第2話 『はじめての異世界』
異世界へと来てしまった晴人は上層階にある赤く透明でダイヤの形をした『願いが叶う石:エテレインストーン』を手に入れるため冒険を始める──。
異世界の支配人であるネキャットは晴人にステータスが書かれた一枚のカードを渡した。
「これはチミのステータスカードニャ!」
異世界で活躍するハンターさんはみんなステータスカードを持っており、
階層ボスを倒すと報酬や経験値ポイントが手に入ったり、
階層掲示板ランキングと言って階層ボスを倒すと獲得できるEXP(ExcellentPoint)
でランキングの上位を目指すことができる。
EXPはハンターさんのステータスカードをアップグレードできるポイントでもあり、
初心者ハンターさんの始まりのステータスカードはダンボール型カードでとてもダサい。
「なので頑張ってEXPを獲得しランキング上位も目指し素晴らしいハンターさんにチミもなるのニャ。」
ネキャットは晴人に異世界ハンターの事を伝えダンボール型のステータスカードを渡す。
カードを受け取り裏に何か書いてある…
俺はごく普通の高校生でスポーツは下手で勉強は中の下、
クラスメートの女子だけにはなぜかモテるんだけど彼女歴はゼロ。
“これが俺の自己PRかよ…”
“なんか情けないわ…”
「こんな俺でも上層階に行けるのか!?」
晴人は自分のステータスに自信が持てずネキャットに尋ねた。
「自分を信じるニャ」
明るく励ますように言ってくれて晴人の肩を”ポンッ”と可愛く叩いた。
そして上層階にいく自信が出たのだ。
「よし、行くか!!!」
晴人は上層階に行く前にいろんなお店を回り歩く。
ボロ防具屋に行き自分に合う装備を見つけるが、一番安いので皮の装備一式10万コルという高額な名札が掛けられている。
現実世界で10万円だ。
「俺の所持金は...3580円か...」
自分自身の財布を見てガッカリした表情を浮かべる。
これじゃあ装備を買うどころか食事を取るだけでギリギリだ。
初期装備などの支給は一切無し。
晴人は心の中でぼやいた。
「(ゲームだったらギフトボックス的なのがあるのにな〜)」
「装備は今着ている制服で行くしかないか…」
ブツブツ独り言を言いながら街の商店街を歩き、ボロ武器屋へ行く。
「戦う武器が無いと始まらないよな!」と言いながら店内に入る晴人
『いらっしゃい…』
そこには古臭い武器屋でおじいちゃんが一人で店をしている。
武器は”古い大剣”と”古い大刀”と”古い弓矢”の3種類しか無い。
名札を見てみると全部1万コルだった。
「1万コルか…買えないな…」
「おや…?あんたはビギナーハンターさんかね?」
「はい!そうですが…」
古臭い武器屋のおじいちゃんが晴人の目をジッと見つめながら話しかけてくる。
「あんた…良い目をしとるのぉ…真っ直ぐな瞳で輝く星みたいに…」
おじいちゃんは突然、昔の話をした。
「──ワシが昔ハンターの頃は、ようダンジョンしたもんじゃ…。」
異世界でのサバイバル生活を行いアステールの最上階120階層まで仲間と目指したもんじゃ。
だが未だかつて最上階層のボスを倒したものはおらず。
ワシらのチームが一番最強で70階層まで…。
ボスが強すぎて帰還し解散してしまったんよ…。
願いが叶う石:エテレインストーンが手に入ったら、『一生健康でおりたい。』みんながそう思っていた。
最近の若ハンターはお金目当てで目指す奴らが多く、命を落とす子も居おった。
“ワシは仲間を大切にしてほしい。” そう思っているのじゃ…。
「だが、あんたは仲間を守れる目を持っておる。」
だから── この剣に捧げ約束してほしい。
『最上階層のボスを倒し素晴らしい英雄になると。』
おじいちゃんは涙目で過去の自分自身の経験談を語った。
古臭い武器屋を営んでるんじゃが、
これら全て過去に使っておった武器たちなんじゃ…。
この古い大剣は昔、ワシが使っておった武器じゃ…。
「よかったら使っておくれ。期待しておるぞ青年。」
おじいちゃんは晴人に古い大剣を渡した。
晴人はふと思う──
母の死が原因で引きこもりとなってしまった妹を異世界に連れてくることによって、
妹の元気な姿が見れる…
エテレインストーンで母を生き返らせることができるなら…。
『俺は妹を異世界に連れて行く!!!』
晴人は古い大剣を手に入れ、
異世界に妹を連れて一緒にアステール最上階層を目指し
願いが叶う石:エテレインストーンを手に入れて母を生き返らせると決意した──。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます