2-5

家に帰ってから

天井の木目を眺めていた

模様の繋ぎめを辿っている内に

いつのまにか、眠ってしまっていた


(優期?開けて~)


呼び鈴の音と 母の声で目が覚め

急いで、ロックを解除した


(悪い母さん。。寝てた)


(どうかした?。。、挨拶疲れ?)


(嫌、それは出来なかった、あとで配っておいてくれ)


机に積まれた和菓子を指して言うと


(えーーもう!面倒ねー田舎は)と冗談と本気の中間で小言を口にして

着替え始めた


俺はそれを聞いて、母も来たくて戻ったわけでは無いんだと確信した

庭付きの激安物件に吊られただけみたいだ


小金持ちになっても、昔の貧相を知ってるだけあって

節約の性分は変わらないのかもしれない

そう思うと、和菓子屋のお釣りの事は 黙って秘密に処理することにした



普段はヘラヘラしてる分、頑なになったら、とことんそれは守るのがうちの母親で

強い所は尊敬してしまう、それはダメ男に出会ったお陰かもしれないが

こうなれる女性は少ないハズだ


(半分。。俺も手伝うわ。。あと、明日、合鍵作ってくるわ

高校の帰りになるけどな)


(そう?助かるわー 両方とも)


腹の音を鳴らしながら、ビール片手にテレビを見てお礼を言っている


(。。適当に食べるだろ?なんか作るよ)


キッチンに立っている間、後ろから視線を感じた

あぁ、何か言いたいんだろうなと、そんな空気だけが伝わってくる


(優期?)


(気にしてない、昔も今も、だからいいよ)


食器を弄り、カチャカチャと雑音を混じらせながら

暗い雰囲気を消した


(色々と付き合わせたからさ。。ありがとうね、お風呂行ってきまーす)


(解った。。出来たら置いとくよ)


母さんがリビングから居なくなったあと、小さく笑った吐息でコップが曇った。。



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