第45話 フレンド召喚

 オウカが俺の前に立つ。

 その中でセンに問いかける。


「どういうつもりだ」

「どうもこうもないですよ。このクエストの達成条件分かっていますか?」

「ギルドカードか、武器だろ?」

「ただし、先にギルドへ持って行ったグループのみに適用。

 ギルドは成果主義。その過程なんて気にしちゃいないんですよ」

「それって……」

「奪い合い、殺し合いがあっても問題ないというわけです」


 オウカの震えた声にセンが答える。

 しかし、その表情は下卑たものではない。真剣そのものだった。


 センの考えは何一つ間違っていない。

 ギルドが成果主義であるのは周知の事実。今回もそうだ。

 どんなに頑張ろうとも、最後に騙されたり無理やり結果を奪われたらそれでお終い。

 結果を奪うような奴も、どこかで限界がくるのだから同じこと、ってのがギルドの考えだろう。


 自身の実力もわからぬものなら死ぬだけだ、か。

 ギルマスの言葉がここにきて刺さった。


「冒険者であるあなたさえ押さえれば、奴隷の彼女は無力も同然。

 奴隷にはキズナリストの効果が及ばないですし、無理に襲ったりしませんよ」

「思ったより勉強してるじゃねえか。いい冒険者になれるぜ」

「ありがとうございます。しかし、妖狐ですか……」


 センがオウカをじっと見つめる。

 妖狐はこの世界で忌み嫌われているらしいからな。センも御多分に漏れずというわけか。

 ただ、差別の視線、というよりは警戒しているように見える。


「邪視でないにせよ、やはり念には念をいれないとですね」


 センが首元の数字に手を添える。


「キズナ召喚――発動」


 センの隣に円形の光が生まれた。

 魔法陣らしき模様が浮かび上がると、その中心に光が集まりだす。

 やがてそれは人間の形をなし――

 光が収まると、そこにはナナがいた。



「MPをすべて消費することで発動できるキズナリストの魔法。

 ナナには東を探索してもらい、同時に僕はあなたたちをつけていた、というわけです」


 なにかペラペラと語っているが、それよりもだ。

 キズナ召喚――キズナリストにフレンド召喚機能があること自体初耳だよ!!


 センは俺に対して魔法を使っているはずだからMPは減っているはずだが。

 その攻撃の痺れもまだ解けない。


 動けない状態でセンのステータスを覗く。ステータスを開く動作が必要ないのはありがたいことだ。


◆セン

 種族 :人間

 ジョブ:なし

 レベル:28

 HP :451/501

 MP :0/81

 攻撃力:361

 防御力:501

 敏捷性:361

 運命力:36


 アビリティ:七閃-電-


 怪我もしていないのにHPが減っているということは、あのアビリティはHPを削って使うものだったか。

 元々MPがなかったとしても、キズナリストによって相手のMPが加えられてフレンド召喚ができる。なんてよくできたシステムだよ畜生。

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