第3話 ステータス

「キズナリスト……フレンド機能、みたいなものですか」


 光本も同じ考えを持ったようで、ぼそりと呟いた。


「ふれんどきのう、というものは分かりませんが……いえ、実際に体験なされるのが早いでしょう」


 エル王女が右手を大きく横に振る。

 すると、彼女の目の前にアクリル板のような、透明な四角が現れた。


「それは……」

「これはステータス。私たちの内なる力を可視化したものです。皆様も、ステータスと念じながら同じ動作をすれば現れると思います」


 こちら側からはただの板にしか見えないのだが……透ける仕様ではないらしい。

 そんなことを考えてる間に、男子生徒たちが早速ステータスを表示させていた。


「おお、ほんとだ!」

「なんだこれ、ゲームなのか!?」


 俺も同じように念じて、目の前で右手を振った。


◆ツムギ ♂

 種族 :人間

 クラス:-

 レベル:1

 HP :10/10

 MP :10/10

 攻撃力:10

 防御力:10

 敏捷性:10

 運命力:1

 

 アビリティ:異言語力・異界の眼・絆喰らい


 ほんとに出た……。

 アビリティなんてものもあるんだな……って、え、ちょっとこれ、ステータス低くない?


「召喚されたばかりの皆様のステータスはまだ平凡かと思われます。しかし、この世界で魔物を倒し、経験を積んでいくことで大きく成長することでしょう」

 

 エル王女の言葉に、何人かの生徒が安堵のため息を吐く。


「よかった~。めっちゃステータス低いからびびったわ」

「10ばっかなんですけど。うける」


 俺だけじゃないらしい。びっくりした。

 男子生徒は状況に慣れた、というよりはステータスという見慣れた要素が出てきたおかげか、少し余裕が生まれている。

 問題は女子生徒の方か。


「な、なんなのよこれぇ」

「これで、戦うとか……まじわかんない」


 状況が飲み込めず、互いに寄り添って震えを抑えているものがほとんどだ。


「コウキくん、話を進めたほうがいいかも」


 そんな女子生徒の中で、特に驚いた様子もなく冷静な面持ちだった飛野が光本を促した。


「ああ、悪いなヒヨリ。それでエル王女、キズナリストの契約はどのように行えば?」

「ご説明いたします。まずは相手の方と向き合う形で立ちます」

「ヒヨリ、頼めるか」

「うん」


  飛野が光本の前に立つ。


「みんな、少し静かにして聞いていてくれ。たぶんこの後みんなもやることだ」


 光本が声を張ると、騒いでいた男子生徒が黙る。クラスメイト全員が二人の様子を見ていた。

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