第56話 赤い部屋
ダンジョンと言っても、その内部は様々である。
十の竜が生まれたという西の塔は各フロアが巨大な空間になっているだけらしい。
その他には、迷路のようになっているものや、人が作り上げたかのようにレンガでできたものなどがある。
今回のダンジョンは、土を掘っただけでなく、壁が白い粘土で補装されていた。
ここからは俺の火魔法を発動して明かりを灯す。
しばらく歩き続けて、白い道が螺旋状になっていることに気付く。
シンプルに一本しかないのはありがたい。
だが、徐々に下へと降りていくのにはいくらか恐怖心が伴う。
最後に何が待っているのか。
慎重さが増し、俺もオウカも一言も言葉を発さずにいた。
しかし、数百メートルは歩いたかと感じたところで、
「なんだ?」
何かがある。
近づかないで、火の玉を一つ寄せていく。
「血の跡……か」
白い壁に赤い血がへばりついていた。
量で言えば結構なものだ。一人が吐き出したものなら、そいつは死んでいるに違いない。
「スカルヘッドがやったのか……」
「……」
壁の血を確認している間も、オウカは黙ったままである。
血に触れたが、乾いている。結構前のものか。
やはり、このダンジョンは最近できたものではない。
しかし、何故モンスターが現れない?
道の少ないダンジョンならば、壁からモンスターが湧き出し襲撃してくる場合があると聞いたことがある。
しかし、ここまで壁に変化はなく、だからと言って道中にゴブリンが現れるということもない。
ならば、あのスカルヘッドのみがこのダンジョンにいたのか?
そうなると、ダンジョンを支配するボスがスカルヘッドになるわけだが。
さらに歩みを進めると、道が絶えた。
たどり着いた先にあったのは、両開き戸のついた壁。
スカルヘッドが出入りしていたのだろうか、低い位置に赤い跡がついている。
「入るぞ……」
「……はい」
ちらりとオウカを見たが、固い表情を崩さず扉を見つめていた。
終始黙り込んでいたが、大丈夫そうか。
扉を開く。
すぐさま、中の各方面に火の玉を飛ばした。
まずは、部屋の構造を把握、それからモンスターがいればステータスを確認する。
「なっ……」
照らされたのは――巨大な赤い部屋だった。
血、血、血。まだらに飛び散ったそれが壁の色でないことは臭いではっきりとわかる。
――そして、奥に人影。
「お待ちしておりました、お客様」
白いローブを纏った長身の男が、右手を胸に添え左手を水平にお辞儀をする。
二日前にオウカを売った奴隷商人。
その男が顔を上げると、そこに白い布はない。
あったのは――ふたつの青い虹彩
――異界の眼、発動。
◆アンセロ
種族 :魔族
レベル:446
HP :4460/4460
MP :4460/4460
攻撃力:4460
防御力:4460
敏捷性:4460
アビリティ:邪視・魔属適性・強制召喚・脳華
スキル:上級火魔法・上級水魔法・上級風魔法・上級土魔法・上級雷魔法・上級光魔法・上級闇魔法・上級回復魔法・上級快復魔法・攻撃力上昇・防御力上昇・俊敏性上昇
「初めてみたぜ……邪視に、魔族!」
「おやおや、良い目をお持ちのようで」
魔族が、歯を見せて笑った。
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