第153話 Gクラス

 教卓に一人一つと書かれた紙袋があったので回収してから教室の隅へと席をつく。

中身は学院のしおり、生徒手帳。

 そして、パーカー?

 紫色のパーカーとワイシャツと学生ズボン。パーカーの胸元には学院のシンボルであるクラウンの模様が刺繍されている。

 これが学院の制服なのか。


***


 最終的にGクラスには二十人近くの生徒が集まった。

 最初にいた奴らは静かだったが、後から入って来た奴らは慣れたようにわいわい騒ぎながら入ってきた。そいつらだけ同じ紫色のパーカーを着ていたので、たぶん在学生だろう。

 学年別ではなく、クラスでまとめているみたいだ。


 そして、教員が教室に入るや否や、俺の方をみて驚きの声を上げた。


「あれ!? 君って王女様の付き添いの人だよね?

 何でこんなところにいるんだい!?」


 全員の視線がこちらに集まる。

 こんなところとは、学院そのものを指しているのだろうか。それとも、Gクラスのことを指しているのだろうか。


「てっきり騎士団か魔法師団の方かと思ってたんだけど、いやはやまさか入学者だったとはね。

 そんな君がGクラスとは……ああ、キズナリストか」


 勝手に納得したのか、教員はうんうんと頷くと、教卓の前に立った。


「新入生は入学おめでとう。

 改めてクラス分けについて説明させてもらうよ。

 この学院はAからGの七つのクラスにわけられている。

 Gは残念だが学院不適格者の集まりだ」


 いきなりとんでもねえ否定を受けた。

 来るもの拒まずかと思いきや、ちゃんと弾くシステムがあるんじゃねえか。


「でも、これから頑張れば上のクラスに行くチャンスがある。

 まずは1ヶ月後、その時行われる試験の結果次第では上のクラスへ昇格認定される」


 意外にも救済処置があるのか。

 いや、それで上がれるならGクラスは新入生しかいないはずだ。

 つまりは……。


「上がるためには、今なぜGクラスにいるのかを考えて、その問題点を克服しなければならない。

 例えば、さっきの君」


 俺だ。


「君は目に見えてわかるが、キズナリストが0だ。

 キズナリストを結べない生徒はこの学院ではやっていけない。

 人間関係でも、強さでもね」


 ステータスはともかく、人間関係については反論できません。


 つまりは、何かしら欠点のある人がこのクラスに集まっているのだが、未だいる人はそれを克服できずにいるというわけだ。

 問題クラス。はい。


「騎士の夢でも魔法師の夢でもいい。

 それを叶えるためのスタートラインに立つために、まずは自分を見直してくれ」


 それよりも世間の価値観を塗り替えたい。

 ぼっちに優しい世界はどこかにないものか……。

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