第230話 暗闇から
しばらく考えて、ドラゴンを探す決断をした。
俺は3階層を再び歩き回り始めた。
ドラゴンの存在が近くにあるというなら、俺はこの目で確かめなければならない。
そして、絆喰らいで自分の力にしなければならない。
なぜなら、ドラゴンのスキルがオウカを取り戻す手段となり得るからだ。
ドラゴンのアビリティ――
あのアビリティを使えば、オウカ自身の深層心理へと入り込める可能性がある。
クラビーの時と同じだ。今回の記憶喪失が邪視のせいであれば、オウカ自身はまだ心の奥にいるはずだ。
ただ、俺の知る限りでは、
ドラゴンは人類と同様に種族共通のアビリティと、個々が持つアビリティに分かれていると思われる。
もし他のドラゴンが持っていなかった場合、エレミアは既に死んでいるから……。
いや、最悪の可能性を考えるな。あれだけ強力な能力なら、同じドラゴンであれば似たようなものを持っている可能性の方が大きい。
エレミアしか持ってないとしても、たぶん竜の心臓になってどこかに転がっているはずだ。それを探し出せばいい。
方法はある。
今は目の前の可能性を掴もう。
ダンジョンを歩き回るが、ドラゴンらしき魔物とは遭遇しない。
どころか、他の魔物一匹すら遭遇しないじゃないか。
低い層は冒険者も長居はしない。キズナリストを使える冒険者ならこんな場所余裕だろうし、先へと進むだろう。
そうなると、ここにいるのは俺とマティヴァさんだけと考えていい。ならば、この十数時間でモンスターが現れないなんてことはあるのだろうか。
ダンジョンを放置しておけばモンスターは増えていくのが基本だ。だから冒険者はダンジョンを踏破して完全に殺す必要がある。
王都のダンジョンはまだクリアされていない。
いや、もしかしたら丁度クラスメイトたちがクリアしたのかもしれない。
ならさっきの感覚は――
ズルリ
と、地を這うような音がした。
足を止める。正面の方から聞こえてきた。
いる。この先に何かが。
ズルリ、ズルリと次第に音が大きくなっていく。
光明石の灯りが届かない場所。
どうする、灯りを消した方がいいのか?
いや、もう相手にいる場所が知られている。
圧倒的に不利だ。
なら、襲いかかってくる瞬間を狙うしかない。
アイテムボックスから剣を取り出して構える。
自分の血流や息を呑む音がやけに大きく感じる。
目を見開いて、暗闇を見つめる。
ふっ、と悪寒が消えた。
いなくなった?
「蟾ォ螂ウ縺ョ遉弱→縺ェ繧矩ュ斐?逧?′螯ゆス輔↓縺励※證鈴裸繧貞スキ蠕ィ縺」縺ヲ縺?k縺具シ」
「うおおああああ!?」
耳を劈くような異音が脳みそに突き刺さった。
不快以上に拒絶反応を引き起こしたように、自然に手が耳を塞ぐ。
同時に、目の前の暗闇から何かが伸びてきた。
――影だ。
まるで絆喰らいのように、闇から影が飛んできた。
俺にめがけて。
「やっ!?」
剣を振ろうとするが、手が耳から離れない。
次の瞬間。
「雋エ讒倥?蠖ア縲?裸譏?縺玲オク騾上?遶懊?√?繧ケ繧ー繝ゥ縺悟眠繧峨o縺帙※雋ー縺翫≧?」
影が俺の身体を通過した。
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