学院生活…?(王都学院)
第152話 試験
「ちょっと待ってシオン」
「なによ」
「この行列はなんだ」
「いまあたしたちが並んでいる?
これが入学者をクラス分けするための試験よ」
エルが全校生徒の前で挨拶をしたのは学院の前の広場であった。(エルは挨拶だけで生徒ではないらしい)
それが終わると、生徒たちは学院の中へ。
入学の手続きをした記憶のない俺はどうすればいいのかと困っていたら、シオンが新入生はこっちだと長い列に連れてきてくれたのだ。
「普通入学が決まってから挨拶を聞くものじゃないか?」
「この学院は入学申請だけすれば入るのは簡単よ。
今回はパパが手続きをしておいてくれたわ」
だからか。自分であれこれしなきゃいけないと思っていた。
「で、軽い試験と質問を受けたらクラス分けされるから。
はい、これ履歴書」
「履歴書……」
シオンから渡された紙には、俺の名前と職業冒険者とだけ書かれていた。
「書き加えるなら今のうちにね」
「いや、これでいいけど」
「魔力検査があると思うから、ツムギなら魔法師専攻クラスとかに入れるんじゃないかしら」
「そういえば、オウカの姿が見当たらないが」
「奴隷はクラスが決まってるから別の入り口からもう入っていったわよ」
奴隷は奴隷用のクラスがあるんだったか。
差別、とも言えなくないが、この世界では奴隷は資産の一つだ。まとめておくという考えも否定はできない。
「次の人」
「じゃあ、クラス決まって休みになったら、食堂で会いましょう」
係員に呼ばれたシオンが次の約束を一方的に残して別室へと入っていく。
「次の人」
と、続けて俺も別の部屋に呼ばれたので入っていった。
***
「Gクラス」
「はあ」
入るや否や、頬のこけた気難しそうな顔をしたおじさんに告げられる。
目の前には履歴書の山や、明らかに何か試験のために使われるのであろう魔法陣が足掻かれているのにも関わらず、試験官は俺を一瞥しただけである。
思わずとぼけたような声が漏れたのも仕方ないだろう。
「どうした? はやくそこの扉から教室に行きたまえ」
試験官が指差す方には扉があり、先ほどまで白色だったのが、紫色に変わっていた。
「あの、なんか試験とかがあるって聞いたんですが」
「試験? ああ、だから今私が確認した。貴様はGクラスだ。
文句があるなら入ってきた扉から帰るといい」
なるほど、ここで不満がある人は帰れるのか。
来る人拒まず、去る人追わずらしい。
まあ、不満があるわけじゃない。目的は別にあるのだからクラスなんてどこでもいい。それにシオンとの約束もあるし、ここで去ったらオウカを置いていくことにもなるし、とりあえずは言われたクラスに向かうか。
紫色の扉を開けると。細い廊下が続いていた。
歩みを進めると、教室を一つ発見。
紫色を基調としたデザインの扉だからここで間違いないだろう。
引き戸を開くと、数人の生徒がいた。
見た目の派手な女、ガラの悪そうな男、下を俯いてる少年、本を読む少女。
…………冒険者でもクラスがあるからなんとなく察していたけど。
ここ、底辺クラスだな?
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