店が好きだってだけだ!勘違い。。)
(そうなの?でも頼むわね?よくお世話になりそうだしさー)
お世話になるのは、自分が鍵をよく紛失するからだろう
今までの経験から想像した、何度、庭で待たされたか数えきれない。。
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