第227話 スカルヘッド

 下層への穴は滑り台の様になっており、アイテムボックスに入ってたボロ布を下敷きにしてマティヴァさんと滑って降りた。


「一応、ここからは注意しないと」

「モンスター?」

「まあ、まだ下層2階なので少ないとは思いますが」


 それでも、浅い場所はモンスターが現れやすいというのが冒険者の常識である。

浅い場所はモンスターが出やすいがレベルが低い。対して深い場所はモンスターが出にくいがレベルが高い。挙げられる理由としては、深い場所のモンスターは上がって(もしくは下がって)これないため、モンスター同士で争い強くなるのだという。

 以前ソリーの森で戦ったスカルヘッドゴブリンが似たような形だった。あれはアンセロによってモンスターハウス化された部屋で戦わせて残った1匹がスカルヘッドになった。

 そうそう、ちょうど目の前にいる、頭に人の頭蓋を被ったゴブリン。


「って、マジでスカルヘッドか!?」

「Дιιιッ!」


 慌ててマティヴァさんの前に立って剣を構える。


「マティヴァさんは出来るだけ後方に下がってください」

「う、うん!」


◆スカルヘッド・ゴブリン

 種族 :ゴブリン

 レベル:17

 HP :140/140

 MP :0/0

 攻撃力:123

 防御力:158

 敏捷性:552


 スキル:駿足


 思ったよりレベルが低い。たぶん初心者冒険者がやられたのだろう。アンセロ方式とは違ってダンジョンは広いから、モンスター同士が争うことは稀だ。そうすぐに強くはならない。

 下層からの成り上がりだったら危なかった。


「スキル――火魔法!」


先手を打つ。火球をスカルヘッドに向けて放った。

俊敏性が早いスカルヘッドは余裕をもって躱す。

が、一発目の両側に二発目三発目を放っておいたので、ひとつがスカルヘッドに直撃した。


「ゲふ°ДブιιιτД!」


 煙を吸い込んだスカルヘッドが威嚇らしき声を上げながら襲いかかってくる。

 武器は爪だけか。

 俺はスカルヘッドを避けて、って避けたらマティヴァさんが襲われるんだった。ぼっちじゃない戦闘は面倒だ。

 剣で爪を受け止める。そのまま足でスカルヘッドの脛を蹴りつけた。


「ィДィ!!」

「そいっ!」


 悶えて身体がふらついたゴブリンに剣を一振り。

 ゴブリンの上半身と下半身を分断した。

 上半身が地面に落ちると同時に霧散する。


「す、すごい、一撃なんだねえ……」

「想像以上に切りやすくなるな」


 以前のスカルヘッド戦では、相手の皮膚が硬すぎて剣が折れてしまった。

 あの後、何か対策はないかと考えて放置していたのだが、この前のオウカが使った魔剣妖刀……剣なのか刀なのかはさておき、魔力で作った剣というのがヒントになった。

 漫画なんかでよくあるやつだ。今持っている剣に魔力を帯びさせることで相手の防御力を斬れるのではないかと考えたのである。

 以前のスカルヘッドよりレベルが低いものの、柔らかな土に手を突っ込む様な感触だった。

 これは当たりっぽい。

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