第27話 この世界の力
なぜギルドで冒険者登録をさせられたかというと、討伐報酬で回復薬を購入するためだという。
最初は騎士が使っていてくれたが、報酬でそれを返し、いまは自分で購入したものを使っている。
効率よくモンスターを倒せば、回復薬もため込める。それらはすべてギルドでもらったアイテムボックスに入れて置けばいい。
そうして二週間近くが経った。
◆ツムギ ♂
種族 :人間
ジョブ:-
レベル:20
HP :180/180
MP :200/200
攻撃力:200
防御力:230
敏捷性:190
運命力:20
「……んふ」
思わず笑いそうになってしまう。
徐々にだが、レベルが上がってきている。朝から晩までモンスターを倒し続けているかいがあるというものだ。
これだけ成長すれば、少しくらいみんなの役に立てるかもしれない。
強くなっていると思う。
そこに、ドアのノック音が響いた。
「ヒヨリです」
「どうぞ」
ドアを開いて、ヒヨリを部屋に入れる。
ヒヨリは数日に一回は俺のところへ訪れて、クラスメイトの様子を話してくれている。
代わりに俺も、何をやっているかなどを話す。と言っても、スライムとゴブリンの討伐しかないが。
「わたしたちもだいぶ成長したんだよ。みてみて」
ヒヨリが俺の横に椅子を持ってくる。
隣に座ると、その場でステータスを開いた。
◆ヒヨリ ♀
種族 :人間
ジョブ:-
レベル:24
HP :7248/7248
MP :6997/6997
攻撃力:7976
防御力:8039
敏捷性:6852
運命力:639
「ごほっ!?」
「え、ツムギくん大丈夫!?」
驚きのあまり咳込んでしまった。
え、え、なにこれ……なにこれ?
「す、すごいね……」
「キズナリストのおかげで、クラスみんなのステータスが反映されてるから。
一人ひとりは弱いかもしれないけど、みんなで力を合わせるってすごいね」
すごい。本当にすごい。
唯々、羨ましいと思う。
ステータスが三桁になって喜んでいた自分が馬鹿みたいだ。
これが、この世界の力なんだ。
誰かとの絆で強くならないとダメなんだ。
そこから俺は、すでにもう弾かれている。
「それでね、明日はダンジョンに行くことになったの」
「ダンジョン?」
「森の奥にある自然発生した魔物の巣窟らしいの。最近討伐に行ってなかったからモンスターが大量にいるんだって」
「そんな場所があるんだ」
「あれ? 聞いてない?」
ヒヨリが怪訝な顔をして首を傾げる。
「明日から3日から5日くらいの遠征で、ツムギくんも連れていくかもって団長さんが言っていたんだけど……」
「……たぶん、俺は行けない」
そんな話は受けていない。たぶん騎士たちがわざと話していないのだろう。
ただの嫌がらせかもしれないし。俺のステータスでは無理な場所なのかもしれない。
「ヒヨリたちはもっともっと強くなる。俺も頑張るよ」
「ツムギくん……」
心配そうな顔をするヒヨリに、俺は無理やり笑顔を作るだけだった。
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