第67話 模擬戦
「つ、つまり、そのモンスターは喋ったのね」
「え? いや、喋ったというか、魔族だし……いや、人と見た目なんて変わらなかったから普通は喋るんじゃ……」
マティヴァさんの言い方に疑問を抱く。もしかしたら魔族の見た目なんかは知られていないのだろうか。
数秒間沈黙が流れて、
「一応ギルドで探索隊を出してダンジョンを調べた。確かに下半身しかない死体があった。まあそれが魔族かどうかは判断出来んが」
「疑うのは自由ですが、それが魔族かどうかは実際どうでもいいことです」
訝しげに言葉を重ねるギルマスに対して、きっぱりと告げる。
「結局のところダンジョン自体はもうモンスターが出てこない、攻略済みになったんでしょ?」
「そうだな。後日入口を壊す予定だ」
ダンジョンはモンスターが出現しなくなると、攻略済みという扱いで破壊されることになっている。
一部残っているダンジョンは建物自体が破壊不可能だったとか、低レベルモンスターしかでないために訓練用としてわざと残されているものだけだ。
「よし、まあ大体はお嬢ちゃんの内容と一緒だな。あとはこちらでまとめておく」
ギルマスは立ち上がると、机から何かを持ってきた。
「これが今回の報酬だ」
渡されたのはDランクと刻まれた新しいギルドカード。
「試験の結果、お前達はDランク昇格だ」
「やりましたよツムギ様!」
オウカがソファの上でぴょこぴょこ跳ねる。
「ついでにCランク試験を受けることができるがどうする?」
「できるんですか? 見ての通り、今の俺はキズナリストが0ですが」
「Cからはキズナリストの下限を定めていない。普通は、キズナリストを結んでいるし、そうでなければやっていけないからな。Dのは友達作りの最低条件だ」
ギルマスがくつくつと笑う。
その最低条件が揃わず奴隷を買った人が目の前にいますもんね。
「ちなみに、試験内容は?」
「俺との模擬戦だ」
***
場所は変わってギルド裏の演習場へと来た。
「本当にやるんですか?」
「今更辞めたいだなんていうなよ?」
渋々な俺に対して、ギルマスはにやりと口角を上げながら武器を用意する。
俺が反射的に「手軽なんですね」といったのが相当気にいらなかったらしい。別にギルマスを倒すのが手軽という意味で言ったわけではないのだが……。
ともかく、オウカとマティヴァさんも見ている以上、無様な格好は見せられない。
……今のうちにギルマスのステータスを覗こう。情報大事だよ。
◆ギィグメシュ
種族 :人間
ジョブ:闘士
レベル:48
HP :5528/5528
MP :2840/2840
攻撃力:6164
防御力:5444
敏捷性:5444
運命力:508
アビリティ:焉獄鳥・カルペディウム
スキル:中級火魔法
首元の数字はなんと46。ギルマスになれるレベルまで冒険者をするとフレンドも多いな。
と、そういえば、アンセロとの戦いの後から自身のステータスを確認していなかった。
なんだかんだ言ってもレベル三桁の敵を倒したのだから、レベルが上がっていてもおかしくないだろう。
右手をスライドさせてステータスを開いた。
◆ツムギ ♂
種族 :人間
ジョブ:魔法師
レベル:56
HP :101990/101990
MP :102320/102320
攻撃力:203530
防御力:165535
敏捷性:31004
運命力:56
アビリティ:異言語力・異界の眼・絆喰らい・竜刻世界・碧鏡の我・虚無界
スキル:上級火魔法・上級水魔法・上級風魔法・上級土魔法・擬人化・火炎弾・竜威・竜息吹・幻視・逆鱗撃
な ん だ こ れ は 。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます